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リューシャ編
7話
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リレーニとフニカの話し合いの結果、リリエは理由なしに自分達には乗ってくれないと判断し、仕方なく細かいことは伏せたままで、話しても大丈夫だと思える限りのことをリレーニは話した。
「…ということは、私がリレーニ様に乗って、その場所までいかなくてはならないのですか?」
「そういうこと。だから、私はあなたの護衛のような形でそこまでついていきたいの。」
「…で、私がリレーニ様に乗ってそこまで行くってことなんですね?」
リリエの質問に頷くリレーニ。
「…リリエさん、もう一度確認してもいい?」
「はい?」
「…本当に、全種族を敵に回そうとも、リューシャさんを連れ戻しにいくのね?」
「はい!」
その迷いのない返事にリレーニは微笑むと、言った。
「…じゃあ、もう行きますか?準備などは…」
「大丈夫です。行きます。」
リレーニはリリエの決意の固まった、揺るがない目を見て、頷いた。そしてリレーニは目を閉じ、両手を胸にあてると詠唱を唱えた。
「【フォーデュラム・チェイン】」
すると、リレーニの体がまばゆい光に包まれ光が止んだとき、リレーニは灰色の竜となって、そこに立っていた。
「じゃあ、私も…」
そう、フニカも魔法を使おうとするが、それをリレーニは止めた。
「フニカ、あなたはまだ戻っちゃダメよ。竜が2匹も空を飛んでいたら、怪しまれてしまうから。」
「分かった。」
フニカが魔法の使用を止めたのを確認して、リレーニは微笑む。
「…じゃあ、リリエさん、フニカ。乗って。少しだけ、白亜の城にいくための説明をしたいけど、飛びながらの方が退屈しないと思うから。」
「はい。ありがとうございます。リレーニ様。」
リレーニに深いお辞儀をして、リリエはリレーニの背に乗る。ちなみに、リリエがお辞儀を深々としたとき、リレーニとフニカは顔を見合わせ苦笑いしていた。そしてリリエとフニカがちゃんと乗ったのを確認し、リレーニはふわりと飛び上がった。しばらく上へと飛ぶと、町や皇都が小さくなり、広大な景色となってリリエの目に入ってきた。
「…わ…」
その景色の広大さにビックリしているリリエにフニカが言う。
「景色いいでしょ。人の皆はこんな景色見れないんだよね…なんか、見せたくなっちゃうな…」
「…そう、ですね…」
どこか悲しみを含んだ目をしてリリエは景色を見ながらフニカに返した。
「あ、お姉さん…じゃなくて、リリエさん。私には敬語なんか使わなくて良いよ?母さんは皇女だからいいとしても。」
「そうで…そう?だったら、私のこともさんなんてつけなくてもいいよ。フニカ。」
「うん、分かったよリリエ!」
そう2人で笑い合っていると、リレーニが声をかけてきた。
「リリエさん、あの白亜の城へ行く過程の話をしても大丈夫?」
「あ、はい!大丈夫です!」
リリエの返事を聞いて、一呼吸置くとリレーニは白亜の城への過程を話しはじめた。
「…白亜の城、それが天の川のほとりに立っているのは知っているでしょ?」
「あ、はい。それは知ってます。」
その言葉にリレーニは頷き、話を続ける。
「でもね、白亜の城には決して、誰も直接はいけないの。…どうしても神の城を抜けて行かなくちゃ、白亜の城へは行けない。だから私たちも神の城の前まで送りたいのだけど…」
「神の城の前にはバカみたいにあり得ない人数の神が侵入者を拒むように立っていて、限られた者しか普通に入ることはできないの。だから、城の前にも私たちは行けない。」
「ということはつまり…」
リリエの言葉にリレーニは続けた
「残念だけど、神たちとの戦闘は避けられないってことなの。」
「そうなんですね。」
そう頷き、ふと前を見たとき、そこに白い雲のようなものが見えた。
