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リューシャ編
55話
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リリエたちがセレナと話している頃、その場にいなかったルクトは、セレナからの頼みで名目上の後始末を行っていた。
「後始末って言っても、どうせ皆いなくなってるのは確定だろうな…特にスヴールみたいな城内にいた奴等は僕に会うのを避けるだろうし。まあ、あくまで表面上は後始末、本当は白亜の城第二荘の見回りだからな…しっかりやっとかないと、いくら第二荘って言ったってセレナ様に危害が加わるようなことに発展したら何が起こるか分からなくなるからな。」
そう独り言を呟いて、ルクトは純白の城を歩く。
ここ、白亜の城には第一荘と第二荘が存在している。セレナがいて、リリエらが話している場所は第一荘だ。そして今ルクトが歩いていて、リリエやスカイとスヴールらが戦っていたここが、いわゆる別邸のような第二荘。どんなに権力が強かろうと、セレナからの信頼ととある条件がなければ、第二荘までしか入ることはできず、第一荘に踏み入ることなど本当に不可能だ。
「てか、なんでセレナ様はリリエに会わせてくれないんだ…!いや、わざとじゃないのは分かってるんだけれども!ルーナはリリエと会ってて、スカイはそんな二人を呼びに行ってたし!」
まるで見回りができている気がしないが、自分からしっかりやらないといけないやらなんやら言っていたから、出来ているのは出来ているのだろう。
「僕、いろんな奴にお前は過保護だって言われるけど、リリエ見てたら放っとく訳には行かないからな?!僕は過保護じゃない!絶対に!」
自分の右手の拳を握りしめて一人でそう言う(叫ぶ)ルクトは、端から見れば完全に俗に言うイタい奴だろう。しかしはっきりとそうも断言できないのは、その整っている顔立ち故だ。イケメンならば大抵のことが許されると言うのはこの事を指すのだろう。
「あー…今すぐセレナ様のところに行ったらリリエがいるんだろうな…走って行ってリリエの心配をしたいとこだが、僕にはやるべきことがあるからな……。…!そうか、僕が即行で見回りを終えれば良いんじゃないか!セレナ様の話が終わるまでに象徴の間に行けばいい話だ!……絶対に行ってやる!」
ルクトは一人でそう宣言すると、走り出した。
ちなみにルクトの言った象徴の間はセレナの玉座があるところであり、現在リリエらが話している場所のことだ。
しかし、別邸といえどかなりの広さを誇るこの第二荘を全て完璧に見回り、話が終わる前に象徴の間に行くことはかなり困難だ。が、過保護すぎるルクトなら本当にすぐ終わらせて象徴の間に行けそうな気がしてならない。
「私は、リリエと一緒にいたいんです!」
象徴の間に行くことに全力をかけたルクトとは逆に、城の第一荘、象徴の間では緊張感がどことなく漂っていた。そしてそこには、ルーナの突然の言葉に驚きと嬉しさと申し訳なさと色々な感情が混ざり困惑してしまっているリリエと、冷静にルーナを見つめるセレナ。スカイも後方からその様子を見つめている。セレナは床に膝をつくルーナに声をかけた。
「…良いわよ?全然問題なんて何もないもの。むしろ、ルーナにそんな一緒にいたいと思える存在が出来たのだと安心できたわ。あなたがしたいようにして良いのよ?あ、けれど…たまにで良いから、顔を見せに来てくれると嬉しいわ」
ルーナはゆっくりと顔をあげ、セレナを見つめた。本当にとても嬉しそうに微笑むセレナを見て、少し涙目になりながら笑った。
「ありがとうございます!セレナ様!」
ルーナがそう少し泣き笑いで返すと、セレナは優しく頷いてリリエを見た。
「リリエ、ルーナにとって、あなたは心を許せる友。おっちょこちょいなところもあるけれど、よろしく頼めるかしら?」
「リリエー!」
セレナに返事を返す前にルーナがリューシャとなり抱きついてくる。それを抱きしめて、セレナの目をまっすぐ見つめて笑って強く頷いた。
「もちろんです!私にとっても、心を許せる友、心友ですから!」
場所は変わって外には、純白の白亜の城を見上げる2つの人影があった。
「…今回の災いは、君が消す前にここから去ったみたいだね。」
「あ、そーなんだ~良かった~」
どこか間抜けしたような口調で話す、オレンジの髪を両サイドで三編みにし、円を描くようにして纏められたヘアスタイルをした少女。そしてその少女と会話する金髪の少年。少年は白亜の城から視線を外すとくるりと後ろを向く。
「行こう。災いのなくなったここに用はないから。」
「そーだねぇ~」
