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リューシャ編
19話
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「【エクレセンデット・ストーム】」
リリエの伸ばす右手から暴風が放たれる。その暴風を横に飛んで避ける青年。青年は余裕そうに横に飛びながら左手を前に出すと、左手に槍が数本出現しリリエの方へと放たれた。その時の青年の顔は笑っていて、余裕そうな雰囲気を出していた。
「俺に本当に勝てると思ってる?」
「っ!…【サーヴェリル・ストーム】」
リリエはとっさに左手を横に伸ばして風の鞭のようなものを出現させた。それを右手に持ちかえると、勢いよく振り払う。すると鞭の軌道上に突風が巻き起こり、放たれた槍を吹き飛ばした。
「…相変わらず、俺の槍を吹き飛ばすなんて大した風だな…じゃあ、これならどうかな?」
青年が左手を上に伸ばすとほぼ同時にあり得ないほどの大量の槍が現れ、雨のように上から降ってくる。
「…っ!」
リリエが降ってくる槍を跳ね返そうと両手を上に伸ばしたその時、リリエの耳に声が聞こえた。
「【レイシャンド・フリーズ】」
その瞬間、降り注いでくる全ての槍が氷に包まれた。
「!…スカイ…」
「あの量の槍を、全て…」
「…俺の存在、忘れてるでしょ。…俺だったらこんな量の物、軽く凍らせられる。」
リリエはスカイの方を横目で見て、言った。
「…邪魔しないで。」
「あれをリリエ1人で全部防げた?いくら広範囲に使える技でも使いこなしていなければその範囲は限られる。それに、今の君のように怒りという感情だけで力を振り回せば、威力は普段より上がるにしても隙は大きくなるし、下手して我を忘れてしまえば魔法が暴走することだってある。そうなれば…」
スカイはリリエに近寄り、耳元でそっと言った。
「…そうなれば、友達を連れ戻すなんて夢のまた夢になる。それでもいいなら、そのままで…」
「良いわけない…!」
リリエは突然そう言うとスカイの方を見た。
「良い訳ないよ…なんでそれを早く言ってくれなかったの?そうしたら、私が怒ることなんて無かったのに」
「…ほんとは、いろいろあるけど…それは後で言わせてもらおうかな。今、面倒な状況になってるから。」
そう言ったスカイの背後には無数の槍が浮いていた。
「!スカイ…」
「大丈夫。 もう凍らせてるから。」
そう言った瞬間無数の浮いていた槍が凍り、砕け散った。
「…話は終わった?」
「強制的に終わらされたよ。まあでも、お陰でお前の弱点は分かった。」
その言葉にフッと笑う青年。
「面白いことを言う。俺のこの魔法に何の弱点があるというんだ?」
するとスカイは少し小さめの氷の塊を青年の上から放った。青年は手を氷の方へとかざし、大量の槍を召喚すると、氷を呆気なく砕いた。
「あんな攻撃で、俺のどんな弱点が分かったと?」
微笑を浮かべそういう青年にスカイはため息をついた。
「はあ、自分で自分の魔法の弱点も分かっていないような奴がよく神の城の番人なんて任されてるね。今まで魔法の威力だけに頼って勝ってきてたのがよくわかる。逆に、なんでこれまで勝ってこれたのか不思議なくらい。」
「…黙って聞いてたら、ただ俺を煽る言葉にしか聞こえないんだがな。俺が挑発に乗って弱点をばらすなんてバカなことをするとでも思っているのか?」
そう笑う青年を一瞥して、スカイは言葉を続けた。
「…分かっていないならそれはそれで好都合だよ。分からない弱点は自分で見つけるものだし。」
スカイは少し後ろに立ってスカイの言葉にはてなマークを浮かべるリリエにそっと囁いた。
「…あいつの弱点、見えた?」
「うん。大丈夫。分かったよ。」
リリエはスカイに笑いかけ、青年の方を見た。