「…あれは…?」
「あれが神の住む雲。やっぱり母さんだったらすぐついちゃうね。」
「みんな、これくらいよ?フニカ。」
そう言うと、リレーニは雲の上へ降りた。リリエはひらりとリレーニから降りると、例をして笑っていった。
「ありがとうございました。リレーニ様、フニカ。」
「いいよ。いいんだけど…」
フニカが悲しそうな顔をする。
「どうしたの?フニカ?」
リリエの問いにフニカの代わりにリレーニが応える。
「…あの、白亜の城に入るためには、戦いは避けられないから、私たちも手伝いたいのだけど…手伝えなくて…」
リレーニの言葉に首を横に振るリリエ。
「いえいえ!全然送っていただけるだけで十分です。それに、私なんかのためにリレーニ様やフニカも巻き込むわけにはいきませんし。」
「ごめんなさいね。でも、頑張って連れ戻しに行くのよ。ここまで覚悟を決めてきたのだから。」
「はい!」
そのリレーニの言葉にリリエは迷うことなく返事をした。それから、リレーニとフニカが雲の下へ戻っていったのを見送って、ふと呟いた。
「…まさか気まぐれで行った森で竜の皇女様と姫君に会って、こんなところまで危険をおかしてまで連れてきてもらえるなんて…」
そして振り返り、少し遠くにそびえる神の城を見た。
″リューシャ、ごめんね。でも、絶対連れ戻すから…!″
そう心の中で呟いたがその時、声がリリエの頭の中に響いた。
『…本当に後悔はない?』
「…!誰?!」
『たった1人の友達の為だけに、全種族を敵に回すなんて、本当にあなたの選択はそれでいい?』
「…私の決めたこと。後悔なんてしてないし、する気もないよ。」
『ここは、人知未踏の場所。あなたの身になにが起こるかも全く分からない。』
「だから、後悔なんてしないって言ってるでしょ。」
リリエの言葉に少し開けて声は言った。
『そう。』
「…ねぇ、あなたは誰?何者なの?」
その問いに声は何も答えず、それから声は聞こえなくなった。
「…なにか気になるけど…とりあえず、リューシャを連れ戻しにいかなきゃ」
そう、リリエは神の城へ向かって歩き始めた。
「…ということは、私がリレーニ様に乗って、その場所までいかなくてはならないのですか?」
「そういうこと。だから、私はあなたの護衛のような形でそこまでついていきたいの。」
「…で、私がリレーニ様に乗ってそこまで行くってことなんですね?」
リリエの質問に頷くリレーニ。
「…リリエさん、もう一度確認してもいい?」
「はい?」
「…本当に、全種族を敵に回そうとも、リューシャさんを連れ戻しにいくのね?」
「はい!」
その迷いのない返事にリレーニは微笑むと、言った。
「…じゃあ、もう行きますか?準備などは…」
「大丈夫です。行きます。」
リレーニはリリエの決意の固まった、揺るがない目を見て、頷いた。そしてリレーニは目を閉じ、両手を胸にあてると詠唱を唱えた。
「【フォーデュラム・チェイン】」
すると、リレーニの体がまばゆい光に包まれ光が止んだとき、リレーニは灰色の竜となって、そこに立っていた。
「じゃあ、私も…」
そう、フニカも魔法を使おうとするが、それをリレーニは止めた。
「フニカ、あなたはまだ戻っちゃダメよ。竜が2匹も空を飛んでいたら、怪しまれてしまうから。」
「分かった。」
フニカが魔法の使用を止めたのを確認して、リレーニは微笑む。
「…じゃあ、リリエさん、フニカ。乗って。少しだけ、白亜の城にいくための説明をしたいけど、飛びながらの方が退屈しないと思うから。」
「はい。ありがとうございます。リレーニ様。」
リレーニに深いお辞儀をして、リリエはリレーニの背に乗る。ちなみに、リリエがお辞儀を深々としたとき、リレーニとフニカは顔を見合わせ苦笑いしていた。そしてリリエとフニカがちゃんと乗ったのを確認し、リレーニはふわりと飛び上がった。しばらく上へと飛ぶと、町や皇都が小さくなり、広大な景色となってリリエの目に入ってきた。
