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混沌の泉編
58話
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コンコン、とノック音が響く。ここは神の皇都の外れ、スカイの家だ。スカイの家についたリリエとルーナは、今丁度扉をノックしたところだった。
しかし、一度ノックしたにも関わらずスカイは出てこない。
「いないのかな?スカイ。」
「出てこないってことはそうだよね?どうする?リリエ」
「うーん、いないなら今日は帰ろっか。スカイがいつ帰ってくるか分からないし。家はまたルクトの紙を見れば来れるから」
「そうだね。帰ろっか」
リリエとルーナは飛行魔法で再び浮き上がると下へ降りていく。しばらく降りてゆくと、自分達の家が見えてきて2人は家の前に降り立った。そしてルーナがリューシャに戻った瞬間、声が聞こえる。
「あれ?もう帰ってきたのか?」
声の主は見ずともルクトだということは分かっている。リリエは言葉を返しながら声の方を見た。
「うん、スカイどこか行ってるみたいで。また今度訪ねてみることにするよ。で、ルクトは何でここにいるの?さっきまで家にいたよね?」
「ああ、僕はただ歩いてただけ。でもリリエ、ルーナ。あんまり魔法で飛んでるとこ見られないようにしろよ?見つかったら騒ぎになるだろうからな」
その言葉にそれはそうだと理解し、その危惧が自分たちになかったことを反省しながら、はーいとルクトに笑って返した。
「あ、そう言えば今日、書庫の整理しようって言った気が…」
今更になって、思い出したことを呟く。
「ほんとだ。でも多分今からやっても大丈夫だよ。リリエ整理整頓上手いし」
「そうかな?…ルクト、今日はスカイの家教えてくれてありがとう。今度私にできるようなことあったら言ってね?手伝うから!」
ルクトにそう返し、お世辞じゃない?と笑ってリューシャにも返してリリエは家に入っていく。入り際に、ルクトに手を振ってリリエは扉を閉めた。
ルクトはそれを見守って、空を仰ぎ見ると呟く。
「あいつが家にいないなんて珍しいこともあるんだな…。?待てよ、今日って…」
ふとあることを思い出したことで、スカイの居場所に何か心当たりが出来たのか、ルクトはリリエの家の近くにある、リリエとリレーニたちが出会った森に向かうと、空へ飛び立つ。スカイの家のすぐ近くに降り立つと迷いもせずにある場所へと向かった。
ルクトが向かったのは、皇都も含めた人里からかなり離れたところ。そこは、限られた者しか知らない秘密の場所。1歩そこに近づけば、無数の花々とその花びらがやって来た者を祝福する。ここは花園。ルクトは花園に足を踏み入れ、花園の中心へ向かう。
「やっぱり滅多に誰もここに来ないからか景色は変わらず綺麗だな。スカイ?」
そう言って、ルクトは自分の右下を見る。そこには、花の中で寝そべるスカイがいた。
「よく分かったね、俺がここにいるなんて。ルクト兄さんはここに来ないと思ってたのに。」
目を閉じたままスカイはルクトにそう返す。
「スカイこそここには来ないと僕は思ってたんだけどな?」
「来ないわけないでしょ。今日、何の日だと思ってんの」
スカイがようやく閉じていた目を開けてこちらを見た。
「ん?何の日だったっけな?」
少し意地悪な笑みをスカイに向けて問いかけると、スカイは大きめにため息をつき視線を空に向けて言葉を返した。
「別に覚えてないならそれで良いけど。」
「自分からそこは言えよー。今日はスカイの誕生日だろー?」
「覚えてたならなんで覚えてないフリするかな」
スカイ自身の口から聞きたかったというルクトの密かな希望を汲み取れず、スカイはただ返す。
そう。今日3月20日はスカイの誕生日だ。1年が372日、12ヶ月あり、1ヶ月が全て31日あるここでのこの日は、1番花が美しく咲き誇る日と言われており、スカイにとってとても大切な日だった。
ただ誕生日だから、という単純な理由でではない。
「…約束、自分の大切な物を守る…だったよね。俺、その約束守れてる?」
「しっかり守れてたじゃないか。リリエがありがとうって直接伝えたいって家の場所わざわざ僕に聞きに来たんだぞ?」
ルクトはスカイが寝そべる横に腰を下ろしながらそうスカイの問いに答える。
この花園は、スカイとルクトの大切な場所だ。かつてこの2人が出会った12年前、当時6歳だったスカイと17歳だったルクトがここで互いに自分にとっての大切な物を守るという約束を交わし、その時初めてスカイはルクトから大切なものをもらった。
「わざわざ?まさか今日リリエ、俺の家に来たってこと?」
「そうに決まってるだろ。お前が家にいなかったって聞いて、ここに僕は来たんだ。ちなみにリリエは書庫の整理するって言ってたぞ」
最後の情報は要らないでしょと呟いてスカイは再び目を閉じる。
「でも、1ヶ月前にリリエの手助けに行ったとき、俺は何となくあの戦いになにかを求めてた気がしたんだ。その求めてたものが何だったのかは、結局分かんなかったけど──。」