″…あの番人の攻撃の弱点は、数え切れないほどの槍を出すこと。これだけ見れば弱点じゃないように思えるけど、これだけで既に2つもの弱点が露見している。1つめは、槍しか出せないこと。これはかなり致命的な弱点だと思う。そして2つめは、単数で出せないこと。多い数でしか対応できないから、細かい攻撃にはなにもできない。この2つの弱点を攻めればこっちも勝てるかもしれない。でも、あの様子だともしかしたら何か策があってやっている可能性もあるね…″
「…よく考えて動かないとね…」
リリエはそう呟いた。
「俺が一瞬でも気を引くからリリエはなんでも良いから攻撃して。タイミングはリリエの方で図って。」
「うん。分かった。」
「…もしかしたらあれは罠かもしれないけど、どっちにしても俺には考えがある。リリエは考えなしに攻撃して良いから。」
「ありがとう。」
リリエはもう一度スカイに感謝の意も込めて笑いかけた。スカイは頷くと青年に向かって駆け出した。
「作戦会議は終わったか?俺のこと忘れたのかと不安になったよ。」
そう笑う青年にスカイは氷を放った。
「…その茶番が疎いって、何度言ったら分かるんだ。さぁ、俺たちに実力を理解させるんじゃないの?」
スカイの放った氷を腕で弾きながら、青年は言った。
「もちろん、そのつもりだけど俺は君たちを少し#侮_あなど__#ってたみたいでね。ここで名乗っておこう…君たちの牢獄への土産のために…俺は、召喚する者のレステルト・ルディーラ。現皇女と皇子の息子だ。」
「…俺には関係のないことだね。それと、俺たちは負ける気なんて無いってことをしっかり教えてあげるよ。」
スカイは少し冷たさの増した目を青年こと、レステルトに向けた。
″考えなしに攻撃して良いって言われたけど…スカイは戦い慣れてない私のために攻撃を無駄に受けてる…邪魔だし、余計かも知れないけど…私は、あいつの弱点が事実かどうか調べる。″
リリエはそう心の中で呟いてぎゅっと拳を握りしめた。
リリエの伸ばす右手から暴風が放たれる。その暴風を横に飛んで避ける青年。青年は余裕そうに横に飛びながら左手を前に出すと、左手に槍が数本出現しリリエの方へと放たれた。その時の青年の顔は笑っていて、余裕そうな雰囲気を出していた。
「俺に本当に勝てると思ってる?」
「っ!…【サーヴェリル・ストーム】」
リリエはとっさに左手を横に伸ばして風の鞭のようなものを出現させた。それを右手に持ちかえると、勢いよく振り払う。すると鞭の軌道上に突風が巻き起こり、放たれた槍を吹き飛ばした。
「…相変わらず、俺の槍を吹き飛ばすなんて大した風だな…じゃあ、これならどうかな?」
青年が左手を上に伸ばすとほぼ同時にあり得ないほどの大量の槍が現れ、雨のように上から降ってくる。
「…っ!」
リリエが降ってくる槍を跳ね返そうと両手を上に伸ばしたその時、リリエの耳に声が聞こえた。
「【レイシャンド・フリーズ】」
その瞬間、降り注いでくる全ての槍が氷に包まれた。
「!…スカイ…」
「あの量の槍を、全て…」
「…俺の存在、忘れてるでしょ。…俺だったらこんな量の物、軽く凍らせられる。」
リリエはスカイの方を横目で見て、言った。
「…邪魔しないで。」
「あれをリリエ1人で全部防げた?いくら広範囲に使える技でも使いこなしていなければその範囲は限られる。それに、今の君のように怒りという感情だけで力を振り回せば、威力は普段より上がるにしても隙は大きくなるし、下手して我を忘れてしまえば魔法が暴走することだってある。そうなれば…」
スカイはリリエに近寄り、耳元でそっと言った。
「…そうなれば、友達を連れ戻すなんて夢のまた夢になる。それでもいいなら、そのままで…」
「良いわけない…!」
リリエは突然そう言うとスカイの方を見た。
