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40話
しおりを挟む「・・・こうなれば、いっそこやつをモンスターの巣に放り込んで見てはいかがブル?」
「おいブルドッグてめえ何言ってんだ?」
神官長のありえないほど危険な発言に、思わず素でキレてしまう。
「危機に瀕して、初めて伝説のお助けキャラとしての力が発揮されるやも知れませぬブル」
「なるほど~」
「なるほどじゃねえよ!? 危なすぎんだろ!? それにもし何の力も発揮しなかったらどうすんだよ!?」
のんきに納得する姫さんに慌ててツッコんだけど、
「大丈夫だよ~。どうにかなるから~」
「どうにかならなかったらどうすんだ!? 他人事だからって適当過ぎじゃね!?」
「だって~、他人事だもん~」
「ぶっちゃけやがった!?」
「えへ~☆」
・・・こ、こいつ、顔も表情も声も仕草もめちゃくちゃ可愛いけど・・・性格悪っ!!。
なのに可愛いくて胸キュンしちまった自分に尚更ムカツク!!。
「そうしたいお気持ちはとても強くわかりますが、やはり一番大切なのはマコト様のお気持ちではありませんか? 無理強いしても良い結果は出ないと思います」
「それはそうかも知れんが・・・」
「ここはマコト様のお気持ちを尊重しては如何でしょうか?」
「・・・ファンナちゃんがそう言うのなら、仕方ないブルな・・・」
ファンナさんの説得に、大臣も神官長も顔を見合わせ渋々といった様子で頷いている。
「姫様はどうお考えブル?」
姫さんは何も言わず、ただじっと俺の目を見つめる。
俺を責める言葉は何一つ言わなかったけど、俺はその視線に耐え切れず、思わず視線を逸らしてしまう。
「・・・そっか~。しょうがないよね~」
・・・何だかんだ言いながらも、それなりに期待はしていたのか、その声は残念そうだ。
いくら性格悪くておっぱいが残念と言っても、これだけ可愛い子の期待に応えられないというのは男として色々と葛藤もあるけど、こればっかりは仕方ない。
・・・そう、仕方ないことなんだ・・・。
「モンスターの――」
「巣には飛び込まねえよ!?」
「しゅん~・・・」
俺の微妙で複雑な紳士心を察したのか。ったく、油断も隙もあったもんじゃねえな。
「天上世界まで私がご案内したいところですが、あいにくと私には神殿の管理人としてのお役目がありますから、離れるわけにはいかなくて。大臣様、どなたか適任者を――」
「ならオレが案内してやるよ」
そう言いながらおもむろに部屋に入ってきたのは、一匹のレッサーパンダだった。
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