57 / 74
リューシャ編
56話
しおりを挟む
「セレナ様、リューシャと私は本当に一緒にいて大丈夫なのですか?」
「あら、急にどうしたの?さっきはあんなにも喜んでいたのに」
セレナから一緒にいても良いという許可が出てから、リリエとリューシャ(ルーナ)は今までずっとその喜びに浸っていた。が、今リリエがなにかを思い出したかのようにそうセレナに問いかけ、セレナは許可を出したのにそんなことを聞いてくることを不思議に思って、リリエに訊ね返した。リリエは迷っているのか言葉を選んでいるのか、リューシャをその腕に抱いたまま考えるように目線を斜め下へと向けた。
「…あの…私は、世間からすれば、白亜の城に乗り込んだ反逆者です。それには理由があって、その理由をスカイやルーナ、セレナ様が知っていたとしても、世間はそんなこと分からないでしょうし、分かったとしても私を非難すると思います。そうすれば、きっと一緒にいるリューシャやルクトだって非難されてしまうと思うんです。下手をすれば王妃様やスカイも、もしかすれば、リレーニ様やフニカにだって…」
「リリエ、リレーニとフニカに会えたの?!」
「え?う、うん…」
リリエの言葉に反応したリューシャは、リリエが頷くと安堵したかのように言った。
「良かった…一応あの二人にも手を回しておいて」
「え、手を回しておいて…って?」
「あれ?リレーニ言ってなかった?リリエが望むのなら、白亜の城まで導いて欲しいって頼まれたって。私がそれ頼んだんだよ?でも、リリエを反逆者にしたてあげたくはないから、けっこうな揺さぶりをかけて欲しいって頼んでたの。それに、私自身もリリエに意思の確認をしたしね」
リューシャの言葉に記憶を思い起こす。そう言われれば、そんなことを言っていた。恐らく、リレーニの言っていたあの子、というのはルーナのことだったのだろう。そして、神の住む場所に降り立ってすぐ聞こえた声が、リューシャことルーナの声だったのだろう。
「そうなんだ…でも、私のためにわざわざ手助けをしてくれたのに、その恩を仇で返すことになったら、って不安で…」
「リリエ、そこは問題ないわ。反逆者騒ぎは広くても神たちの間で殆ど噂のように囁かれていだけだったから、あなたの気絶していた2日間でその噂は根絶できたの。少なくとも誰もあなたを反逆者と非難する者はいないわ」
セレナの言葉にリリエは驚くことが多すぎて、目を見開いて絶句してしまった。そんなリリエに気づかずセレナはまだ言葉を続ける。
「あ、後、スカイがあなたを助けに行ったのは私が頼んだからなのよ?あなたの事情は知っていたから…って、リリエ?」
ようやくリリエが絶句していることに気づいたセレナはリリエに声をかける。
「…ええぇぇぇぇぇぇっ?!」
時間差で、リリエから驚きの声が上がった。
「わ、私、2日も気絶してたんですか?!反逆者騒ぎは噂程度にしか広まってなかったってことは、反逆者云々の話はもう解決したってこと?!え、で、スカイは、王妃様に私のこと頼まれてたの?!」
「リリエ、一旦落ち着いた方がいいと思うんだけど」
「と、とりあえず、落ち着こう?全部そのリリエの問いにはうん。の一言で答えられるから」
スカイとリューシャのその言葉で、深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
「ふう…でも、なんで私、2日も気絶してた…んですか?」
ついタメ口で言葉を発しそうになってしまい、どうにか敬語に言葉を続ける。セレナはほんの少しだけ考えて、リリエに言った。
「きっと、疲労だと思うわ。慣れていない魔法をずっと使い続けた上に、魔力も使ったのでしょう?スカイから聞いたわ。後、一時的にとはいえ使えなくなっていた魔法を無理矢理に放ってもいるのだから、仕方ないわ。」
セレナの言葉で、その時のことを振り返る。そして、リリエの中で引っ掛かっている、謎の声のことを知りたかったが、スカイに聞こえているはずが無いし、その場にいなかったリューシャやセレナに聞いても仕方がないと感じ、その疑問を記憶の奥底へ沈ませた。
「そうなんですね。」
「リリエ、家に帰って一息ついたら?セレナ様もそう薦めてたし。」
「あ、うんそうだね。王妃様、では、失礼させて頂きます。色々、ありがとうございました」
