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リューシャ編
38話
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「…っ!」
今にも攻撃されそうなリリエを守りたくて、無駄だとわかっていても、無効化されるのが目に見えていても、動かずにはいられなかった。右手を前に伸ばし、魔法を放とうとする。が。
″ダメだ、間に合わない…″
くそっ…と呟きかけたそのとき、今まで見たこともないほどの光が部屋を包み込んだ。
「…!」
スカイはその光に目を細めながらも、光を放った人物が一瞬で理解できた。
″なんで、俺の嫌な予感が当たるかな…″
心の中でそんな愚痴を溢し、スカイは光の元となる人物の方を見た。揺れている深緑の髪。20代前半ぐらいの顔立ち。その人物はスカイもよく知っている。
「なんで来たの?ルクト兄さん。」
「なんでって、もちろんお前らを助けに来たんだよ。」
ルクトはそう自慢げに笑うと、ミストとリリエの方を見つめた。ミストは先の光で危険を察知したのか遠くに離れており、攻撃が迫っていたリリエは床に尻もちをついていた。リリエはスカイの方を見てなにかを察したのかルクトの方を見た。
「え…?ルクト……?」
「大丈夫か?リリエ」
ここにいる筈のないルクトの姿を見て、絶句する。ルクトはそんなリリエに笑顔を返した。
「なんで、ここに…?」
スカイと似たような質問をされ、ルクトは苦笑いする。
「それ、スカイにも似たようなこと言われたんだけどな…ま、助っ人ってとこだ。」
「乱入者の間違いじゃないの。」
「おいおい?僕が来なかったら、リリエ守れてなかったのによく言うな?」
ルクトのその返しはスカイの図星で、不満そうにスカイはなにも言わずそっぽを向いた。
「…さて、そんなわけで僕が相手になる。」
「相手って…ルクト戦えるの?」
ミストに言ったその言葉に、リリエは不安そうに問いかけるが、スカイがルクトより先に返す。
「戦えるもなにも、ルクト兄さんは俺より強い。心配なんてしなくても良いよ。」
「え、ルクト戦えたの?!それにスカイよりも強いって…」
スカイの発言に目を丸くする。今までそんなこと一言も言ったことがなかったから、驚いた。
「もちろん戦えるさ。僕の魔法は光。光の属性魔法。だから闇でも打ち消せるしな。」
上に伸ばした指先にルクトは光を灯してそういう。最後の言葉はミストに向けられたものだった。
「まさかここで戦うことになろうとはな。」
「ああ、想定外だったか?」
ルクトにミストはニヤリと笑う。
「いや、嬉しい誤算だ。」
″ルクトとミストって、会ったことがあるのかな…?何だか、互いに面識があるような口ぶりに聞こえるんだけど…″
どことなくそう感じるリリエだが、2人が会ったことがあるなんて、ただそう感じただけだったために気のせいかなとその考えを一蹴した。
「で、ここで共闘でもするつもりか?」
ミストにそう聞かれて、ルクトは考えることもなく即答する。
「そんなことはしないさ。ただ僕は助けに来ただけだからね。共闘は求めてない。……ってなわけで、スカイ、リリエ。先に進め。」
「え?ルクト一人で…?」
突然、先に進めと言ったその言葉にリリエは戸惑いながら不安そうな目をルクトに向けた。しかしルクトは笑ってリリエに返す。
「大丈夫だ。ここは任せろリリエ。」
″僕自身の個人的な私用も入ってくるから、リリエには先に進んでほしいんだけどな…″
ルクトのそんな心の声は分かる筈もなく、リリエはなおも心配そうにルクトを見つめる。
「…でも、やっぱり…」
「リューシャ。」
「!」
その名前を聞いて、リリエは目を見開く。そしてルクトは話を続ける。
