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夜明けのエチュード
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天気の良い朝を迎えたキャピュレット家。
滞りなく舞踏会は幕を閉じ、舞踏会で酔い潰れたエラはキャピュレット家の一室で朝を迎えた。
本来ならば舞踏会が閉幕した後に直ぐに着替え、リバースの屋敷(旧:キャルロット)へ明け方前までに戻る予定が完全に崩れていた。
屋敷内ではエラが消えた事を怪しまれる事は明らかであった。
しかし夜が明けた今となってはどうすることも出来ない。
ドアをノックする音が聞こえた。
そしてドア側から若い女性の声が聞こえたのだった。
3人が寝ても十分な程の大きいベットの上でエラは寝間着姿、金髪の長い髪を下ろしていた。
「エレノア様、お加減は如何でしょうか。」
その声を聞いたエラは返答する。
「入っていいわ。」
「失礼いたします。」
この様に丁重に答えたメイドはエラの寝室に入ったのだった。
容姿はエラと同じか少し上の様に見え、すらっとした姿で顔は聡明に見えた。
「お食事は如何いたしましょう。
宜しければアンドレ様がお待ちです・・・ご支度を先になさいましょうか。」
この言葉を聞いたエラは、何ともモヤモヤした気分になったのだった。
1週間前に口説かれたアンドレと、アンドレの異常なモテ加減を思い出すとキャピュレット家がどの様になっているのか皆目見当がつかないエラ。
アンドレ侯爵子息と顔を合わせるのは複雑な気持ちであった。
「食事を運んで頂けると助かるわ。
あと、貴方に少し訪ねたい事が。」
「お食事の件、承知いたしました。
訪ねたい事はどの様なご用件でしょうか?」
若い女性メイドは少し首を傾げながらこの様に返答したのだった。
続けてエラはメイドに問いかけるのだった。
「アンドレの事なのだけど、貴方から見てどの様に感じるかしら。」
「どの様にと言われましても難しいかと・・・
強いて言えば顔の整った殿方と存じます。」
ここまではエラも少しは感じていた想定内の回答だった。
「多くのご令嬢と縁談がある様なのだけれど、何か聞いていないかしら。」
「特にはお聞きしておりません。
アンドレ様の人柄ではないでしょうか、ご聡明ですし。」
若いメイドは余りよくわからない様な顔をしている。
どうやらキャピュレット家の財力に関する政略結婚が目当てでは無さそうであった。
確かに勉学は優秀、難解な書物を理解・推理・応用できる程だった。
しかし聡明かどうかは微妙であった。
アンドレの突進する姿勢は度を過ぎた時に読み方を一歩間違えるとマヌケである。
「ありがとう、下がっていいわ。」
若いメイドは浅く一礼するとエラの前から姿を消した。
ほどなくして食事が届くか・・・と考えていたエラは驚愕する。
アンドレの方が先だった!!
ノックすると扉を開けてそのまま直球でエラの寝室にツカツカした歩き方で入ったのだった。
扉は閉められていない。
顔の整っている茶髪姿のアンドレは何故か軍服正装であった。
「おはようエラ。
昨日は済まなかった、所で僕と結婚しないか。」
アンドレ侯爵子息の顔は爽やかさがありながら情熱的で相当に真剣である。
エラの頭の中ではモヤモヤ感が更に広がったのだった。
「アンドレ・・・
朝起きて、朝食の前にいきなりプロポーズされても困るわ。」
エラはヤレヤレ感のある間の抜けた顔であった。
この間の悪い所、先ほどの若いメイドが食事を運んでくるのだった。
開いたままの扉側から会話を聞いたメイドは恐縮そうな顔で何かを悟った。
「失礼しました・・・ごゆっくりどうぞ。」
最後の言葉は少し小声であった。
これに慌ててツッコミを入れるか如く、更に何かを訴えたかの様にエラは迅速に反応する。
渡りに船が逃げていく状況にエラは藁をも掴むのだった。
「気を使わないでっ!!そこは!」
このやり取りを察したアンドレは素直に引き下がったのであった。
「僕が悪かった、外そう。」
アンドレは片手を胸に当て、跪いてエラに一礼するとツカツカとした歩き方で去ったのだった。
胸をなでおろすエラ。
しかしエラの脳裏には何となく、アンドレの繰り出す次の予測不可能な行動を想像するのだった。