リリエが頭を下げると、良いのよとセレナは微笑む。
「スカイ。城の外までリリエとルーナを送っていってもらえるかしら?白亜の城は広いから。」
「分かりました。リリエ、俺について来て。」
スカイが象徴の間から出ていく後をリリエはついていく。そして部屋の入り口でまた深くセレナに向かって礼をすると、腕に和んだ表情で抱かれるリューシャを連れて去っていった。それを笑顔で見送り、その約5分後に、ルクトが象徴の間に飛び込んできた。
「セレナ様っ!第二荘の見回りは完璧です!リリエはどこですか?!」
「帰ってきて早々大変ね、ルクト。リリエなら、もう帰ったわよ?」
「なっ?!」
あからさまに落ち込むルクトを見て、セレナはクスッと笑みをこぼすと、ルクトに訊ねた。
「そんなにあの子、危なっかしいの?ルクトがこれほどまでに過保護になるなんて」
「僕は過保護じゃない!です!何故セレナ様までそんなことを?!」
その反応にまたクスクスと笑い、セレナは言葉を返した。
「冗談と捉えてもらって良いわよ?それと、恐らく今から急げば、リリエには追い付けるんじゃないかしら?」
「おっと、なら僕は行かなければならないですね!では!」
セレナの言葉で切り換えよく復活したルクトは、リリエを追って象徴の間から出ていった。
「…良かった」
セレナはそう安堵したように微笑んだ。
リリエは、ルーナの飛行系補助魔法で家の近くへと降り立った。ルーナはリリエを地面に降ろし、自分も地面に降り立つと、すぐにリューシャの姿となってリリエの腕に抱かれる。
「たった、1日のことだけど、もう何日も帰らなかったみたいだね」
「そうだね。…早くはいろっ?」
リューシャが急かしてくることに、リリエは笑みをこぼすと家の扉を開ける。家には見慣れた配置の家具に…
「え、ルクト?」
「リリエ!おかえり。」
ルクトはなんと、リリエより5分ほど遅く象徴の間を出たにも関わらず、先に(リリエの)家に入り込んで、笑顔で帰りを待ち構えていたのだ。
「何で私の家にいるのかよく分からないけど…うん、ただいま!」
リリエはルクトに、笑みを返した。
《リューシャ編【完】》
「あら、急にどうしたの?さっきはあんなにも喜んでいたのに」
セレナから一緒にいても良いという許可が出てから、リリエとリューシャ(ルーナ)は今までずっとその喜びに浸っていた。が、今リリエがなにかを思い出したかのようにそうセレナに問いかけ、セレナは許可を出したのにそんなことを聞いてくることを不思議に思って、リリエに訊ね返した。リリエは迷っているのか言葉を選んでいるのか、リューシャをその腕に抱いたまま考えるように目線を斜め下へと向けた。
「…あの…私は、世間からすれば、白亜の城に乗り込んだ反逆者です。それには理由があって、その理由をスカイやルーナ、セレナ様が知っていたとしても、世間はそんなこと分からないでしょうし、分かったとしても私を非難すると思います。そうすれば、きっと一緒にいるリューシャやルクトだって非難されてしまうと思うんです。下手をすれば王妃様やスカイも、もしかすれば、リレーニ様やフニカにだって…」
「リリエ、リレーニとフニカに会えたの?!」
「え?う、うん…」
リリエの言葉に反応したリューシャは、リリエが頷くと安堵したかのように言った。
「良かった…一応あの二人にも手を回しておいて」
「え、手を回しておいて…って?」
「あれ?リレーニ言ってなかった?リリエが望むのなら、白亜の城まで導いて欲しいって頼まれたって。私がそれ頼んだんだよ?でも、リリエを反逆者にしたてあげたくはないから、けっこうな揺さぶりをかけて欲しいって頼んでたの。それに、私自身もリリエに意思の確認をしたしね」
リューシャの言葉に記憶を思い起こす。そう言われれば、そんなことを言っていた。恐らく、リレーニの言っていたあの子、というのはルーナのことだったのだろう。そして、神の住む場所に降り立ってすぐ聞こえた声が、リューシャことルーナの声だったのだろう。
「そうなんだ…でも、私のためにわざわざ手助けをしてくれたのに、その恩を仇で返すことになったら、って不安で…」
「リリエ、そこは問題ないわ。反逆者騒ぎは広くても神たちの間で殆ど噂のように囁かれていだけだったから、あなたの気絶していた2日間でその噂は根絶できたの。少なくとも誰もあなたを反逆者と非難する者はいないわ」
