ある意味凄惨な異世界 ~ 憧れた異世界転移だったのに ~

ねこうさぎ

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21話

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 眼下に広がるものを見て、俺はがっくりと膝をついた。
 ファンナさんの言った通り、確かにそこには街があった。
 色とりどりの花が咲き乱れ、街の中央らしき場所には噴水。
 そして・・・メロンやかぼちゃやバナナの形と色をした、カラフルな家や建物が並び、街の奥に見える城・・・城、で良いんだよな? は、巨大なイチゴの形をしていた・・・。

「・・・メルヘン過ぎじゃね・・・?」

 ・・・確かに俺はMAGみたいなことが現実に起これば良いと思ってた。
 異世界の話に心躍らせていた。
 でも俺が求めてたのは、剣と魔法とスリルとファンタジーと俺限定ラブエロハーレム展開(ここ超重要!!)な世界なんだ・・・こんなお花畑のような世界じゃないんだ・・・。

「はっ!? だからオハナバタケ王国なのか!?・・・いやいやいや、ちょっと待てよ?」

 あまりにもインパクトの強い光景のせいで絶望の淵に立ってたけど、冷静に考えれば、たまたまこの国がこんな変な国だったってことも十分に考えられるはずだ。
 そうさ。今まで嗜んできたMAGの世界でも、少なからずこういう国だってあった。
 でもそれは全体の極一部であって、これが全てだったことなんかない。

「どうしました? そんなところで四つん這いになって? あ、この国の素晴らしい街並みに感動していたんですね」
「・・・まあ。ある意味、ね・・・」

 山を下りて、さらに街道を歩くこと数十分。
 オハナバタケ王国の王都に着いた。
 さっき見た通り街の建物はおかしいものばかりだけど、そこに住んでる人たちは地球とほとんど変わりがない人たちばかり。
 と思いたかったけど、街のそこかしこで、普通の人間に混じって身長130センチほどの二本足で立っているウサギや、紳士っぽい服装を着こなした、これまた2足歩行している犬。
 さらには噴水の前のベンチに座って新聞を読んでる30センチほどしかないリスなど、ここは放し飼いの動物園なのかと思うくらいの色んな動物が、人間と同じように買い物や散歩をしてたり、天気のことやお互いの家族のことなど世間話を楽しそうにしていた・・・。

「・・・どんだけメルヘンなんだよ・・・」

 ここは不思議の国なのか? 俺はアリスなのか?。

「あっ! ファンナちゃんだ!!」
「え? あ、ホントだわ! ファンナちゃん!」

 ファンナさんの姿を見つけた街の人や動物が集まってきた。
 しかも結構な人気のようで、あっという間に人垣が出来つつある。
 っていうか、俺にはゲモリョなんちゃらって呼ばせようとしてたのに、みんなからはファンナちゃんって呼ばれてんだな。

「こんにちはみなさん。お元気ですか?」
「ええ。ファンナちゃんもお元気そうでなによりですわ」

 話しかけてきたのは清楚な服を身にまとい、物腰柔らかな口調の2足立ちの白いネコだ。

「ファンナちゃんがお勉強のために街から離れて、みんな寂しがっていますわ。たまにはこうして元気な姿を見せてくださいな」
「ねえねえファンナお姉ちゃん! また気持ち良いことして~!」
「んなっ!?」
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