若いメイドはカートを移動してエラの前で止めた。
配膳が終わると若いメイドは下がったのだった。
食事を終えたエラは変装した商人の服装に着替え直す。
若いメイドが食事を下げる為に戻ると、既に支度を終えていたエラの姿に少し困惑した様だ。
エラは若いメイドの手を取り、感謝をこの様に伝える。
「ありがとう、美味しかったわ。」
若いメイドはエラの眼差しを見て少し驚いた様だった。
このシチュエーションを颯爽とぶち壊したのはアンドレ侯爵子息であった。
扉が開いた状態のままの所、再びツカツカとした歩き方でやってきたのだった。
服装は軍服姿のままであった。
「先ほどの続きだ、僕と結婚しないか。」
情熱を感じる紳士式の両腕の広げ方。
ド直球にプロポーズを再開するアンドレの姿を見たエラは困惑するのだった。
アンドレは一発目の失敗は登場する演出手法が不味かったと思っている様だ。
「アンドレ。
私、着替えたから別にいいけど、着替えている途中に入ったら殴ってるわよ。」
アンドレはエラの言葉によってようやく、帰り支度を終えたエラの姿を確認したのだった。
少し残念な顔をしたアンドレ。
しかし、屈する事は無かったようだ。
「僕の悲劇をエラ、君は見ていた筈だ。
僕は君が必要だ。」
「・・・」
この言葉を聞いたエラは更に困惑するのだった。
この”悲劇”という下り。
これは凡そ、多くの婦人に追っかけられているものと理解したのだった。
「アンドレ。
残念だけど私、まだ誰とも特別なお付き合いはしていないわ。」
特段の感情もなく、よくわからない顔をしたエラであった。
このエラの言葉を聞いた瞬間、アンドレは驚愕、愕然としたのだった。
「少なくとも10年近く君と傍にいながら、僕を何とも思ってなかったとは。
あれだけ君と熱い剣術を通じて絆を誓ったと思っていたのに!」
どうやら、アンドレの言い分を総合解釈すると剣術でプロポーズをしてきたつもりの様だった。
エラの顔は完全に間の抜けたものだった。
「アンドレ。
そのスタンスで、よくもあれだけモテたわね。
寧ろ関心するわ。」
間の抜けた顔をしているエラの顔は半分、アンドレに同情したかの様だった。
只、この一連の経緯を知ったことでアンドレに向ける異性としての意識は少し変化していたのであった。
アンドレ侯爵子息の本心としてはエラを妻に迎えることで、リバース領(旧キャルロット領)を奪還する為に何か手助け出来ると思っていた様だ。
しかし、その想いは2度にしてフラれてしまい、本心をエラに伝える事は叶わなかったのである。
見送りには年配メイドのリズとアンドレが出向いた。
エラはそれぞれに感謝を述べるとキャピュレット家から商人と荷馬車を借り、リバースの屋敷(旧キャルロット)へ戻るのであった。
ここでエラは荷馬車の中でふと、回想していた。
1週間前、舞踏会に誘われたアンドレのシチュエーション。
”あんな風に褒めてくれて攻められたら、本気でアンドレに恋したかも・・・”少し残念に思うエラであった。
ここからは番外スピンオフ:
エラはアンドレの事である事を思いついたのであった。
「アンドレ。
ご婦人を巻いて逃げるだけなら方法はあるかもしれないわ。」
この言葉に期待を寄せたのはアンドレ侯爵子息だった。
「僕は君を愛している。
しかし君に更なる誠意を尽くす為、その方法を是非教えて貰えないだろうか。」
こうしてエラはアンドレに、顔を隠せば恐らくは追っかけられないであろう事を伝えるのだった。
但し、エラはここから先の話を広げる事を辞めるのであった。
何故ならその話を広げるならば、全方向から色々な匙加減の感情という名の嵐を巻き起こす事が予想されたからである。
ここで例えば、仮面を被りながら全力直球で戦闘するアンドレの姿を仮定想像してみる。
その姿を具現化すると、この様なものであった。
助太刀する為に参上したアンドレ。
騎士の姿で全速力で馬を走らせ、敵を次々となぎ倒す。
その姿は誰もが認める凛々しく立派な騎士であった。
しかし、その騎士の顔は愛しき恋人の忠誠を尽くすため、まるで絵に描いた様な騎士の姿に「へのへのもへじ仮面」を被っている。
そして情熱的な言葉を述べるのだった。
「エラ!君を愛しているっ!
