53 / 74
リューシャ編
52話
しおりを挟む
「…ん…?」
ふと、目が覚めた。一番に視界に入った真っ白な天井。それにに自分が白亜の城にいることを少し寝ぼけた脳でどうにか再認識する。そしてしばらくその天井を見つめていると、自分が戦っている途中で、気を失ってしまったことを思い出した。
「っ?!」
慌てて飛び起き、辺りをキョロキョロと見回す。
「スカイ?スヴールは?戦いは、どうなったの…?」
見知らぬ部屋に、1つのベッドと机と椅子だけが置かれている部屋。そして、今は開けっ放しになっている扉以外は全て真っ白に統一されていて、清潔感を感じる一方で殺風景だとも感じ取れる部屋だった。
「リリエ、目が覚めたんだね!」
「え?」
突如聞こえた聞き慣れぬ声に、声の方を向くと、そこには白銀の髪を持つ少女が開け放たれている扉の少し前に立っていた。少女はとても嬉しそうに笑みをこぼすと、こちらへ駆け寄ってきて、ぎゅっとリリエに抱きついた。
「え…えぇっと…?」
リリエはその少女のことは知らない。正直恐らく初対面だ。初対面の少女に突然抱きつかれれば、そりゃあ混乱するだろう。
「…ごめんね…リリエ…私の為に、わざわざこんなところまで来てくれて…」
「え…?」
少女の言葉を聞いてリリエの中で1つの推測が浮かんだ。
「もしかして、リューシャ…?」
そう呟くかのように少女に訊ねると、少女は顔を上げてにっこりと笑って頷いた。
「…じゃ、じゃあ……あな…たは…」
竜のリューシャは、王妃の傍付きルーナこと、ルーナーシュでもある。と言うことは、この少女がリューシャならば同時に王妃の傍付きであるルーナだということになる。それを知ったリリエは、彼女にリューシャとして接するべきなのか、ルーナ様として接するべきなのか分からず、上手く言葉を返せなかった。
そんなリリエの葛藤をなんとなく察したのか、ルーナは不安を無くすかのように、にっこりと笑う。
「…前と、同じように話そう?私がリューシャでも、ルーナーシュでも、友達として。」
そのルーナの笑みと言葉で、なぜか、どう接する事が一番正しいのかと考えていたことが不思議に思えた。
「……うん。そうだね。私たちは、友達だもん。どう接すれば良いかなんて、考える必要ないもんね」
リリエはルーナを抱き返して笑い返し、言葉を続ける。
「あ、でもやっぱり呼び方は…」
「ルーナ!様付け禁止だからね!」
子供のように(少女の見た目ではあるが)頬を膨らませてそう言うルーナに、やはりリューシャの面影を感じ、つい笑みがこぼれる。それでリューシャがルーナと同一人物であることを再び確認して、それから、最も重要なことを思い出した。
「…って、それよりも、私が気を失ってからの戦いは?!」
「……あれから、俺とスヴールが戦ってたらルーナが来て戦闘を強制終了させた」
リリエの問いに答えた声の主はスカイであり、彼はいつの間にか部屋の入り口で壁に背中を預け、腕を組んで立っていた。
「スカイ!いたんだ」
「今さっき来たんだけど。ところで、ルーナ、リリエ。セレナ様…王妃様が呼んでるよ。」
「「えっ…。」」
リリエはもちろんのこと、ルーナさえもどこか不安げな様子である。
「リリエはともかく、ルーナは別に普段ほとんど一緒にいるから問題ないでしょ。」
「そ、そうだけど…」
口ごもり何かをもごもごと呟くルーナを置いといて、スカイはリリエの方を見る。まだ会う前だというのにかなり緊張している様子のリリエにスカイは優しく声をかけた。
「リリエ。セレナ様は優しいから大丈夫だよ。セレナ様自身、今まで生きてきた中で一番怒ったのは神竜大戦の時だけだって言ってたから。」
「そ、そうなんだ…。」
ふと、リリエの中である疑問が湧いた。神竜大戦は、約千年以上も前に起こったことだ。それこそ、今も伝わる千年神話の始まりとなるこの世界で起こった種族間での最初で最後戦争。伝え聞いたときならば、ちゃんと伝え聞いた時だと言うだろう。なのに今スカイが言った、王妃が言ったと思われる言葉は、まるでその時、その場に居合わせていたような口ぶりだった。
しかし、いくらこの世界で一番寿命の長い種族の神であっても、千年も生きるなど不可能。ではなぜ、今彼は──
「リリエ、どうしたの?」
「リリエ?」
突然リリエが考えに耽ったことを心配したルーナとスカイに、リリエは何事もなかったかのように笑い返した。
「あ、ううん。やっぱり何でもなかったよ。ほら、王妃様の所へ行こう?」
リリエはそう言うとルーナとスカイの背を押しながら部屋から出た。
「で、王妃様のいるところどこ?」
「こっち。リリエ迷わないでよ」
「私方向音痴じゃないし迷わないから!」
スカイの言葉に反抗するリリエの声が通路に響いた。
