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73話
しおりを挟むモンスター襲撃の翌日の朝。
ケンジャとモモタローを加えて王都へ帰る車中。
「定員オーバーだろ! ウサギは中に入らねえで屋根の上にでも乗っかってろよ!」
「僕だって本当はこんなことしたくないおっと手が滑った」
「やっ!? ちょ、ちょっと!! どさくさに紛れて変なところ触らないでよ!! ああこんなメチャクチャな場所でマコトにナニかされちゃったら・・・あ、鼻血が――」
「ダメだそれ以上近づくなモモタロー!! それ以上近づいたら私は!!」
「で、でもイザヨイさんがボクを引き寄せて離してくれないというか、ああ!? 服の中に手を入れるのは困ります~!」
「落ち着けお前ら!! 静かに座ってることも出来ないのか!!」
定員4人の狭い馬車の中。
そこにケンジャとモモタローが乗ったせいで、車中はかなり狭いことになっていた。
それだけならまだ良かったんだけど、ケンジャがこの狭い車中を利用してシャルローネさんに手を出したことがキッカケで、車中はとんでもない混沌へと変化。
ケンジャから逃げるようにシャルローネさんは俺に体を押し付けてくるし、イザヨイさんもモモタローから離れたところに座ってたのに、この混乱のせいでいつの間にかモモタローの隣で密着暴走。
モモタローの貞操の危機に、ポン太も何とか2人を引き離そうと苦戦。
手を貸してやりたい俺だけど、ケンジャが懲りずにシャルローネさんに手を出そうとするもんだから、シャルローネさん(何処か楽しそうにも見える)はさらにぐいぐいと俺に体を押し付ける格好になって、俺も結構ヤバイことになっていた。
途中「こんなメチャクチャな状況なんだから、ちょっと手が滑っても許されるんじゃ・・・?」なんてことも、一瞬、ほんの一瞬だけ思ってしまったけど、それはダメだと自分に言い聞かせて1人我慢大会。
そんな混沌と化した車中だったが、ヨスケは我関せずと進み、外の景色をゆっくり眺める余裕もなく、俺たちは王都に戻って来たのだった。
「・・・はぁ。馬車に乗ってただけなのに、なんかすげえ疲れた・・・」
王都に着いた俺たちは、結局元の世界への帰り方はわからなかったと報告する為、そのまま街中を抜けて真っ直ぐ城へ入り、ヨスケに礼を言って馬車を降りた。
しかし、そこでは衛兵たちが何やら慌てた様子で動き回ってる真っ最中だった。
「なんか随分と騒がしくね?」
「そうだな。・・・あ、ちょっとすまない。この騒ぎは一体なんなんだ?」
ポン太が近くを通りがかった衛兵に話しかけた。
「ん? あ、ジークじゃないか久しぶりだな! ああ今はそんな悠長に話してる状況じゃないんだ! 姫様が魔王にさらわれてしまったんだ!!」
「な、なんだって!?!?!?!?」
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