ツムギ ツナグ

みーな

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リューシャ編

10話

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考えていたリリエの耳にかすかに何らかの音が、否、声が聞こえてきた。


「〔…早くしないと逃げてしまうからな…〕」
「…?!」


リリエは声の聞こえた方向を向くが、誰もいない。


「…誰?」
「どうかした?」


リリエが誰に言うでもなく呟いた言葉が聞こえて、スカイはリリエに声をかけるが、リリエは聞こえた謎の声に意識が行ってしまっている。


″なに…誰の声なの…?″


そう耳を澄ました時。再び声が聞こえた。


「〔…かすかに見えてきたな…やつらは気づいてない。今のうちに魔法を撃ちこめ!〕」
「っ!スカイ!」
「えっ?」


攻撃が来ることを察知したリリエはスカイの腕をとり、走って近くの岩陰に隠れた。その瞬間、リリエとスカイが立っていたところに巨大な雷が落ちた。


「…雷が…もしかして、分かってたのか…?」
「え、あ、いや…声が聞こえて…」
「声?」
「うん。…でも詳しいことは…」
「後、になりそう…か。」


雷が落ちたところに目を向けると、2人の神がこちらの岩陰をじっと見つめていた。


「完全にバレてるもんね…」
「…俺は片方を相手する。まだ戦闘に慣れてないのに戦わせるのは悪いけど…」


その言葉に首を横に振るリリエ。


「ううん。戦う覚悟はしてたから大丈夫。なるべくスカイに手を借りないようにするから。」
「ヤバそうなときは迷わず俺のことに来て。」
「うん!」


スカイの言葉に笑顔で返事すると、スカイは神が立つ方を向いて、右手を前に出した。


「【レリアヒュー・フローズン】」


すると、氷が神の2人の上から降り注ぎ、それを防いでいる間にスカイとリリエは陰から飛び出した。


「っ!あいつらだ!この氷は俺が防いでおく!お前は攻撃しろ!」
「分かった!」


そう言って、1人の神が向かってくる。リリエは立ち止まり、魔法を使おうとしたが、その前にスカイが神に蹴りを入れ、攻撃をした。


「ぐはっ!」
「…こいつは、俺が相手するから。君はあっちの方倒して。」
「うん!」


リリエはそう返事をして、今もスカイの降らせた氷を防いでいる片方の神の方へ向かった。


「行かせるか…【サンドラテス・ボルティック】!」


リリエに向かってスカイが相手をする神が電気の球を放った。


「…別に、あっちの方行かせても支障なんてないでしょ。俺の方集中してないと、死ぬかもしれないから気を付けてよ。」


するとスカイは指をならし、電気の球を凍らせた。その時、リリエはもう1人の神の方へ向かっていた。







 その頃、もう片方の神は両手でバリアを発動させて、氷を防いでいた。


「…くっ…氷が、なかなか…だな…早くしなければ、攻撃されて…」


氷を防ぐ体制のまま、動かずに呟く神を見てリリエは1つの考えに至る。


″…氷に苦戦してて、こっちになにも出来ない…?なら、今のうちに…!″


リリエは走りながら、右手を横に勢いよく伸ばした。


″やっぱり、成功する確率は全体的に低いけど…仕方ないもん!″


「【サーヴェリル・ストーム】!」


リリエの右手から暴風が巻き起こり、神に向かってそれを思い切り振るったその時。


「【セカンド・オブディクス】」


突如としてバリアが出現し、リリエの風は見事に防がれてしまった。


「か、風が…?!」
「…運良く、二つ目のバリアで防げたな」


そう笑った神を見て、リリエは感じた。


″手抜きのバリアってこと…?…なめられてる…!″


「【タービュレット・フレイム】!」


次はリリエは左手を前に突きだし、炎を放った。


「…!2つもの属性を…?だが、俺にはそんなもの、効きやしない。【デスピアーズ・ヒート】」


すると、炎はなぜかスッと消えてしまった。


「?!な、なんで…?」
「属性は、普通1つまでしか覚えられないと思っていたんだけどな…ましてや人がそんなに扱えるとは、思ってもいなかった。2つもの属性を扱うなんて素晴らしいな。人よ。」


完全にバカにしたような笑みと言葉で、リリエは俯いて右手をぎゅっと強く握りしめると、突然顔をあげて意味深な笑みを浮かべ返した。


「……で?面白いね。本当に。見たことしか結論に出さないなんて。」
「…なんだと?まだ、扱える属性があるということなのか…?」
「…【アルブレスタ・ウィンディア】」


呟く神に欠片の興味も示さず、リリエは右手をまっすぐ伸ばして呟くように詠唱を唱えた。


「…っ?!そんなもの…」


そうバリアを張ろうとした神にリリエは言った。


「無駄。その風は絶対の風。どんな防御魔法であったとしても突き抜ける。」
「くっ!【フィエクションザ・ウォール】!」


リリエの忠告を聞かず、バリアを発動した神。だが、リリエの言う通り風はバリアを突き破り、神に攻撃を食らわせた。


「ぐっ!」
「だから言ったのに。無駄だって。」
「…?さっきまで…動揺したり慌てたりしていたはず…属性の事をこっちが口にしてからなにかが違う…」


神はそう先程と変わって表情が消え、少し冷ややかな目をこちらへ向けるリリエを見た。
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