「良い訳ないよ…なんでそれを早く言ってくれなかったの?そうしたら、私が怒ることなんて無かったのに」
「…ほんとは、いろいろあるけど…それは後で言わせてもらおうかな。今、面倒な状況になってるから。」
そう言ったスカイの背後には無数の槍が浮いていた。
「!スカイ…」
「大丈夫。 もう凍らせてるから。」
そう言った瞬間無数の浮いていた槍が凍り、砕け散った。
「…話は終わった?」
「強制的に終わらされたよ。まあでも、お陰でお前の弱点は分かった。」
その言葉にフッと笑う青年。
「面白いことを言う。俺のこの魔法に何の弱点があるというんだ?」
するとスカイは少し小さめの氷の塊を青年の上から放った。青年は手を氷の方へとかざし、大量の槍を召喚すると、氷を呆気なく砕いた。
「あんな攻撃で、俺のどんな弱点が分かったと?」
微笑を浮かべそういう青年にスカイはため息をついた。
「はあ、自分で自分の魔法の弱点も分かっていないような奴がよく神の城の番人なんて任されてるね。今まで魔法の威力だけに頼って勝ってきてたのがよくわかる。逆に、なんでこれまで勝ってこれたのか不思議なくらい。」
「…黙って聞いてたら、ただ俺を煽る言葉にしか聞こえないんだがな。俺が挑発に乗って弱点をばらすなんてバカなことをするとでも思っているのか?」
そう笑う青年を一瞥して、スカイは言葉を続けた。
「…分かっていないならそれはそれで好都合だよ。分からない弱点は自分で見つけるものだし。」
スカイは少し後ろに立ってスカイの言葉にはてなマークを浮かべるリリエにそっと囁いた。
「…あいつの弱点、見えた?」
「うん。大丈夫。分かったよ。」
リリエはスカイに笑いかけ、青年の方を見た。
″…あの番人の攻撃の弱点は、数え切れないほどの槍を出すこと。これだけ見れば弱点じゃないように思えるけど、これだけで既に2つもの弱点が露見している。1つめは、槍しか出せないこと。これはかなり致命的な弱点だと思う。そして2つめは、単数で出せないこと。多い数でしか対応できないから、細かい攻撃にはなにもできない。この2つの弱点を攻めればこっちも勝てるかもしれない。でも、あの様子だともしかしたら何か策があってやっている可能性もあるね…″
「…よく考えて動かないとね…」
リリエはそう呟いた。
「俺が一瞬でも気を引くからリリエはなんでも良いから攻撃して。タイミングはリリエの方で図って。」
「うん。分かった。」
「…もしかしたらあれは罠かもしれないけど、どっちにしても俺には考えがある。リリエは考えなしに攻撃して良いから。」
「ありがとう。」
リリエはもう一度スカイに感謝の意も込めて笑いかけた。スカイは頷くと青年に向かって駆け出した。
「作戦会議は終わったか?俺のこと忘れたのかと不安になったよ。」
そう笑う青年にスカイは氷を放った。
「…その茶番が疎いって、何度言ったら分かるんだ。さぁ、俺たちに実力を理解させるんじゃないの?」
スカイの放った氷を腕で弾きながら、青年は言った。
「もちろん、そのつもりだけど俺は君たちを少し#侮_あなど__#ってたみたいでね。ここで名乗っておこう…君たちの牢獄への土産のために…俺は、召喚する者のレステルト・ルディーラ。現皇女と皇子の息子だ。」
「…俺には関係のないことだね。それと、俺たちは負ける気なんて無いってことをしっかり教えてあげるよ。」
スカイは少し冷たさの増した目を青年こと、レステルトに向けた。
″考えなしに攻撃して良いって言われたけど…スカイは戦い慣れてない私のために攻撃を無駄に受けてる…邪魔だし、余計かも知れないけど…私は、あいつの弱点が事実かどうか調べる。″
リリエはそう心の中で呟いてぎゅっと拳を握りしめた。
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