ツムギ ツナグ

みーな

文字の大きさ
14 / 74
リューシャ編

13話

しおりを挟む
城の入り口の目の前まで行くと、スカイはリリエに言った言葉通りに勢いよく扉を蹴り飛ばした。城の中には扉が壊され、倒れた音が響き渡る。


「…っ…ごめん」


中に入ってすぐ、スカイは突然リリエを前に引っ張った。


「え……きゃっ」


スカイは前に倒れるリリエを抱いて、床に伏せた。すると、二人の頭上を短剣ダガーが通りすぎた。


「…?!だ、短剣ダガー…?」
「…厄介だな…神の城の護衛は…」


そうスカイが呟いたのを聞いて、そっと前を見ると短剣ダガーを構え、黒いローブを羽織った者たちがずらりと立っていた。


「こ、この人たちは…護衛…なの…?」
「そう。だけど、あいつらは近距離も遠距離もどっちの攻撃も出来る。」
「…っていうことは…」


スカイに手を貸してもらい、話しながらもさっと立ち上がったリリエは1つの結論が導き出され、そっとスカイを見た。スカイは頷いて言う。


「…俺たちみたいな遠距離からの攻撃を得意とする者たちにとったら、そこそこ厄介なやつらってこと。……っ」
「わ…ひゃっ?!」


スカイは護衛が短剣ダガーをこちらに放ったのが見え、リリエを抱くとすぐに横に飛び退いて避けると、偶然奇跡的に見つけた影に飛び込んだ。


「…ほんとに厄介だね…」


″俺だけだったら、どうにか行けると思うけど…″


そうスカイは未だに抱いているリリエを見た。


「…えっと…スカイ…一回下ろしてくれる…?」
「?…あぁ、忘れてた。」


一瞬何のことか分かっていなかったスカイだが、すぐに理解してスカイはリリエをおろした。リリエは下ろしてもらうと悲しそうな顔をして言った。


「ごめんねスカイ…私なんかスカイの邪魔になってるよね…」


そのリリエの言葉にかなり深いため息をつくスカイ。


「…はぁぁ。これ、君の戦いでしょ。なのになんで君が邪魔になるの?邪魔なんて思ってないし、まず思わない。」


″……だけど、まだ攻撃を避けることに慣れてないから、いくら魔法の扱いに長けていたとしても危険…俺でもあの人数だと気が回らなくなる…そんなことになれば…″


「…スカイ。」


考え込むスカイにリリエは言った。


「私なら大丈夫。援護が無くても戦える。」
「…?!」


その言葉でスカイが珍しく少し目を見開いてリリエの方を見た。


「…でも、あの護衛には魔法の威力だけに頼っていたら絶対に勝てない。あいつらの攻撃は短剣ダガーを遠距離だと大量に飛ばして、近距離だと剣のように扱うんだ。まともに受けようなんてまずしないだろうし、とにかく危険だ。」
「…そんなこと言っても、スカイだって私をいちいち見てられないでしょ?さっきみたいに体力を削っていくのは人数が多すぎて出来ないだろうし、スカイにも限界がある。…そうでしょ?」


じっとリリエはスカイを見つめる。


「だとしても…」
「…スカイが心配なのも分かるよ。私は魔法の扱いには強くても、相手の攻撃を避けることには全く経験がないから。でも、いくら弱くてもいずれは強くならないといけない。誰かの協力がないと戦えないような情けない人にはなりたくないしね。」


リリエはまっすぐな目をスカイに向ける。


「今回のだって、ほんとは私の戦いなのに、もう3人も巻き込んじゃってる。…だから、弱いままでいるわけにはいかない。あの時、私に手を貸してて良かったんだって、そう思ってもらいたいから。次は私が恩を返したいから。私はどんなに不利でも立ち向かいたいの。この戦いで少しでも誰かを守れるようになるために。」


リリエのその言葉にスカイはしばらくリリエを見つめると、少し下を向いて言った。


「…そう。……ごめん」
「え?なんで謝るの?」
「…なんでも。それより、早くしないと…」


そうスカイが言った瞬間、2人の隠れる影の近くに短剣ダガーが数十本突き刺さった。


「?!」
「俺たちがもっと不利になるかもしれない。早く倒した方がいい。」
「よし、じゃあ、行こう!」


そうリリエは笑って走り出す。そんなリリエの腕をスカイは掴んだ。


「待って。…攻撃を避けるときのことだけど、攻撃は難しく考えずに避けた方がいい。」
「考えずに?」


リリエが繰り返すとスカイは頷く。


「ほとんど本能的に避けた方が身に付きやすいし、攻撃を受ける数も減るから。」
「分かった。ありがとうスカイ。」


リリエはスカイに笑いかけると、スカイの目が少しだけ優しくなった。そしてスカイはリリエより少し前に出る。


「俺が先に出る。…危険だと感じたらすぐに逃げて。」


スカイの言葉に大きく頷くとスカイは影から飛び出した。その瞬間、スカイに大量の短剣ダガーが飛んでいく。


「【アンディソベル・パーション】」


そう言って、スカイは右手を大きく左から右へ振った。すると、大きな氷の壁が一瞬にしてできあがり、城の護衛たちの投げる短剣ダガーを防いだ。


「すごい…!」
「…壁もそう長くはもたない。安全なうちに早く出て。」


その言葉に頷くと、リリエは影からさっと出た。まだ氷の壁は壊れずに短剣ダガーを防いでくれている。


「よし。」


″壁が短剣ダガーを防いでくれている間に、魔法で対抗できるように…″


そう心で呟き、言った。


「…さぁ、いつかかって来ても準備はできてるよっ!」


リリエは左手を横にかざし、手に風を起こしながらそう言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

さようなら、お別れしましょう

椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。  妻に新しいも古いもありますか?  愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?  私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。  ――つまり、別居。 夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。  ――あなたにお礼を言いますわ。 【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる! ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙はお借りしたものです。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...