セレナの言葉にリリエは驚くことが多すぎて、目を見開いて絶句してしまった。そんなリリエに気づかずセレナはまだ言葉を続ける。
「あ、後、スカイがあなたを助けに行ったのは私が頼んだからなのよ?あなたの事情は知っていたから…って、リリエ?」
ようやくリリエが絶句していることに気づいたセレナはリリエに声をかける。
「…ええぇぇぇぇぇぇっ?!」
時間差で、リリエから驚きの声が上がった。
「わ、私、2日も気絶してたんですか?!反逆者騒ぎは噂程度にしか広まってなかったってことは、反逆者云々の話はもう解決したってこと?!え、で、スカイは、王妃様に私のこと頼まれてたの?!」
「リリエ、一旦落ち着いた方がいいと思うんだけど」
「と、とりあえず、落ち着こう?全部そのリリエの問いにはうん。の一言で答えられるから」
スカイとリューシャのその言葉で、深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
「ふう…でも、なんで私、2日も気絶してた…んですか?」
ついタメ口で言葉を発しそうになってしまい、どうにか敬語に言葉を続ける。セレナはほんの少しだけ考えて、リリエに言った。
「きっと、疲労だと思うわ。慣れていない魔法をずっと使い続けた上に、魔力も使ったのでしょう?スカイから聞いたわ。後、一時的にとはいえ使えなくなっていた魔法を無理矢理に放ってもいるのだから、仕方ないわ。」
セレナの言葉で、その時のことを振り返る。そして、リリエの中で引っ掛かっている、謎の声のことを知りたかったが、スカイに聞こえているはずが無いし、その場にいなかったリューシャやセレナに聞いても仕方がないと感じ、その疑問を記憶の奥底へ沈ませた。
「そうなんですね。」
「リリエ、家に帰って一息ついたら?セレナ様もそう薦めてたし。」
「あ、うんそうだね。王妃様、では、失礼させて頂きます。色々、ありがとうございました」
リリエが頭を下げると、良いのよとセレナは微笑む。
「スカイ。城の外までリリエとルーナを送っていってもらえるかしら?白亜の城は広いから。」
「分かりました。リリエ、俺について来て。」
スカイが象徴の間から出ていく後をリリエはついていく。そして部屋の入り口でまた深くセレナに向かって礼をすると、腕に和んだ表情で抱かれるリューシャを連れて去っていった。それを笑顔で見送り、その約5分後に、ルクトが象徴の間に飛び込んできた。
「セレナ様っ!第二荘の見回りは完璧です!リリエはどこですか?!」
「帰ってきて早々大変ね、ルクト。リリエなら、もう帰ったわよ?」
「なっ?!」
あからさまに落ち込むルクトを見て、セレナはクスッと笑みをこぼすと、ルクトに訊ねた。
「そんなにあの子、危なっかしいの?ルクトがこれほどまでに過保護になるなんて」
「僕は過保護じゃない!です!何故セレナ様までそんなことを?!」
その反応にまたクスクスと笑い、セレナは言葉を返した。
「冗談と捉えてもらって良いわよ?それと、恐らく今から急げば、リリエには追い付けるんじゃないかしら?」
「おっと、なら僕は行かなければならないですね!では!」
セレナの言葉で切り換えよく復活したルクトは、リリエを追って象徴の間から出ていった。
「…良かった」
セレナはそう安堵したように微笑んだ。
リリエは、ルーナの飛行系補助魔法で家の近くへと降り立った。ルーナはリリエを地面に降ろし、自分も地面に降り立つと、すぐにリューシャの姿となってリリエの腕に抱かれる。
「たった、1日のことだけど、もう何日も帰らなかったみたいだね」
「そうだね。…早くはいろっ?」
リューシャが急かしてくることに、リリエは笑みをこぼすと家の扉を開ける。家には見慣れた配置の家具に…
「え、ルクト?」
「リリエ!おかえり。」
ルクトはなんと、リリエより5分ほど遅く象徴の間を出たにも関わらず、先に(リリエの)家に入り込んで、笑顔で帰りを待ち構えていたのだ。
「何で私の家にいるのかよく分からないけど…うん、ただいま!」
リリエはルクトに、笑みを返した。
《リューシャ編【完】》
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる