ツムギ ツナグ

みーな

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リューシャ編

52話

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「…ん…?」



ふと、目が覚めた。一番に視界に入った真っ白な天井。それにに自分が白亜の城にいることを少し寝ぼけた脳でどうにか再認識する。そしてしばらくその天井を見つめていると、自分が戦っている途中で、気を失ってしまったことを思い出した。



「っ?!」



慌てて飛び起き、辺りをキョロキョロと見回す。



「スカイ?スヴールは?戦いは、どうなったの…?」



見知らぬ部屋に、1つのベッドと机と椅子だけが置かれている部屋。そして、今は開けっ放しになっている扉以外は全て真っ白に統一されていて、清潔感を感じる一方で殺風景だとも感じ取れる部屋だった。



「リリエ、目が覚めたんだね!」
「え?」



突如聞こえた聞き慣れぬ声に、声の方を向くと、そこには白銀の髪を持つ少女が開け放たれている扉の少し前に立っていた。少女はとても嬉しそうに笑みをこぼすと、こちらへ駆け寄ってきて、ぎゅっとリリエに抱きついた。



「え…えぇっと…?」



リリエはその少女のことは知らない。正直恐らく初対面だ。初対面の少女に突然抱きつかれれば、そりゃあ混乱するだろう。



「…ごめんね…リリエ…私の為に、わざわざこんなところまで来てくれて…」
「え…?」



少女の言葉を聞いてリリエの中で1つの推測が浮かんだ。



「もしかして、リューシャ…?」



そう呟くかのように少女に訊ねると、少女は顔を上げてにっこりと笑って頷いた。



「…じゃ、じゃあ……あな…たは…」



竜のリューシャは、王妃の傍付きルーナこと、ルーナーシュでもある。と言うことは、この少女がリューシャならば同時に王妃の傍付きであるルーナだということになる。それを知ったリリエは、彼女にリューシャとして接するべきなのか、ルーナ様として接するべきなのか分からず、上手く言葉を返せなかった。
 そんなリリエの葛藤をなんとなく察したのか、ルーナは不安を無くすかのように、にっこりと笑う。



「…前と、同じように話そう?私がリューシャでも、ルーナーシュでも、友達として。」



そのルーナの笑みと言葉で、なぜか、どう接する事が一番正しいのかと考えていたことが不思議に思えた。



「……うん。そうだね。私たちは、友達だもん。どう接すれば良いかなんて、考える必要ないもんね」



リリエはルーナを抱き返して笑い返し、言葉を続ける。



「あ、でもやっぱり呼び方は…」
「ルーナ!様付け禁止だからね!」



子供のように(少女の見た目ではあるが)頬を膨らませてそう言うルーナに、やはりリューシャの面影を感じ、つい笑みがこぼれる。それでリューシャがルーナと同一人物であることを再び確認して、それから、最も重要なことを思い出した。



「…って、それよりも、私が気を失ってからの戦いは?!」
「……あれから、俺とスヴールが戦ってたらルーナが来て戦闘を強制終了させた」



リリエの問いに答えた声の主はスカイであり、彼はいつの間にか部屋の入り口で壁に背中を預け、腕を組んで立っていた。



「スカイ!いたんだ」
「今さっき来たんだけど。ところで、ルーナ、リリエ。セレナ様…王妃様が呼んでるよ。」
「「えっ…。」」



リリエはもちろんのこと、ルーナさえもどこか不安げな様子である。



「リリエはともかく、ルーナは別に普段ほとんど一緒にいるから問題ないでしょ。」
「そ、そうだけど…」



口ごもり何かをもごもごと呟くルーナを置いといて、スカイはリリエの方を見る。まだ会う前だというのにかなり緊張している様子のリリエにスカイは優しく声をかけた。



「リリエ。セレナ様は優しいから大丈夫だよ。セレナ様自身、今まで生きてきた中で一番怒ったのは神竜大戦しんりゅうたいせんの時だけだって言ってたから。」
「そ、そうなんだ…。」



ふと、リリエの中である疑問が湧いた。神竜大戦しんりゅうたいせんは、約千年以上も前に起こったことだ。それこそ、今も伝わる千年神話せんねんしんわの始まりとなるこの世界で起こった種族間での最初で最後戦争。伝え聞いたときならば、ちゃんと伝え聞いた時だと言うだろう。なのに今スカイが言った、王妃が言ったと思われる言葉は、まるでその時、その場に居合わせていたような口ぶりだった。
 しかし、いくらこの世界で一番寿命の長い種族の神であっても、千年も生きるなど不可能。ではなぜ、今彼は──


「リリエ、どうしたの?」
「リリエ?」


突然リリエが考えに耽ったことを心配したルーナとスカイに、リリエは何事もなかったかのように笑い返した。



「あ、ううん。やっぱり何でもなかったよ。ほら、王妃様の所へ行こう?」



リリエはそう言うとルーナとスカイの背を押しながら部屋から出た。



「で、王妃様のいるところどこ?」
「こっち。リリエ迷わないでよ」
「私方向音痴じゃないし迷わないから!」



スカイの言葉に反抗するリリエの声が通路に響いた。
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