「助けに…って言うか、連れ戻しに行くんだろ?ここは俺に任せて、リューシャに会いに行くことだけ考えて先に進むんだ。」
「え…」
ルクトには話してなかったのに。心配とか迷惑かけたくなかったから話さなかったのに。なぜ知っているのか驚いた。
「どうして…ルクトがそのこと…」
リリエの言葉になにも返さずに笑うルクト。その笑顔の意図が読めずリリエの中で疑問やら不安やら心配やらが混ざってくる。
ルクトはスカイに視線を向け、リリエを連れていけと目で言った。スカイはそれを察して頷くと、リリエの手を掴んだ。
「!スカイ?」
「ルクト兄さんが行けって言ってるんだから行こう。リリエがそんな心配してもルクト兄さんは絶対進ませようとするから変わらないよ。」
「…だけど…」
しつこいほどに、ルクトの心配をして進もうとする気配のないリリエ。それほどルクトのことが心配なのか。
「はぁ…」
ため息をついたのは、スカイではなくルクトだった。
「ルクト…?」
「…いいから行け。お前らの魔法だったら魔法を吸い込める相手に勝てないってさっき思い知っただろ。」
ルクトはそう、普段では想像もつかないような威圧感で言い放った。
「…っ?!」
その圧にリリエはビクリと肩を震わせ、下を向いて俯いた。リリエはそれからしばらく黙っていたが、小さく頷くと話し出す。
「そうだね。ごめんルクト。」
リリエは立ち上がるとルクトを見た。その顔はすこし自虐的な笑みを浮かべていた。
「私では邪魔になっちゃうもんね。ごめん。…スカイ、行こっか。」
スカイの方を向いて言ったその言葉にスカイは頷いた。そして2人はミストの立つ先に進もうとする。
「待て。妾がここを通すと思っておるのか?」
「【クリエート・フラッシュ】」
ミストの言葉を遮るようにルクトが呟き、辺りに光が満ちると、ミストはその眩しさに目を閉じて腕を顔に持ってくる。その間にスカイは腕で光を防ぎながらこちらも思わず目を閉じるリリエの手を引いてミストの立つ先へ走っていった。
今にも攻撃されそうなリリエを守りたくて、無駄だとわかっていても、無効化されるのが目に見えていても、動かずにはいられなかった。右手を前に伸ばし、魔法を放とうとする。が。
″ダメだ、間に合わない…″
くそっ…と呟きかけたそのとき、今まで見たこともないほどの光が部屋を包み込んだ。
「…!」
スカイはその光に目を細めながらも、光を放った人物が一瞬で理解できた。
″なんで、俺の嫌な予感が当たるかな…″
心の中でそんな愚痴を溢し、スカイは光の元となる人物の方を見た。揺れている深緑の髪。20代前半ぐらいの顔立ち。その人物はスカイもよく知っている。
「なんで来たの?ルクト兄さん。」
「なんでって、もちろんお前らを助けに来たんだよ。」
ルクトはそう自慢げに笑うと、ミストとリリエの方を見つめた。ミストは先の光で危険を察知したのか遠くに離れており、攻撃が迫っていたリリエは床に尻もちをついていた。リリエはスカイの方を見てなにかを察したのかルクトの方を見た。
「え…?ルクト……?」
「大丈夫か?リリエ」
ここにいる筈のないルクトの姿を見て、絶句する。ルクトはそんなリリエに笑顔を返した。
「なんで、ここに…?」
スカイと似たような質問をされ、ルクトは苦笑いする。
「それ、スカイにも似たようなこと言われたんだけどな…ま、助っ人ってとこだ。」
「乱入者の間違いじゃないの。」
「おいおい?僕が来なかったら、リリエ守れてなかったのによく言うな?」
ルクトのその返しはスカイの図星で、不満そうにスカイはなにも言わずそっぽを向いた。
「…さて、そんなわけで僕が相手になる。」
「相手って…ルクト戦えるの?」
ミストに言ったその言葉に、リリエは不安そうに問いかけるが、スカイがルクトより先に返す。
「戦えるもなにも、ルクト兄さんは俺より強い。心配なんてしなくても良いよ。」