そう言いながら、スカイの意識はすうっと遠のいた。
しかし、一度ノックしたにも関わらずスカイは出てこない。
「いないのかな?スカイ。」
「出てこないってことはそうだよね?どうする?リリエ」
「うーん、いないなら今日は帰ろっか。スカイがいつ帰ってくるか分からないし。家はまたルクトの紙を見れば来れるから」
「そうだね。帰ろっか」
リリエとルーナは飛行魔法で再び浮き上がると下へ降りていく。しばらく降りてゆくと、自分達の家が見えてきて2人は家の前に降り立った。そしてルーナがリューシャに戻った瞬間、声が聞こえる。
「あれ?もう帰ってきたのか?」
声の主は見ずともルクトだということは分かっている。リリエは言葉を返しながら声の方を見た。
「うん、スカイどこか行ってるみたいで。また今度訪ねてみることにするよ。で、ルクトは何でここにいるの?さっきまで家にいたよね?」
「ああ、僕はただ歩いてただけ。でもリリエ、ルーナ。あんまり魔法で飛んでるとこ見られないようにしろよ?見つかったら騒ぎになるだろうからな」
その言葉にそれはそうだと理解し、その危惧が自分たちになかったことを反省しながら、はーいとルクトに笑って返した。
「あ、そう言えば今日、書庫の整理しようって言った気が…」
今更になって、思い出したことを呟く。
「ほんとだ。でも多分今からやっても大丈夫だよ。リリエ整理整頓上手いし」
「そうかな?…ルクト、今日はスカイの家教えてくれてありがとう。今度私にできるようなことあったら言ってね?手伝うから!」
ルクトにそう返し、お世辞じゃない?と笑ってリューシャにも返してリリエは家に入っていく。入り際に、ルクトに手を振ってリリエは扉を閉めた。
ルクトはそれを見守って、空を仰ぎ見ると呟く。
「あいつが家にいないなんて珍しいこともあるんだな…。?待てよ、今日って…」
ふとあることを思い出したことで、スカイの居場所に何か心当たりが出来たのか、ルクトはリリエの家の近くにある、リリエとリレーニたちが出会った森に向かうと、空へ飛び立つ。スカイの家のすぐ近くに降り立つと迷いもせずにある場所へと向かった。
ルクトが向かったのは、皇都も含めた人里からかなり離れたところ。そこは、限られた者しか知らない秘密の場所。1歩そこに近づけば、無数の花々とその花びらがやって来た者を祝福する。ここは花園。ルクトは花園に足を踏み入れ、花園の中心へ向かう。
「やっぱり滅多に誰もここに来ないからか景色は変わらず綺麗だな。スカイ?」
そう言って、ルクトは自分の右下を見る。そこには、花の中で寝そべるスカイがいた。
「よく分かったね、俺がここにいるなんて。ルクト兄さんはここに来ないと思ってたのに。」
目を閉じたままスカイはルクトにそう返す。
「スカイこそここには来ないと僕は思ってたんだけどな?」
「来ないわけないでしょ。今日、何の日だと思ってんの」
スカイがようやく閉じていた目を開けてこちらを見た。
「ん?何の日だったっけな?」
少し意地悪な笑みをスカイに向けて問いかけると、スカイは大きめにため息をつき視線を空に向けて言葉を返した。
「別に覚えてないならそれで良いけど。」
「自分からそこは言えよー。今日はスカイの誕生日だろー?」
「覚えてたならなんで覚えてないフリするかな」
スカイ自身の口から聞きたかったというルクトの密かな希望を汲み取れず、スカイはただ返す。
そう。今日3月20日はスカイの誕生日だ。1年が372日、12ヶ月あり、1ヶ月が全て31日あるここでのこの日は、1番花が美しく咲き誇る日と言われており、スカイにとってとても大切な日だった。
ただ誕生日だから、という単純な理由でではない。
「…約束、自分の大切な物を守る…だったよね。俺、その約束守れてる?」
「しっかり守れてたじゃないか。リリエがありがとうって直接伝えたいって家の場所わざわざ僕に聞きに来たんだぞ?」
ルクトはスカイが寝そべる横に腰を下ろしながらそうスカイの問いに答える。
この花園は、スカイとルクトの大切な場所だ。かつてこの2人が出会った12年前、当時6歳だったスカイと17歳だったルクトがここで互いに自分にとっての大切な物を守るという約束を交わし、その時初めてスカイはルクトから大切なものをもらった。
「わざわざ?まさか今日リリエ、俺の家に来たってこと?」
「そうに決まってるだろ。お前が家にいなかったって聞いて、ここに僕は来たんだ。ちなみにリリエは書庫の整理するって言ってたぞ」
最後の情報は要らないでしょと呟いてスカイは再び目を閉じる。
「でも、1ヶ月前にリリエの手助けに行ったとき、俺は何となくあの戦いになにかを求めてた気がしたんだ。その求めてたものが何だったのかは、結局分かんなかったけど──。」
そう言いながら、スカイの意識はすうっと遠のいた。
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