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63話
しおりを挟む昨夜の混乱も収まり、今もみんなが文献に集中する、翌日の午後。
相変わらず何もすることがない俺は、それならこの世界の日常を見て来たらどうだとポン太に言われて、村の中を見て廻っていた。
「・・・こうして見てると、ホントにメルヘンな童話の世界そのものだな。相変わらず動物も普通に二足歩行しながら歩いてたりするし、人間と動物が自然な感じで仲良く話し合ってるし・・・俺がいた街って、こんなに平和な感じだったっけな・・・」
色々と便利な世の中ではあったけど、ここにはそれ以外の、地球じゃ感じなかった、何かあったかいものを感じる気がする・・・。
そんなこと考えながら平和でのどかな村を散歩して家に戻ってくると、朝早くから行っていた文献の解読が1段落したというので、話しを聞かせてもらうことにした。
・・・のだが。
「・・・その前に、1つ良いか? あれは一体何があったんだ?」
そこには動けないように椅子に縛られてるイザヨイさんと、鼻にティッシュを差して倒れてるシャルローネさんの姿があった。
「朝からモモタローも文献を調べるのを手伝ってくれてたのは知ってるだろ?」
モモタローは昨日の夜は一旦家に帰り、また今朝から来て調べ物を手伝ってくれていた。
「イザヨイの奴がまた暴走して、抱きしめるわ頬ずりするわ服の中に手を入れようとするわで大変でな。それを見てシャルが鼻血出してぶっ倒れて、イザヨイは縛ってあのザマってわけだ」
「・・・とんだ災難だったなモモタロー」
「でも抱きしめてくれるのは普通に嬉しいので、無下には出来なくて――」
「何を言ってるんだいモモ。お前にはお前に相応しい年齢の相手がいるんだから、こんな年増を相手にしてはダメだよ」
「誰が年増だウサギ野郎!! 愛は年齢など超えるのだぞ!?」
「・・・イザヨイさん・・・あんた・・・」
「はっ!? ち、違うんだ! 私とてこれが悪いものだとわかってはいるのだ! だから抑えようと必死に頑張っていたんだ! だが! だがこんな可愛い子を目の前にしては魂からの衝動が抑えきれんのだ!!」
「つまり魂からのショタコンってことか・・・」
「これさえなければ真面目で良い奴なんだがな・・・」
「そんな可哀想なものを見る目で私を見るなっ!!」
「だから何度も言ってるじゃないか。モモなんかじゃなく、僕を抱きしめるなり頬ずりするなり服の中に手を突っ込んだりして愛でれば良いと」
「お前はいらん」
「ぎゃふん!」
わずかな迷いもなく冷静に一蹴され、ケンジャはその場でひっくり返っている。っていうか「ぎゃふん」って言葉で言う人(人じゃなくてウサギだけど)初めて見たぞ。
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