ツムギ ツナグ

みーな

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リューシャ編

13話

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城の入り口の目の前まで行くと、スカイはリリエに言った言葉通りに勢いよく扉を蹴り飛ばした。城の中には扉が壊され、倒れた音が響き渡る。


「…っ…ごめん」


中に入ってすぐ、スカイは突然リリエを前に引っ張った。


「え……きゃっ」


スカイは前に倒れるリリエを抱いて、床に伏せた。すると、二人の頭上を短剣ダガーが通りすぎた。


「…?!だ、短剣ダガー…?」
「…厄介だな…神の城の護衛は…」


そうスカイが呟いたのを聞いて、そっと前を見ると短剣ダガーを構え、黒いローブを羽織った者たちがずらりと立っていた。


「こ、この人たちは…護衛…なの…?」
「そう。だけど、あいつらは近距離も遠距離もどっちの攻撃も出来る。」
「…っていうことは…」


スカイに手を貸してもらい、話しながらもさっと立ち上がったリリエは1つの結論が導き出され、そっとスカイを見た。スカイは頷いて言う。


「…俺たちみたいな遠距離からの攻撃を得意とする者たちにとったら、そこそこ厄介なやつらってこと。……っ」
「わ…ひゃっ?!」


スカイは護衛が短剣ダガーをこちらに放ったのが見え、リリエを抱くとすぐに横に飛び退いて避けると、偶然奇跡的に見つけた影に飛び込んだ。


「…ほんとに厄介だね…」


″俺だけだったら、どうにか行けると思うけど…″


そうスカイは未だに抱いているリリエを見た。


「…えっと…スカイ…一回下ろしてくれる…?」
「?…あぁ、忘れてた。」


一瞬何のことか分かっていなかったスカイだが、すぐに理解してスカイはリリエをおろした。リリエは下ろしてもらうと悲しそうな顔をして言った。


「ごめんねスカイ…私なんかスカイの邪魔になってるよね…」


そのリリエの言葉にかなり深いため息をつくスカイ。


「…はぁぁ。これ、君の戦いでしょ。なのになんで君が邪魔になるの?邪魔なんて思ってないし、まず思わない。」


″……だけど、まだ攻撃を避けることに慣れてないから、いくら魔法の扱いに長けていたとしても危険…俺でもあの人数だと気が回らなくなる…そんなことになれば…″


「…スカイ。」


考え込むスカイにリリエは言った。


「私なら大丈夫。援護が無くても戦える。」
「…?!」


その言葉でスカイが珍しく少し目を見開いてリリエの方を見た。


「…でも、あの護衛には魔法の威力だけに頼っていたら絶対に勝てない。あいつらの攻撃は短剣ダガーを遠距離だと大量に飛ばして、近距離だと剣のように扱うんだ。まともに受けようなんてまずしないだろうし、とにかく危険だ。」
「…そんなこと言っても、スカイだって私をいちいち見てられないでしょ?さっきみたいに体力を削っていくのは人数が多すぎて出来ないだろうし、スカイにも限界がある。…そうでしょ?」


じっとリリエはスカイを見つめる。


「だとしても…」
「…スカイが心配なのも分かるよ。私は魔法の扱いには強くても、相手の攻撃を避けることには全く経験がないから。でも、いくら弱くてもいずれは強くならないといけない。誰かの協力がないと戦えないような情けない人にはなりたくないしね。」


リリエはまっすぐな目をスカイに向ける。


「今回のだって、ほんとは私の戦いなのに、もう3人も巻き込んじゃってる。…だから、弱いままでいるわけにはいかない。あの時、私に手を貸してて良かったんだって、そう思ってもらいたいから。次は私が恩を返したいから。私はどんなに不利でも立ち向かいたいの。この戦いで少しでも誰かを守れるようになるために。」


リリエのその言葉にスカイはしばらくリリエを見つめると、少し下を向いて言った。


「…そう。……ごめん」
「え?なんで謝るの?」
「…なんでも。それより、早くしないと…」


そうスカイが言った瞬間、2人の隠れる影の近くに短剣ダガーが数十本突き刺さった。


「?!」
「俺たちがもっと不利になるかもしれない。早く倒した方がいい。」
「よし、じゃあ、行こう!」


そうリリエは笑って走り出す。そんなリリエの腕をスカイは掴んだ。


「待って。…攻撃を避けるときのことだけど、攻撃は難しく考えずに避けた方がいい。」
「考えずに?」


リリエが繰り返すとスカイは頷く。


「ほとんど本能的に避けた方が身に付きやすいし、攻撃を受ける数も減るから。」
「分かった。ありがとうスカイ。」


リリエはスカイに笑いかけると、スカイの目が少しだけ優しくなった。そしてスカイはリリエより少し前に出る。


「俺が先に出る。…危険だと感じたらすぐに逃げて。」


スカイの言葉に大きく頷くとスカイは影から飛び出した。その瞬間、スカイに大量の短剣ダガーが飛んでいく。


「【アンディソベル・パーション】」


そう言って、スカイは右手を大きく左から右へ振った。すると、大きな氷の壁が一瞬にしてできあがり、城の護衛たちの投げる短剣ダガーを防いだ。


「すごい…!」
「…壁もそう長くはもたない。安全なうちに早く出て。」


その言葉に頷くと、リリエは影からさっと出た。まだ氷の壁は壊れずに短剣ダガーを防いでくれている。


「よし。」


″壁が短剣ダガーを防いでくれている間に、魔法で対抗できるように…″


そう心で呟き、言った。


「…さぁ、いつかかって来ても準備はできてるよっ!」


リリエは左手を横にかざし、手に風を起こしながらそう言った。
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