未来は決まってない!

東雲碧

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第1章イラストレス

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平凡的な村と言えば他の村から苦情がきそうだが、あえてここでは平凡的と言わせてもらおう。
そんな村のはずれに破裂音と共に突如として現れたこの世界では見ない木造建ての建築物が2棟現れた。
1棟は家族で住むには少し小さめだが、それでも住めなくは無いぐらいの大きさで、もう1棟は十数人が入って遊んでも大丈夫なほど広い建物だ。建築物には何か文字が刻まれていたがここら辺の言語では無く何が書かれているかはわからなかった。

「な・なんだこれは!?」

たまたま村のはずれにでるモンスターを退治していたアザムは目の前空間が歪むのを見てモンスター退治を中断したが、歪んだ空間から破裂音と一緒に建築物が出てきたので、腰を抜かしていた。
腰を抜かしていたアザムは未だに何が起きているのかわからない様子だったが、何とか立ち上がり建物の中に入ろうとしてまあた腰を抜かす。建物の前でまた空間が歪み始めたからだ。

「こ・今度はなんだ!?」

恐怖と少し好奇心が混じった声を出したが、そんな事より早く逃げたいと脳は命令していた。が、身体がいうことを聞かない。アザムは初めて自分が恐怖している事に気付く。
歪んだ空間からアザムと同年代ぐらいの男が姿を現したとき、手に持っていた剣を男に向けたが、その手は笑えるぐらい震えていた。

「ここが異世界なのか?」

無造作の黒髪に見た事の無い服を来ている男がアザムを見ながら呟いた。
そんな男にまだ剣を突き立てているアザムはお前は誰だ?というのが精一杯だった。

「俺は楓、坂本楓だ。何故こちらに剣を向けているかわからないが、こちらに敵意は無い。だから剣を下ろしてはくれないか?」

楓は自分の名前と敵意が無いことを話して剣を収めさせようとした。
名乗られたアザムだが、剣を収める気にはならなかった。目の前で空間が歪み破裂音と共に建築物が出て見知らぬ人が現れたのだから当たり前だ。

「変な名前の奴は信用出来ない!敵意がないならこのまま村長の所に連れていく!」

手に持っていた袋から肉を巻いていたのだろ糸を出して両手を結び始めた。
本来なら肉巻くだけの糸なので長さが足らず結べなかったのだろう。結べない事に舌打ちしこちらを向いた。

「絶対に変な動きをするなよ!このまま村長の所に連れて行ってやる!」

連れて行ってやると言いながら先に進むアザムに、お前が先に進んだら簡単に逃げられそうだな。と小声で喋りつつ両手が油でギトギトになったのに少し嫌悪感を覚えながらそのまま進むアザムについて行った。

アザムにここで待てと言われ、村の倉庫に押し込まれた楓は、精神統一の時と同じように正座をして待っていた。
暴れたり外に出ようとしなかったのは出来なかったからではなく、本当に敵意が無いと証明する為と現状確認が優先されるからである。
今でこそ、高校辞めてバイト三昧の楓であるが、生前の師範と猛稽古する中で、剣道で斬られる事を学び、また剣道で相手を斬る事を学んだ楓は中学の全国大会で優勝する実力の持ち主である。

「神は俺をここに転生させてどうしたいのだ?」

口の端から漏れ出た言葉は空を舞っただけで、返っては来ない。
精神統一をしてると神の言葉が頭をよぎった。
女の子は神が助けると言っていたが、本当に助かったのだろうか?師範は本当に転生出来るのだろうか?神を疑うわけではないが、そんな事ばかり考えてしまう。

「まだか・・・」

精神統一をしていた楓はいつまで待っても来ないアザムと村長に苛立ち始めた時、『 バァン』と勢い良く開かれた扉に目を向けた。

「今から村長がここに来る!その時全部を話してもらうぞ!」

アザムが勢い良く言いながら部屋に入ってきた。
横に立つアザムを見ると背はどうやら楓より小さく髪色は赤よりの茶色で短髪だった。
そこでようやく楓は自分が平常では無かったのだと知った。

「俺は名乗ったんだから、今度はおまえの名前を教えろよ。」

楓は相手の名前も知らない事に気付きアザムに質問したが、答えは以外な所から返ってきた。

「アザム!お前はこんな所にいないで村のはずれのモンスター退治をしてこい!」

扉の前に50代ぐらいの厳ついおっさん、隣の少年に怒鳴った。
怒鳴られたアザムはいろいろ反論していたがおっさんに負けてしぶしぶ出ていった。出ていく前に「村長になんかしたら俺が許さないからな」と言い残して。

「きみが楓君かな?」

いきなり名前を呼ばれた楓は咄嗟に『 ハイ』と名乗り出た。村長と呼ばれたおっさんは笑いながらあの夢は本当だったのかと言っている。

「夢ってなんなのですか?それにここは何処なのでしょうか?」

さっきのアザムより村長の方が数倍落ち着いていたので、こちらも落ち着けたのだろう。
村長はまず、夢について語ってくれた。

「俺が2年ぐらい前に見た夢で、神って名乗る奴が急に出て来て、坂本楓なる人物をそっちに送る故迎え入れてやれって言われてな。ただの夢にしてはどうも現実味があって覚えてたんだ。」

どうやら神は師範が死んで、約束した時にはこうなる事がわかっていたらしい。
そうなると疑問が浮かんでくるが、まぁ村長に聞いたところで何も答えそうにないので引き出しにしまい込んだ。

「そしてここはイラストレスって小さな村だ!」

どうやらここが異世界であることは間違いないようだ。あまり勉強をしていなくても、イラストレスなんて村が日本にある訳がない。
倉庫で話すのもと言われ村の中を案内してもらいながらいろいろと話したが、どうやら俺がここに来る事を村長は誰にも話してないらしく道行く人に好奇な眼差しで見られていた。

「すまないな。夢だったんで誰にも言ってなかったんだよ。それにあんたの格好は良くも悪くも目立ちすぎる。」

現代人のような格好は誰もしていなかった。それよりも中世のような格好ばかりなので、落ち着いたら俺もみんなと同じ格好にするかと考えていると。

「このお兄ちゃん変な格好!」

お母さんに押さえつけられながらこちらに指を指して子供が笑っていた。親は『コレ!』と怒ってはいるがその目はこちらを離さない。
どうやら本当に悪目立ちする格好みたいだ。
村長と話してわかったことは、ここはインバール大陸の小さな村らしい。青年は都会に出稼ぎに行き村にいるのは50代以上か子供ばかり。
こんな所にも過疎があるんだなと驚いていた。

「楓くんと一緒に来た建物はそのまま楓くんが使うといい。それと君の身分証にもなるステイタスカードを渡しておこう。これがあれば関所は通してくれるだろう。」

インバール大陸の中央にはリスティア王が居城を構えている。このリスティア王がインバール大陸を納めている。

「さぁ着いた。こんな村外れに出てくるなんてあまり運がないが楓くんの家だ」

話に夢中になっていたのでどこをどう歩いたかは覚えていないが、そこには懐かしい道場と我が家が建っていた。
村長が言っていた運が悪いと言うのは、ここの周りはモンスターが時々現れては悪さをするらしい。
ありがとうと告げて村長と別れた俺は疲労困憊だった。とりあえず自宅の方に足を向け玄関を開けると、アザムともう1人謎の少女が立っていた。
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