ふと、目が覚めた。一番に視界に入った真っ白な天井。それにに自分が白亜の城にいることを少し寝ぼけた脳でどうにか再認識する。そしてしばらくその天井を見つめていると、自分が戦っている途中で、気を失ってしまったことを思い出した。
「っ?!」
慌てて飛び起き、辺りをキョロキョロと見回す。
「スカイ?スヴールは?戦いは、どうなったの…?」
見知らぬ部屋に、1つのベッドと机と椅子だけが置かれている部屋。そして、今は開けっ放しになっている扉以外は全て真っ白に統一されていて、清潔感を感じる一方で殺風景だとも感じ取れる部屋だった。
「リリエ、目が覚めたんだね!」
「え?」
突如聞こえた聞き慣れぬ声に、声の方を向くと、そこには白銀の髪を持つ少女が開け放たれている扉の少し前に立っていた。少女はとても嬉しそうに笑みをこぼすと、こちらへ駆け寄ってきて、ぎゅっとリリエに抱きついた。
「え…えぇっと…?」
リリエはその少女のことは知らない。正直恐らく初対面だ。初対面の少女に突然抱きつかれれば、そりゃあ混乱するだろう。
「…ごめんね…リリエ…私の為に、わざわざこんなところまで来てくれて…」
「え…?」
少女の言葉を聞いてリリエの中で1つの推測が浮かんだ。
「もしかして、リューシャ…?」
そう呟くかのように少女に訊ねると、少女は顔を上げてにっこりと笑って頷いた。
「…じゃ、じゃあ……あな…たは…」
竜のリューシャは、王妃の傍付きルーナこと、ルーナーシュでもある。と言うことは、この少女がリューシャならば同時に王妃の傍付きであるルーナだということになる。それを知ったリリエは、彼女にリューシャとして接するべきなのか、ルーナ様として接するべきなのか分からず、上手く言葉を返せなかった。
そんなリリエの葛藤をなんとなく察したのか、ルーナは不安を無くすかのように、にっこりと笑う。
「…前と、同じように話そう?私がリューシャでも、ルーナーシュでも、友達として。」
そのルーナの笑みと言葉で、なぜか、どう接する事が一番正しいのかと考えていたことが不思議に思えた。
「……うん。そうだね。私たちは、友達だもん。どう接すれば良いかなんて、考える必要ないもんね」
リリエはルーナを抱き返して笑い返し、言葉を続ける。
「あ、でもやっぱり呼び方は…」
「ルーナ!様付け禁止だからね!」
子供のように(少女の見た目ではあるが)頬を膨らませてそう言うルーナに、やはりリューシャの面影を感じ、つい笑みがこぼれる。それでリューシャがルーナと同一人物であることを再び確認して、それから、最も重要なことを思い出した。
「…って、それよりも、私が気を失ってからの戦いは?!」
「……あれから、俺とスヴールが戦ってたらルーナが来て戦闘を強制終了させた」
リリエの問いに答えた声の主はスカイであり、彼はいつの間にか部屋の入り口で壁に背中を預け、腕を組んで立っていた。
「スカイ!いたんだ」
「今さっき来たんだけど。ところで、ルーナ、リリエ。セレナ様…王妃様が呼んでるよ。」
「「えっ…。」」
リリエはもちろんのこと、ルーナさえもどこか不安げな様子である。
「リリエはともかく、ルーナは別に普段ほとんど一緒にいるから問題ないでしょ。」
「そ、そうだけど…」
口ごもり何かをもごもごと呟くルーナを置いといて、スカイはリリエの方を見る。まだ会う前だというのにかなり緊張している様子のリリエにスカイは優しく声をかけた。
「リリエ。セレナ様は優しいから大丈夫だよ。セレナ様自身、今まで生きてきた中で一番怒ったのは神竜大戦の時だけだって言ってたから。」
「そ、そうなんだ…。」
ふと、リリエの中である疑問が湧いた。神竜大戦は、約千年以上も前に起こったことだ。それこそ、今も伝わる千年神話の始まりとなるこの世界で起こった種族間での最初で最後戦争。伝え聞いたときならば、ちゃんと伝え聞いた時だと言うだろう。なのに今スカイが言った、王妃が言ったと思われる言葉は、まるでその時、その場に居合わせていたような口ぶりだった。
しかし、いくらこの世界で一番寿命の長い種族の神であっても、千年も生きるなど不可能。ではなぜ、今彼は──
「リリエ、どうしたの?」
「リリエ?」
突然リリエが考えに耽ったことを心配したルーナとスカイに、リリエは何事もなかったかのように笑い返した。
「あ、ううん。やっぱり何でもなかったよ。ほら、王妃様の所へ行こう?」
リリエはそう言うとルーナとスカイの背を押しながら部屋から出た。
「で、王妃様のいるところどこ?」
「こっち。リリエ迷わないでよ」
「私方向音痴じゃないし迷わないから!」
スカイの言葉に反抗するリリエの声が通路に響いた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる