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23話
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街の生物たちと別れ、俺たちは再び城に向かって歩き出した。
変な建物と、人間と動物が一緒に暮らしている街を興味深く見ながら、その道中。
「それにしても、結構な人気者なんだな。近くにいた人たちが全員集まって来てたし」
「みなさん優しく応援してくれて、ありがたいことです。ところで、街の方たちの話を聞いてどう思いましたか?」
「どうって?」
「みなさん、日々魔王さんの脅威に怯えながら暮らしています。いつ襲われるか、いつこの穏やかな日常が奪われるか怯えながら」
・・・ああ、そういうことか。
俺はまだ魔王やモンスターを見たことがないから、平和そうなメルヘンな世界にしか見えないけど、ここに暮らしてる人からすれば、差し迫った脅威ってことか。
みんな本気で怯えてたもんな・・・。
「先ほどはみなさんを不安にさせないようにああ言いましたけど、おそらくこのままでは、近いうちにこの国は魔王さんに侵略されてしまうと思います」
「・・・マジで?」
「まだ神官見習いですけど、色々とお話は聞こえてきますので・・・。そんな状況で、この国を救ってくれるお助けキャラとしてマコト様が召喚されたわけですが・・・あまり気負わないでくださいね?」
「今の言葉でめちゃくちゃ気負ったんですけど? つかわざとだろ?」
「さあ? なんのことやら?」
とぼけたフリしてやがるが、絶対確信犯だ。
「・・・そ、それよりさ。その、さっき話してた、き、気持ち良いことって――」
「今日はいい天気ですねぇ」
「え? ああ、そうだな。青空だしな。それは良いんだけど、気持ち良いことって――」
「あ、見てください! カエルさんとリスさんとフェレットさんがかけっこしてますよ!」
「うおすげぇ! 地球じゃまずあり得ない奇跡の光景だ! いや確かにあれもすごいけど、そんなことより気持ち良い――」
「お腹空きましたねぇ」
「とぼけてるよね!? 明らかにとぼけてるよね!?」
「マコト様」
ファンナさんは突然振り返ると、真面目な表情で距離を詰めて来た。
「この世には、見てはいけないこと。聞いてはいけないこと。言ってはいけないこと。というのがあります」
「う、うん?」
「・・・そういうことです」
「どゆこと!?」
その後、何度か聞いてみたものの、結局まともな答えが返って来ることはなかったのだった・・・。
変な建物と、人間と動物が一緒に暮らしている街を興味深く見ながら、その道中。
「それにしても、結構な人気者なんだな。近くにいた人たちが全員集まって来てたし」
「みなさん優しく応援してくれて、ありがたいことです。ところで、街の方たちの話を聞いてどう思いましたか?」
「どうって?」
「みなさん、日々魔王さんの脅威に怯えながら暮らしています。いつ襲われるか、いつこの穏やかな日常が奪われるか怯えながら」
・・・ああ、そういうことか。
俺はまだ魔王やモンスターを見たことがないから、平和そうなメルヘンな世界にしか見えないけど、ここに暮らしてる人からすれば、差し迫った脅威ってことか。
みんな本気で怯えてたもんな・・・。
「先ほどはみなさんを不安にさせないようにああ言いましたけど、おそらくこのままでは、近いうちにこの国は魔王さんに侵略されてしまうと思います」
「・・・マジで?」
「まだ神官見習いですけど、色々とお話は聞こえてきますので・・・。そんな状況で、この国を救ってくれるお助けキャラとしてマコト様が召喚されたわけですが・・・あまり気負わないでくださいね?」
「今の言葉でめちゃくちゃ気負ったんですけど? つかわざとだろ?」
「さあ? なんのことやら?」
とぼけたフリしてやがるが、絶対確信犯だ。
「・・・そ、それよりさ。その、さっき話してた、き、気持ち良いことって――」
「今日はいい天気ですねぇ」
「え? ああ、そうだな。青空だしな。それは良いんだけど、気持ち良いことって――」
「あ、見てください! カエルさんとリスさんとフェレットさんがかけっこしてますよ!」
「うおすげぇ! 地球じゃまずあり得ない奇跡の光景だ! いや確かにあれもすごいけど、そんなことより気持ち良い――」
「お腹空きましたねぇ」
「とぼけてるよね!? 明らかにとぼけてるよね!?」
「マコト様」
ファンナさんは突然振り返ると、真面目な表情で距離を詰めて来た。
「この世には、見てはいけないこと。聞いてはいけないこと。言ってはいけないこと。というのがあります」
「う、うん?」
「・・・そういうことです」
「どゆこと!?」
その後、何度か聞いてみたものの、結局まともな答えが返って来ることはなかったのだった・・・。
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