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アンニュイなオレと仲間たちの激闘 4
しおりを挟む「はぁ、はぁ・・・みんな頑張れ! もう少しだ!」
命をかけた味方の援護で敵の包囲網を突破し、満身創痍になりながらも、なんとか味方の本陣に戻って来たオレたちを出迎えたのは・・・。
「・・・ど、どういうことだよ、これ・・・」
そこには既に味方の姿はなく、味方本陣はもぬけの殻になっていた。
「マ、マスター! マスター何処ですか!?」
一緒にここまで戻って来た召喚奴隷も、自分の召喚術者の姿がないことに驚き、辺りを探し回っている。
「あ、おいみんな! あそこに誰かいるぞ!」
本陣の開けた場所に、一体だけモンスターが残ってた。
そこそこデカいボールみたいな球体で、黒一色の体。
あまり見たことのないモンスターだが、とにかくあいつに話しを聞くしかない。
疲れきって休んでる仲間を置いて、オレはすぐにそいつに駆け寄った。
「なあ教えてくれ。ここは味方の本陣だろ? なのになんで誰もいないんだ? 他の連中はどうしたんだ?」
「~~~~~~」
そいつはオレの方を見もしないで、俯いて何かブツブツ言ってるだけ。
それはオレの言語がわからないって言う感じじゃなく、オレを認識してないような、とにかく不気味な感じだった。
「おい! 聞こえないのか!? 何がどうなってるのか教えてくれ!」
「どうしたんだリザド?」
様子がおかしいのがわかったのか、フォーテルもこちらに近付いてきた。
「いや、全然話しが通じねえんだよコイツ。なんなんだコイツは?」
・・・いや、待てよ?。
こいつ、何処かで見た気が・・・?。
「何してんだお前ら? ・・・ん?」
ミシェリアも何がどうなってるのかわかってないらしく、色々と辺りを見渡して来た後、オレたちを不審に思って近づいて来た。
そして、正体不明のモンスターを見ると・・・。
「!?。クソが!!! そういうことかよ!!!」
そのモンスターを見た途端、珍しく怒りと焦りが混じったような大声が響いた。
「てめえら!! 急いでここから離れるぞ!!」
ミシェリアはコイツを見て何かに気付いたように、急いでここから離れようとしてるが、あいにくオレらには一体なんのことかさっぱりだ。
「早くしろボケ!! 死にてえのか!! ちっ! 我が忠実なる召喚奴隷に――」
「ギャッギャ!! ギャッギャミギャ!!(わかった!! わかったからそれは止めろ!!)」
どういうことなのかはさっぱりだが、強制契約執行だけは勘弁だ。
それに、ミシェリアのこの慌てようは尋常じゃない。
おそらく何かが起こる。
それも、かなり良くないことが。
「みな疲れてるじゃろうがお嬢の言う通りここから離れるんじゃ! お前さん方も一緒に来るんじゃ!」
レオンは別の召喚奴隷に対しても同じように声をかけてる。
「なんだってんだよ。味方陣地に戻って来て、もう安心だと――」
「早くしろっつってんだろ!!! 死にてえのか!!!」
「・・・やれやれだぜ」
不満はあれどミシェリアに急かされ、オレたちは限界の体に鞭打ってまた走り出した。
・・・数分後・・・。
「あっ」
味方本陣から急いで離れてる途中で、オレは唐突に、さっきいた変な奴のことを思い出した
「どしたにゃ?」
「思い出した。さっきのブツブツ言ってた奴。何処かで見たことがあると思ったが、前に別の奴の召喚奴隷だった時に1度だけ見たことがあんだ。確かその時も、そいつ一体だけ別の場所に置き去りにされて、その後にすげえ爆発が――」
次の瞬間。
一瞬の閃光の後、大地が震え、大気が震えた。
そして、すぐに立っていられないほどの衝撃波と爆風と熱風が襲って来た。
「うにゃ~!? にゃんにゃ~!?」
爆風に吹き飛ばされないよう、身を屈めて振り返ったオレたちが見たのは、ついさっきまでオレたちがいた本陣に、凄まじい大爆発が起きてる光景だった。
「ど、どういうことだ!? 一体何が起きてるんだ!?」
その場にいる全員が何が起きてるのかわからず動揺する中、オレは1人冷静だった。
「・・・アイツだ」
「アイツ!?」
「さっきブツブツ言ってた奴。やっぱりオレが前に見た奴と同じだ。あれは・・・自爆用に作られたモンスターだ・・・」
「自爆用だと!?」
「ああ。間違いない」
「・・・なるほどのう。これで本陣に誰もいなかった理由がわかったわい」
レオンはミシェリアが吹き飛ばされないように庇いながら、納得したように頷いてる。
「ど、ど~ゆ~ことにゃ?」
「おそらく、最初から敵をこちらの陣地にまで誘い込んで、一気に吹き飛ばす算段じゃったんじゃろう」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! じゃあオレサマたちが戦ってたのはなんだったんだよ!?」
「・・・この作戦を察知されないためのカムフラージュ。つまり囮か」
フォーテルも、やっと合点が言ったとばかりに納得しながら答えた。
ちなみにオレも同感だ。
・・・やってくれるよ、クソどもが。
「ミシェリアは知ってたのか!?」
「知っておったら、もっと早くに撤退しておるわい」
おそらく自爆用モンスターは、本陣と、そこ以外にも複数個所に複数用意されてたはず。
しばらくして吹き荒れた爆風も落ち着き、爆発前は聞こえてた敵側の音も、今はもう何も聞こえなくなった。
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