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リューシャ編
39話
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「!光で目をくらませ、その光に耐性のある者が進んだか……だが、相変わらず衰えてはおらんなその威圧。さすが元…と言ったところか。」
ルクトが元、何なのかはミストは口にしなかった。が、ルクトはミストに言葉を返す。
「…僕にそんなことを意地悪く言ってくるとはな…時の流れは恐いな。」
「今の妾はスヴール様に使えている。他の者に、それも過去の栄光には敬えぬ」
「そうか。まあ、僕自身もその称号は捨ててるからなんの問題もない。ただ、スヴールか…もし昔の僕だったらなんとも思わなかっただろうが…」
ミストは笑ってルクトの言葉の続きを言った。
「あのリリエとか言う少女が絡んでいるから、この事件は許せぬとでも言うか?」
「それもある。が、今回は僕の知り合いを片っ端から巻き込んでいるようにも感じる。特に許せないのは、リリエとスカイ、あとリューシャことルーナを巻き込んでるとこか。」
ルクトはミストを軽く睨み付けるような目で見つめた。
「…ははっ…はははっ!」
突然笑いだしたミストに、ルクトは似合わない少し冷めた目を向ける。
「特に許せない…か。リリエとか言う少女は、さっきあれほど威圧したと言うのによく言えるな?本人は笑っていたみたいだが、本心はどうなんだろうな?」
バカにしたような目をルクトへ向ける。そう。先程ルクトはリリエを先へ進ませるために圧をかけたのだ。リリエは笑っていたが、本当は怒っていたかもしれない。怯えていたかもしれない。ルクトの中ではそんな悩みも少なからずあった。
″もう嫌われたら嫌われたでいい気もするけどな…リリエのことだから嫌うに嫌えなくて自分を責めそうだ…僕も圧をかけることだけはしたくなかったんだけどな…あれだとリリエが行かない気がしたし…″
そう考えているが、ルクトの表情にはそんなこと考えていないかのように変化は無い。
「…嫌われたら嫌われたで良い。僕が嫌われるようなことをしたんだから。」
ルクトの言葉になぜか感心したような、驚いた顔をするミスト。
「ほう……変わったものだな。元、神の皇子も。」
「なんで今更になってそういう言い方に変えるんだ。もう僕は敬わないんじゃないのか?」
「…なんとなくだ。お主が昔、皇子をしていた頃は相手の情など考えもしなかっただろうに」
「今も考えてないさ。…ところで、雑談なんかをしてても良いのか?反逆者を追わないといけないんじゃないか?」
ミストはルクトのその台詞に鼻で笑う。
「フッ…追わせる気など更々無いのだろう?」
「…当たり前だろ。僕も、今は機嫌が良くないんだ。」
ミストは手に闇を纏わせ、ルクトは体勢を低くする。ルクトは光の属性魔法を操り、光を発生させる。ミストは闇の属性魔法を操り、闇で魔法を吸収できる。光は闇を消すことができるが、闇もまた光を消すこともできる。それを互いに承知の上で、ルクトとミストは同時に右手を前に出した。
「【エンディース・ダーク】!」
「【ソリュード・ラディンタ】!」
ミストからは闇が、ルクトからは光が放たれる。闇と光はちょうど2人の立つ真ん中でぶつかり合う。しばらく光と闇はぶつかり合っていたかと思うと、光と闇は突然弾け、消え去った。
″やっぱり、打ち消し合う魔法がぶつかればその言葉通り消えてしまうか…″
ルクトはそう悔しげに唇を噛む。
″リリエやスカイとは違い魔法を攻撃に使われる危険性は無いが、これだと攻撃が出来ない可能性が高いな…威力を高めようとも打ち消されるともなれば、なにか別の手段を考えるか?いや、それは向こうも同じ事を考えるか…ここはあえて、属性魔法だけで押しきってみるか…!″
そう考え、ルクトは床を蹴ってミストとの距離を詰める。
「【クリエート・フラッシュ】!」
「くっ!また、目眩ましを…!だが、闇を扱う妾の魔法であれば打ち消すことなど…」
「…遅いな。ミスト。」
「な…?!」
眩い光がミストが魔法を放つ前に消え、その後ろにはいつのまにかルクトが立っていた。気配はずっと感じ続けていたのに、少し動いても分かるように気配は追っていたのに、どうやって後ろに回り込んだのかと目を見開く。
「あの頃僕はずっと言ってただろ?気配を辿っていただけでは意味がないって。もう忘れたのか?…って言いたいとこだが、忘れるのも仕方ないか。【ライトアン・ブレーズ】」
ルクトは光の刃を手に纏わせてミストに放った。
「っ!【ブラック・ホール】!」
ミストはとっさに両手で闇のブラックホールを作り出して、ルクトの放った光の刃を打ち消した。
光と闇。
互いに打ち消しあってしまうこの2つの魔法。それがぶつかり合うなど今まで誰が想像しただろうか。光がどんなに強くとも闇には呑まれるし、闇がどんなに強くとも光は迷いなどなく射す。