少年は、少女の少し前を歩いて白亜の城の前から立ち去った。
「…、……災いは、また近い未来に再燃する…」
少女が、ふとそう呟いた気がした。
「後始末って言っても、どうせ皆いなくなってるのは確定だろうな…特にスヴールみたいな城内にいた奴等は僕に会うのを避けるだろうし。まあ、あくまで表面上は後始末、本当は白亜の城第二荘の見回りだからな…しっかりやっとかないと、いくら第二荘って言ったってセレナ様に危害が加わるようなことに発展したら何が起こるか分からなくなるからな。」
そう独り言を呟いて、ルクトは純白の城を歩く。
ここ、白亜の城には第一荘と第二荘が存在している。セレナがいて、リリエらが話している場所は第一荘だ。そして今ルクトが歩いていて、リリエやスカイとスヴールらが戦っていたここが、いわゆる別邸のような第二荘。どんなに権力が強かろうと、セレナからの信頼ととある条件がなければ、第二荘までしか入ることはできず、第一荘に踏み入ることなど本当に不可能だ。
「てか、なんでセレナ様はリリエに会わせてくれないんだ…!いや、わざとじゃないのは分かってるんだけれども!ルーナはリリエと会ってて、スカイはそんな二人を呼びに行ってたし!」
まるで見回りができている気がしないが、自分からしっかりやらないといけないやらなんやら言っていたから、出来ているのは出来ているのだろう。
「僕、いろんな奴にお前は過保護だって言われるけど、リリエ見てたら放っとく訳には行かないからな?!僕は過保護じゃない!絶対に!」
自分の右手の拳を握りしめて一人でそう言う(叫ぶ)ルクトは、端から見れば完全に俗に言うイタい奴だろう。しかしはっきりとそうも断言できないのは、その整っている顔立ち故だ。イケメンならば大抵のことが許されると言うのはこの事を指すのだろう。
「あー…今すぐセレナ様のところに行ったらリリエがいるんだろうな…走って行ってリリエの心配をしたいとこだが、僕にはやるべきことがあるからな……。…!そうか、僕が即行で見回りを終えれば良いんじゃないか!セレナ様の話が終わるまでに象徴の間に行けばいい話だ!……絶対に行ってやる!」
ルクトは一人でそう宣言すると、走り出した。
ちなみにルクトの言った象徴の間はセレナの玉座があるところであり、現在リリエらが話している場所のことだ。
しかし、別邸といえどかなりの広さを誇るこの第二荘を全て完璧に見回り、話が終わる前に象徴の間に行くことはかなり困難だ。が、過保護すぎるルクトなら本当にすぐ終わらせて象徴の間に行けそうな気がしてならない。
「私は、リリエと一緒にいたいんです!」
象徴の間に行くことに全力をかけたルクトとは逆に、城の第一荘、象徴の間では緊張感がどことなく漂っていた。そしてそこには、ルーナの突然の言葉に驚きと嬉しさと申し訳なさと色々な感情が混ざり困惑してしまっているリリエと、冷静にルーナを見つめるセレナ。スカイも後方からその様子を見つめている。セレナは床に膝をつくルーナに声をかけた。
「…良いわよ?全然問題なんて何もないもの。むしろ、ルーナにそんな一緒にいたいと思える存在が出来たのだと安心できたわ。あなたがしたいようにして良いのよ?あ、けれど…たまにで良いから、顔を見せに来てくれると嬉しいわ」
ルーナはゆっくりと顔をあげ、セレナを見つめた。本当にとても嬉しそうに微笑むセレナを見て、少し涙目になりながら笑った。
「ありがとうございます!セレナ様!」
ルーナがそう少し泣き笑いで返すと、セレナは優しく頷いてリリエを見た。
「リリエ、ルーナにとって、あなたは心を許せる友。おっちょこちょいなところもあるけれど、よろしく頼めるかしら?」
「リリエー!」
セレナに返事を返す前にルーナがリューシャとなり抱きついてくる。それを抱きしめて、セレナの目をまっすぐ見つめて笑って強く頷いた。
「もちろんです!私にとっても、心を許せる友、心友ですから!」
場所は変わって外には、純白の白亜の城を見上げる2つの人影があった。
「…今回の災いは、君が消す前にここから去ったみたいだね。」
「あ、そーなんだ~良かった~」
どこか間抜けしたような口調で話す、オレンジの髪を両サイドで三編みにし、円を描くようにして纏められたヘアスタイルをした少女。そしてその少女と会話する金髪の少年。少年は白亜の城から視線を外すとくるりと後ろを向く。
「行こう。災いのなくなったここに用はないから。」
「そーだねぇ~」
少年は、少女の少し前を歩いて白亜の城の前から立ち去った。
「…、……災いは、また近い未来に再燃する…」
少女が、ふとそう呟いた気がした。
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