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リューシャ編
40話
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少しばかり時を戻しルクトとミストが話していた時、リリエとスカイはミストとルクトがいた場所から少し離れたところにいた。
「…っ……頭がクラクラする…あの眩しさの中進めとか無理があるでしょ…なんで光の属性魔法あんだけ扱ってるのにそこいらの調節できないかな…」
「………」
壁にもたれ、クラクラとする頭を右手で押さえて、ルクトへの愚痴をこぼすスカイと同じように壁にもたれて黙って俯き、黙り込んだままのリリエ。そんなリリエにスカイは頭を押さえながら問いかけた。
「…ルクト兄さんに怒ってる?」
「……私に、怒る権利なんてないよ…ルクトの邪魔しちゃったから…ルクトこそ、あんな圧かけてきたぐらいだし、怒ってるんじゃないのかな…?」
そう、先程ルクトに笑顔で返したのとは大違いに暗い声で言う。
「ルクト…先に進ませたかったんだよね…それは分かってたのに…迷惑かけちゃった…絶対、絶対怒ってる…」
リリエがとても落ち込んでいるのは声色で良く分かった。スカイはそんなリリエに呟くように言う。
「…リリエ。ルクト兄さんってさ、 自分が大切だって思ってる相手にはあんまり怒れないんだ。…じゃあ注意したいときどうするかっていうと、圧をかける。さっきリリエにしたみたいにね。…多分今頃は、なんだかんだリリエに嫌われてないか悩んでると思うよ」
そのスカイの言葉にリリエはゆっくりと顔を上げ、スカイの方を見た。
「ほんと…?」
「うん。本当。大丈夫だよ。」
「だったら、良いんだけど…」
心配そうに目線を下に向け、2人の間にしばらくの沈黙が流れた。一向に立ち直る気のしないリリエはしゃがみこんで顔を俯かせたままで表情が見えない。
「…リリエ、こっち向いて。」
「え?」
唐突にそう言われて、リリエは反射的にスカイの方を見上げた。すると両頬をスカイにそこそこ強く左右に引っ張られる。
「?!ひ、ひはいよふふぁい!」
「ごめんリリエ、痛いとか言ってるの聞き取れない。」
「ひひとふぇへるひょふぇ!へっはい!」
リリエのその言葉でまだ聞こえていないフリを続けてやろうかと思ったがさすがに悪いかと思いとどまり、スカイはリリエの両頬から手を離した。
「い…痛いぃぃぃ…」
リリエはじんじんと鈍く痛む両頬を押さえる。
「もう…なんで突然人の頬っぺたつねるの…?結構痛いし…」
「元気出た?」
呟くリリエに声をかけるスカイ。
「…頬っぺたつねられて元気になるって人がいると思う?」
「思わない。」
リリエの若干不満さが入った問いかけにさらりと即答する。
「もう…っていうか、だからなんでスカイは私の頬っぺたをつねったの?!」
口調に、ほんの少しだけ怒りを込めてスカイに言葉を返す。
「リリエがずっと下向いてたからでしょ。どうせルクト兄さんは怒ってないのに、落ち込んでても何もないよ。逆にルクト兄さんを困らせるだけ。…それに、リリエは、前を向いて笑ってるほうが可愛いよ」
「…!」
スカイが言ったその言葉にリリエは驚きで目を見開いた。
真っ直ぐに向けられるその澄んだ群青色の瞳には嘘を、お世辞を言っているようには見えない。いや、そもそもスカイは思ったことはあまり隠さないタイプだ。(つまり、思ったことをそのまま言う事が多いと言うことなのだが。)
「どうしたの?」
こちらをじっと見つめたまま動かないリリエに声をかけるスカイ。
「……」
素直に一言言うとすれば嬉しい。そう思った。ただ、頬が赤く、熱くなってきたのはスカイに頬をつねられたせいだと思いたかった。だからか、リリエは咄嗟に再び頬を隠すかのように押さえる。そして恥ずかしさを紛らわせるように、満面の笑みで言葉を返した。
「う、ううん。ありがとうスカイ」
「…だから俺、あんまりお礼言われるの慣れてないって言ったと思うけど」
スカイはまるで顔を隠すかのように、手で左のつむじ近くを押さえてそう言った。その行動は、リリエにはスカイが呆れているように見えて。
「ご、ごめん!すっかり忘れてた…!ほんとにごめん!」
必至にそう謝ってくるリリエをスカイは右手で制する。
「…いや、気にしてないから。そんなに謝らなくても良いから。」
「あ…そうなの?でも、頭押さえてどうしたの…?」
「…これは、ルクト兄さんの光のせいで頭がちょっとクラクラするだけだから。大したことじゃない。」
心配して顔を覗き込んでこようとするリリエに、顔を見せようとしないスカイはそう答える。スカイはしばらく頭を押さえていたが、少しして顔を上げるとふうっと息を吐き、リリエの方を見た。
「…行こうか。リリエ」
スカイは無表情でリリエに聞く。
「うん!」
リリエはそう笑って頷くと、立ち上がった。
〝前を向いて笑ってるほうが可愛いよ〟
リリエの中で、その言葉が再びリピートされる。
″…スカイは、ただ素直にそう言っただけだよ。″
本人は、どうも思ってないんだから。そう心の中で呟いて、少し前を歩くスカイの背中を追いかける。
「この先に、最後のスヴールの部下がいるんだよね」
「…うん。でも、すぐにスヴールと戦うことになると思うから、心の準備しててよ。」
「え?う、うん。」
″すぐに戦うことになるなんて…なんでわかるんだろう…?″
リリエはスカイの言葉に内心首をかしげた。
「…っ……頭がクラクラする…あの眩しさの中進めとか無理があるでしょ…なんで光の属性魔法あんだけ扱ってるのにそこいらの調節できないかな…」
「………」
壁にもたれ、クラクラとする頭を右手で押さえて、ルクトへの愚痴をこぼすスカイと同じように壁にもたれて黙って俯き、黙り込んだままのリリエ。そんなリリエにスカイは頭を押さえながら問いかけた。
「…ルクト兄さんに怒ってる?」
「……私に、怒る権利なんてないよ…ルクトの邪魔しちゃったから…ルクトこそ、あんな圧かけてきたぐらいだし、怒ってるんじゃないのかな…?」
そう、先程ルクトに笑顔で返したのとは大違いに暗い声で言う。
「ルクト…先に進ませたかったんだよね…それは分かってたのに…迷惑かけちゃった…絶対、絶対怒ってる…」
リリエがとても落ち込んでいるのは声色で良く分かった。スカイはそんなリリエに呟くように言う。
「…リリエ。ルクト兄さんってさ、 自分が大切だって思ってる相手にはあんまり怒れないんだ。…じゃあ注意したいときどうするかっていうと、圧をかける。さっきリリエにしたみたいにね。…多分今頃は、なんだかんだリリエに嫌われてないか悩んでると思うよ」
そのスカイの言葉にリリエはゆっくりと顔を上げ、スカイの方を見た。
「ほんと…?」
「うん。本当。大丈夫だよ。」
「だったら、良いんだけど…」
心配そうに目線を下に向け、2人の間にしばらくの沈黙が流れた。一向に立ち直る気のしないリリエはしゃがみこんで顔を俯かせたままで表情が見えない。
「…リリエ、こっち向いて。」
「え?」
唐突にそう言われて、リリエは反射的にスカイの方を見上げた。すると両頬をスカイにそこそこ強く左右に引っ張られる。
「?!ひ、ひはいよふふぁい!」
「ごめんリリエ、痛いとか言ってるの聞き取れない。」
「ひひとふぇへるひょふぇ!へっはい!」
リリエのその言葉でまだ聞こえていないフリを続けてやろうかと思ったがさすがに悪いかと思いとどまり、スカイはリリエの両頬から手を離した。
「い…痛いぃぃぃ…」
リリエはじんじんと鈍く痛む両頬を押さえる。
「もう…なんで突然人の頬っぺたつねるの…?結構痛いし…」
「元気出た?」
呟くリリエに声をかけるスカイ。
「…頬っぺたつねられて元気になるって人がいると思う?」
「思わない。」
リリエの若干不満さが入った問いかけにさらりと即答する。
「もう…っていうか、だからなんでスカイは私の頬っぺたをつねったの?!」
口調に、ほんの少しだけ怒りを込めてスカイに言葉を返す。
「リリエがずっと下向いてたからでしょ。どうせルクト兄さんは怒ってないのに、落ち込んでても何もないよ。逆にルクト兄さんを困らせるだけ。…それに、リリエは、前を向いて笑ってるほうが可愛いよ」
「…!」
スカイが言ったその言葉にリリエは驚きで目を見開いた。
真っ直ぐに向けられるその澄んだ群青色の瞳には嘘を、お世辞を言っているようには見えない。いや、そもそもスカイは思ったことはあまり隠さないタイプだ。(つまり、思ったことをそのまま言う事が多いと言うことなのだが。)
「どうしたの?」
こちらをじっと見つめたまま動かないリリエに声をかけるスカイ。
「……」
素直に一言言うとすれば嬉しい。そう思った。ただ、頬が赤く、熱くなってきたのはスカイに頬をつねられたせいだと思いたかった。だからか、リリエは咄嗟に再び頬を隠すかのように押さえる。そして恥ずかしさを紛らわせるように、満面の笑みで言葉を返した。
「う、ううん。ありがとうスカイ」
「…だから俺、あんまりお礼言われるの慣れてないって言ったと思うけど」
スカイはまるで顔を隠すかのように、手で左のつむじ近くを押さえてそう言った。その行動は、リリエにはスカイが呆れているように見えて。
「ご、ごめん!すっかり忘れてた…!ほんとにごめん!」
必至にそう謝ってくるリリエをスカイは右手で制する。
「…いや、気にしてないから。そんなに謝らなくても良いから。」
「あ…そうなの?でも、頭押さえてどうしたの…?」
「…これは、ルクト兄さんの光のせいで頭がちょっとクラクラするだけだから。大したことじゃない。」
心配して顔を覗き込んでこようとするリリエに、顔を見せようとしないスカイはそう答える。スカイはしばらく頭を押さえていたが、少しして顔を上げるとふうっと息を吐き、リリエの方を見た。
「…行こうか。リリエ」
スカイは無表情でリリエに聞く。
「うん!」
リリエはそう笑って頷くと、立ち上がった。
〝前を向いて笑ってるほうが可愛いよ〟
リリエの中で、その言葉が再びリピートされる。
″…スカイは、ただ素直にそう言っただけだよ。″
本人は、どうも思ってないんだから。そう心の中で呟いて、少し前を歩くスカイの背中を追いかける。
「この先に、最後のスヴールの部下がいるんだよね」
「…うん。でも、すぐにスヴールと戦うことになると思うから、心の準備しててよ。」
「え?う、うん。」
″すぐに戦うことになるなんて…なんでわかるんだろう…?″
リリエはスカイの言葉に内心首をかしげた。
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