全くもって結果の見えないこの光の属性魔法と闇の属性魔法を互いに操るルクトとミストの戦い。さて軍配が上がるのはどちらなのだろうか。
ルクトが元、何なのかはミストは口にしなかった。が、ルクトはミストに言葉を返す。
「…僕にそんなことを意地悪く言ってくるとはな…時の流れは恐いな。」
「今の妾はスヴール様に使えている。他の者に、それも過去の栄光には敬えぬ」
「そうか。まあ、僕自身もその称号は捨ててるからなんの問題もない。ただ、スヴールか…もし昔の僕だったらなんとも思わなかっただろうが…」
ミストは笑ってルクトの言葉の続きを言った。
「あのリリエとか言う少女が絡んでいるから、この事件は許せぬとでも言うか?」
「それもある。が、今回は僕の知り合いを片っ端から巻き込んでいるようにも感じる。特に許せないのは、リリエとスカイ、あとリューシャことルーナを巻き込んでるとこか。」
ルクトはミストを軽く睨み付けるような目で見つめた。
「…ははっ…はははっ!」
突然笑いだしたミストに、ルクトは似合わない少し冷めた目を向ける。
「特に許せない…か。リリエとか言う少女は、さっきあれほど威圧したと言うのによく言えるな?本人は笑っていたみたいだが、本心はどうなんだろうな?」
バカにしたような目をルクトへ向ける。そう。先程ルクトはリリエを先へ進ませるために圧をかけたのだ。リリエは笑っていたが、本当は怒っていたかもしれない。怯えていたかもしれない。ルクトの中ではそんな悩みも少なからずあった。
″もう嫌われたら嫌われたでいい気もするけどな…リリエのことだから嫌うに嫌えなくて自分を責めそうだ…僕も圧をかけることだけはしたくなかったんだけどな…あれだとリリエが行かない気がしたし…″
そう考えているが、ルクトの表情にはそんなこと考えていないかのように変化は無い。
「…嫌われたら嫌われたで良い。僕が嫌われるようなことをしたんだから。」
ルクトの言葉になぜか感心したような、驚いた顔をするミスト。
「ほう……変わったものだな。元、神の皇子も。」
「なんで今更になってそういう言い方に変えるんだ。もう僕は敬わないんじゃないのか?」
「…なんとなくだ。お主が昔、皇子をしていた頃は相手の情など考えもしなかっただろうに」
「今も考えてないさ。…ところで、雑談なんかをしてても良いのか?反逆者を追わないといけないんじゃないか?」
ミストはルクトのその台詞に鼻で笑う。
「フッ…追わせる気など更々無いのだろう?」
「…当たり前だろ。僕も、今は機嫌が良くないんだ。」
ミストは手に闇を纏わせ、ルクトは体勢を低くする。ルクトは光の属性魔法を操り、光を発生させる。ミストは闇の属性魔法を操り、闇で魔法を吸収できる。光は闇を消すことができるが、闇もまた光を消すこともできる。それを互いに承知の上で、ルクトとミストは同時に右手を前に出した。
「【エンディース・ダーク】!」
「【ソリュード・ラディンタ】!」
ミストからは闇が、ルクトからは光が放たれる。闇と光はちょうど2人の立つ真ん中でぶつかり合う。しばらく光と闇はぶつかり合っていたかと思うと、光と闇は突然弾け、消え去った。
″やっぱり、打ち消し合う魔法がぶつかればその言葉通り消えてしまうか…″
ルクトはそう悔しげに唇を噛む。
″リリエやスカイとは違い魔法を攻撃に使われる危険性は無いが、これだと攻撃が出来ない可能性が高いな…威力を高めようとも打ち消されるともなれば、なにか別の手段を考えるか?いや、それは向こうも同じ事を考えるか…ここはあえて、属性魔法だけで押しきってみるか…!″
そう考え、ルクトは床を蹴ってミストとの距離を詰める。
「【クリエート・フラッシュ】!」
「くっ!また、目眩ましを…!だが、闇を扱う妾の魔法であれば打ち消すことなど…」
「…遅いな。ミスト。」
「な…?!」
眩い光がミストが魔法を放つ前に消え、その後ろにはいつのまにかルクトが立っていた。気配はずっと感じ続けていたのに、少し動いても分かるように気配は追っていたのに、どうやって後ろに回り込んだのかと目を見開く。
「あの頃僕はずっと言ってただろ?気配を辿っていただけでは意味がないって。もう忘れたのか?…って言いたいとこだが、忘れるのも仕方ないか。【ライトアン・ブレーズ】」
ルクトは光の刃を手に纏わせてミストに放った。
「っ!【ブラック・ホール】!」
ミストはとっさに両手で闇のブラックホールを作り出して、ルクトの放った光の刃を打ち消した。
光と闇。
互いに打ち消しあってしまうこの2つの魔法。それがぶつかり合うなど今まで誰が想像しただろうか。光がどんなに強くとも闇には呑まれるし、闇がどんなに強くとも光は迷いなどなく射す。
全くもって結果の見えないこの光の属性魔法と闇の属性魔法を互いに操るルクトとミストの戦い。さて軍配が上がるのはどちらなのだろうか。
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