「え、ルクト戦えたの?!それにスカイよりも強いって…」
スカイの発言に目を丸くする。今までそんなこと一言も言ったことがなかったから、驚いた。
「もちろん戦えるさ。僕の魔法は光。光の属性魔法。だから闇でも打ち消せるしな。」
上に伸ばした指先にルクトは光を灯してそういう。最後の言葉はミストに向けられたものだった。
「まさかここで戦うことになろうとはな。」
「ああ、想定外だったか?」
ルクトにミストはニヤリと笑う。
「いや、嬉しい誤算だ。」
″ルクトとミストって、会ったことがあるのかな…?何だか、互いに面識があるような口ぶりに聞こえるんだけど…″
どことなくそう感じるリリエだが、2人が会ったことがあるなんて、ただそう感じただけだったために気のせいかなとその考えを一蹴した。
「で、ここで共闘でもするつもりか?」
ミストにそう聞かれて、ルクトは考えることもなく即答する。
「そんなことはしないさ。ただ僕は助けに来ただけだからね。共闘は求めてない。……ってなわけで、スカイ、リリエ。先に進め。」
「え?ルクト一人で…?」
突然、先に進めと言ったその言葉にリリエは戸惑いながら不安そうな目をルクトに向けた。しかしルクトは笑ってリリエに返す。
「大丈夫だ。ここは任せろリリエ。」
″僕自身の個人的な私用も入ってくるから、リリエには先に進んでほしいんだけどな…″
ルクトのそんな心の声は分かる筈もなく、リリエはなおも心配そうにルクトを見つめる。
「…でも、やっぱり…」
「リューシャ。」
「!」
その名前を聞いて、リリエは目を見開く。そしてルクトは話を続ける。
「助けに…って言うか、連れ戻しに行くんだろ?ここは俺に任せて、リューシャに会いに行くことだけ考えて先に進むんだ。」
「え…」
ルクトには話してなかったのに。心配とか迷惑かけたくなかったから話さなかったのに。なぜ知っているのか驚いた。
「どうして…ルクトがそのこと…」
リリエの言葉になにも返さずに笑うルクト。その笑顔の意図が読めずリリエの中で疑問やら不安やら心配やらが混ざってくる。
ルクトはスカイに視線を向け、リリエを連れていけと目で言った。スカイはそれを察して頷くと、リリエの手を掴んだ。
「!スカイ?」
「ルクト兄さんが行けって言ってるんだから行こう。リリエがそんな心配してもルクト兄さんは絶対進ませようとするから変わらないよ。」
「…だけど…」
しつこいほどに、ルクトの心配をして進もうとする気配のないリリエ。それほどルクトのことが心配なのか。
「はぁ…」
ため息をついたのは、スカイではなくルクトだった。
「ルクト…?」
「…いいから行け。お前らの魔法だったら魔法を吸い込める相手に勝てないってさっき思い知っただろ。」
ルクトはそう、普段では想像もつかないような威圧感で言い放った。
「…っ?!」
その圧にリリエはビクリと肩を震わせ、下を向いて俯いた。リリエはそれからしばらく黙っていたが、小さく頷くと話し出す。
「そうだね。ごめんルクト。」
リリエは立ち上がるとルクトを見た。その顔はすこし自虐的な笑みを浮かべていた。
「私では邪魔になっちゃうもんね。ごめん。…スカイ、行こっか。」
スカイの方を向いて言ったその言葉にスカイは頷いた。そして2人はミストの立つ先に進もうとする。
「待て。妾がここを通すと思っておるのか?」
「【クリエート・フラッシュ】」
ミストの言葉を遮るようにルクトが呟き、辺りに光が満ちると、ミストはその眩しさに目を閉じて腕を顔に持ってくる。その間にスカイは腕で光を防ぎながらこちらも思わず目を閉じるリリエの手を引いてミストの立つ先へ走っていった。
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