ツムギ ツナグ

みーな

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リューシャ編

14話

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ピキリと、氷の壁にヒビが入った。ふと壁の先にいるスカイの方を見ると、投げられるいくつもの短剣ダガーを軽くかわしながら、魔法を放ち護衛を次々に倒していた。


″…私は、あんな風には戦えないけど、ここで終わる気なんて更々ない。″


「…ううん。違うね。リューシャを連れ戻すまで、絶対に、諦めない。」


そう言った瞬間に、氷の壁が弾けるように壊れた。キラキラと煌めく氷の欠片が舞う向こうから、短剣ダガーが飛んでくる。リリエは右手を前に伸ばす。


「【エクレセンデッド・ストーム】!」


氷の破片ごと、短剣ダガーを強風で吹き飛ばすリリエ。だが、護衛は数をものにして短剣ダガーを絶え間なく投げ飛ばしてくる。


「っ!」


リリエはそれをジャンプして避ける。


″本能的に避けるって言っても…考えが先に来ちゃって難しい…″


そうは思っているものの、どうにかギリギリで攻撃をかわすリリエ。しかし、避けることに精一杯になってしまい、なかなか攻撃が出来ない。


″…このままだと逆にこっちのスタミナが切れて集中攻撃されかねない…だったら…とりあえず、魔法を…″


そう感じて、リリエは攻撃を避けながら左手を前に伸ばす。


「…【ユニバーサリィ・】…っ!」


魔法を放とうとしたが、短剣ダガーの攻撃が掠め、詠唱が止まってしまう。


″こうなったら、短剣ダガーが飛んでくるのを無理にでも止めるしかないけど…″


「てゆうか、なんであんなに短剣ダガー投げてるのに無くならないのよぉ!【ユニバーサリィ・ウィンド】!」


先ほど放ち損ねた魔法を感情任せに思いきり放った。が、感情に任せたおかげか、リリエの方に飛んできていた短剣ダガーはほとんど風で吹き飛ばされ、ずらりと横に並んでいた護衛たちの列が明らかに崩れた。


″…!短剣ダガーが無くならないのは謎だけど、今なら…!″


リリエは右手を横に伸ばした。







「【レリアヒュー・フローズン】」


護衛たちの攻撃の合間に魔法を放つスカイ。護衛の攻撃が少しだけ弱まり、その間にちらりとリリエの方を見る。そこそこ攻撃を掠めてはいるが、どうにかまだ大きなダメージを受けてないことを確認すると再び投げられる短剣ダガーを避けていく。


″…あの短剣ダガーは魔法で無限生成されるようになっていて、攻撃が向こうから止まることはない。だからこちらから攻撃し続けるしか倒せない…でも、今のところは大丈夫かな。″


「【ランスムーン・グレイド】」


スカイは氷を護衛たちに放った。その時、スカイの視界の端に、右手を伸ばすリリエと、リリエの後ろに回り込んで短剣ダガーを振りかざす護衛が見えた。


「っ?!リリエっ!」


スカイは叫んだ。







「リリエっ!」
そうスカイの声が聞こえたが、リリエはなぜスカイが叫んだのか、理解できていなかった。


″どうしたのスカイ…?″


そうスカイの方を見ようとしたその時、背後になにかを感じてとっさにしゃがみこんだ。すると、リリエの頭上を短剣ダガーがかすめた。飛んできたわけではなく、斬られかけたのだろう。その短剣ダガーは引っ込むように後ろへ戻ったから。


″…あぶない…スカイが叫んでくれなかったらやられてた…″


リリエはその場から離れ、護衛たちから距離をとると、また短剣ダガーをどうにかよけていく。


″後でありがとうって言わないとなぁ…″


「…っ!」


そう心のなかで呟いたそのとき、リリエの腕を短剣ダガーがかすめ、後ろから声が聞こえた。


「【レリアヒュー・フローズン】」


すると、護衛たちの上から大量の氷が降り注ぎ、短剣ダガーの攻撃が止まった。リリエは後ろを向いて、攻撃した者の名前を呼ぶ。


「スカイ!」


名前を呼ばれたスカイはリリエの方を見ると、突然言った。


「…君って、水を部屋全体に放つことって出来る?」
「水を?しようと思えば出来ると思うけど…」
「じゃあ、やって。またすぐに護衛の攻撃は来ると思うけど、短剣ダガーは俺が防ぐから。」


そう言って前に出るスカイにリリエは慌てて言う。


「え、ま、待って!水でなにする気?なんか嫌な予感がするんだけど…」
「気のせいだし、見てたら分かる。」


素っ気なく短剣ダガーをあしらいながらそう言われ、若干不満そうにしながらもリリエは両手を上に伸ばした。


「【ビリスティナ・ミスト】!」


リリエの両手に水が集まり、集まった水は弾けて辺り一帯を水浸しにした。


「スカイ、水放ったけど…」
「…じゃあ、下がってて。」
「え…う、うん」


リリエはなぜスカイが下がれと言ったのか分からないまま、とにかく後ろへ下がった。スカイは護衛からの攻撃を防ぎながらも、呟くように言った。


「【エレスネアル・ウィンター】」


すると、リリエが放った水がスカイを中心にしてどんどん凍っていく。そして氷は水だけでなく、床も壁もさらには護衛たちも凍らせていく。


「…!護衛たちが…!」


リリエの方には、離れていたためか氷が来ずにリリエは無事だった。氷はどんどん広がっていき、護衛たちを全員氷漬けにすると、氷の拡大は止まった。


「止まっ…た…?」
「…怖かった?」


スカイは振り向いてリリエに問いかける。リリエはその問いに首を強く横に振ると屈託のない笑みで言った。


「全然!逆にすごくてビックリしちゃった。」
「そう。なら良かった。」
「あ、スカイ。ありがとうねあのとき叫んでくれて」
「…良いよ。俺は君より戦いになれてるから俺がフォローしないといけないから。」
「そっか。」


リリエは笑うと、ふとスカイの方を向いた。


「あ、そうだスカイ。今度から、名前呼ぶときは君じゃなくて、リリエって言ってよ?その方が、なんか良いから」


そうにっこりと笑って言うリリエに、スカイは首をかしげる。


「突然どうしたの?」
「あ、いや…えっと、やっと名前で呼んでくれたから、いっそこれからも名前の方がいいかなー…って」


ちょっと恥ずかしそうに笑いながらスカイの少し前を歩くリリエ。


「良いよ。…リリエが、名前で呼んでほしいなら」


その言葉でリリエの恥ずかしさは頂点に達したらしく、リリエは奥の扉へと走り出す。


「は、早く行こう!スカイ!氷が溶けちゃうかもしれないし!」
「え?この氷は当分溶けないけど…ってなんで走って行く必要が…」


突然走っていったリリエを1人でぼやきながら追いかけるスカイ。そんな2人を天井近くで浮きながら見る人物がいた。


「…スカイ・レーシェードと、リリエ・レスタナー…いろんな意味で厄介な組み合わせだな」


その人物はただそう言うと、藤色の髪をふわっと揺らして消えた。
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