「…わ…」
その景色の広大さにビックリしているリリエにフニカが言う。
「景色いいでしょ。人の皆はこんな景色見れないんだよね…なんか、見せたくなっちゃうな…」
「…そう、ですね…」
どこか悲しみを含んだ目をしてリリエは景色を見ながらフニカに返した。
「あ、お姉さん…じゃなくて、リリエさん。私には敬語なんか使わなくて良いよ?母さんは皇女だからいいとしても。」
「そうで…そう?だったら、私のこともさんなんてつけなくてもいいよ。フニカ。」
「うん、分かったよリリエ!」
そう2人で笑い合っていると、リレーニが声をかけてきた。
「リリエさん、あの白亜の城へ行く過程の話をしても大丈夫?」
「あ、はい!大丈夫です!」
リリエの返事を聞いて、一呼吸置くとリレーニは白亜の城への過程を話しはじめた。
「…白亜の城、それが天の川のほとりに立っているのは知っているでしょ?」
「あ、はい。それは知ってます。」
その言葉にリレーニは頷き、話を続ける。
「でもね、白亜の城には決して、誰も直接はいけないの。…どうしても神の城を抜けて行かなくちゃ、白亜の城へは行けない。だから私たちも神の城の前まで送りたいのだけど…」
「神の城の前にはバカみたいにあり得ない人数の神が侵入者を拒むように立っていて、限られた者しか普通に入ることはできないの。だから、城の前にも私たちは行けない。」
「ということはつまり…」
リリエの言葉にリレーニは続けた
「残念だけど、神たちとの戦闘は避けられないってことなの。」
「そうなんですね。」
そう頷き、ふと前を見たとき、そこに白い雲のようなものが見えた。
「…あれは…?」
「あれが神の住む雲。やっぱり母さんだったらすぐついちゃうね。」
「みんな、これくらいよ?フニカ。」
そう言うと、リレーニは雲の上へ降りた。リリエはひらりとリレーニから降りると、例をして笑っていった。
「ありがとうございました。リレーニ様、フニカ。」
「いいよ。いいんだけど…」
フニカが悲しそうな顔をする。
「どうしたの?フニカ?」
リリエの問いにフニカの代わりにリレーニが応える。
「…あの、白亜の城に入るためには、戦いは避けられないから、私たちも手伝いたいのだけど…手伝えなくて…」
リレーニの言葉に首を横に振るリリエ。
「いえいえ!全然送っていただけるだけで十分です。それに、私なんかのためにリレーニ様やフニカも巻き込むわけにはいきませんし。」
「ごめんなさいね。でも、頑張って連れ戻しに行くのよ。ここまで覚悟を決めてきたのだから。」
「はい!」
そのリレーニの言葉にリリエは迷うことなく返事をした。それから、リレーニとフニカが雲の下へ戻っていったのを見送って、ふと呟いた。
「…まさか気まぐれで行った森で竜の皇女様と姫君に会って、こんなところまで危険をおかしてまで連れてきてもらえるなんて…」
そして振り返り、少し遠くにそびえる神の城を見た。
″リューシャ、ごめんね。でも、絶対連れ戻すから…!″
そう心の中で呟いたがその時、声がリリエの頭の中に響いた。
『…本当に後悔はない?』
「…!誰?!」
『たった1人の友達の為だけに、全種族を敵に回すなんて、本当にあなたの選択はそれでいい?』
「…私の決めたこと。後悔なんてしてないし、する気もないよ。」
『ここは、人知未踏の場所。あなたの身になにが起こるかも全く分からない。』
「だから、後悔なんてしないって言ってるでしょ。」
リリエの言葉に少し開けて声は言った。
『そう。』
「…ねぇ、あなたは誰?何者なの?」
その問いに声は何も答えず、それから声は聞こえなくなった。
「…なにか気になるけど…とりあえず、リューシャを連れ戻しにいかなきゃ」
そう、リリエは神の城へ向かって歩き始めた。
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