どうかこの僕と結婚して欲しい。」
その姿を見たエラは・・・
滞りなく舞踏会は幕を閉じ、舞踏会で酔い潰れたエラはキャピュレット家の一室で朝を迎えた。
本来ならば舞踏会が閉幕した後に直ぐに着替え、リバースの屋敷(旧:キャルロット)へ明け方前までに戻る予定が完全に崩れていた。
屋敷内ではエラが消えた事を怪しまれる事は明らかであった。
しかし夜が明けた今となってはどうすることも出来ない。
ドアをノックする音が聞こえた。
そしてドア側から若い女性の声が聞こえたのだった。
3人が寝ても十分な程の大きいベットの上でエラは寝間着姿、金髪の長い髪を下ろしていた。
「エレノア様、お加減は如何でしょうか。」
その声を聞いたエラは返答する。
「入っていいわ。」
「失礼いたします。」
この様に丁重に答えたメイドはエラの寝室に入ったのだった。
容姿はエラと同じか少し上の様に見え、すらっとした姿で顔は聡明に見えた。
「お食事は如何いたしましょう。
宜しければアンドレ様がお待ちです・・・ご支度を先になさいましょうか。」
この言葉を聞いたエラは、何ともモヤモヤした気分になったのだった。
1週間前に口説かれたアンドレと、アンドレの異常なモテ加減を思い出すとキャピュレット家がどの様になっているのか皆目見当がつかないエラ。
アンドレ侯爵子息と顔を合わせるのは複雑な気持ちであった。
「食事を運んで頂けると助かるわ。
あと、貴方に少し訪ねたい事が。」
「お食事の件、承知いたしました。
訪ねたい事はどの様なご用件でしょうか?」
若い女性メイドは少し首を傾げながらこの様に返答したのだった。
続けてエラはメイドに問いかけるのだった。
「アンドレの事なのだけど、貴方から見てどの様に感じるかしら。」
「どの様にと言われましても難しいかと・・・
強いて言えば顔の整った殿方と存じます。」
ここまではエラも少しは感じていた想定内の回答だった。
「多くのご令嬢と縁談がある様なのだけれど、何か聞いていないかしら。」
「特にはお聞きしておりません。
アンドレ様の人柄ではないでしょうか、ご聡明ですし。」
若いメイドは余りよくわからない様な顔をしている。
どうやらキャピュレット家の財力に関する政略結婚が目当てでは無さそうであった。
確かに勉学は優秀、難解な書物を理解・推理・応用できる程だった。
しかし聡明かどうかは微妙であった。
アンドレの突進する姿勢は度を過ぎた時に読み方を一歩間違えるとマヌケである。
「ありがとう、下がっていいわ。」
若いメイドは浅く一礼するとエラの前から姿を消した。
ほどなくして食事が届くか・・・と考えていたエラは驚愕する。
アンドレの方が先だった!!
ノックすると扉を開けてそのまま直球でエラの寝室にツカツカした歩き方で入ったのだった。
扉は閉められていない。
顔の整っている茶髪姿のアンドレは何故か軍服正装であった。
「おはようエラ。
昨日は済まなかった、所で僕と結婚しないか。」
アンドレ侯爵子息の顔は爽やかさがありながら情熱的で相当に真剣である。
エラの頭の中ではモヤモヤ感が更に広がったのだった。
「アンドレ・・・
朝起きて、朝食の前にいきなりプロポーズされても困るわ。」
エラはヤレヤレ感のある間の抜けた顔であった。
この間の悪い所、先ほどの若いメイドが食事を運んでくるのだった。
開いたままの扉側から会話を聞いたメイドは恐縮そうな顔で何かを悟った。
「失礼しました・・・ごゆっくりどうぞ。」
最後の言葉は少し小声であった。
これに慌ててツッコミを入れるか如く、更に何かを訴えたかの様にエラは迅速に反応する。
渡りに船が逃げていく状況にエラは藁をも掴むのだった。
「気を使わないでっ!!そこは!」
このやり取りを察したアンドレは素直に引き下がったのであった。
「僕が悪かった、外そう。」
アンドレは片手を胸に当て、跪いてエラに一礼するとツカツカとした歩き方で去ったのだった。
胸をなでおろすエラ。
しかしエラの脳裏には何となく、アンドレの繰り出す次の予測不可能な行動を想像するのだった。
若いメイドはカートを移動してエラの前で止めた。
配膳が終わると若いメイドは下がったのだった。
食事を終えたエラは変装した商人の服装に着替え直す。
若いメイドが食事を下げる為に戻ると、既に支度を終えていたエラの姿に少し困惑した様だ。
エラは若いメイドの手を取り、感謝をこの様に伝える。
「ありがとう、美味しかったわ。」
若いメイドはエラの眼差しを見て少し驚いた様だった。
このシチュエーションを颯爽とぶち壊したのはアンドレ侯爵子息であった。
扉が開いた状態のままの所、再びツカツカとした歩き方でやってきたのだった。
服装は軍服姿のままであった。
「先ほどの続きだ、僕と結婚しないか。」
情熱を感じる紳士式の両腕の広げ方。
ド直球にプロポーズを再開するアンドレの姿を見たエラは困惑するのだった。
アンドレは一発目の失敗は登場する演出手法が不味かったと思っている様だ。
「アンドレ。
私、着替えたから別にいいけど、着替えている途中に入ったら殴ってるわよ。」
アンドレはエラの言葉によってようやく、帰り支度を終えたエラの姿を確認したのだった。
少し残念な顔をしたアンドレ。
しかし、屈する事は無かったようだ。
「僕の悲劇をエラ、君は見ていた筈だ。
僕は君が必要だ。」
「・・・」
この言葉を聞いたエラは更に困惑するのだった。
この”悲劇”という下り。
これは凡そ、多くの婦人に追っかけられているものと理解したのだった。
「アンドレ。
残念だけど私、まだ誰とも特別なお付き合いはしていないわ。」
特段の感情もなく、よくわからない顔をしたエラであった。
このエラの言葉を聞いた瞬間、アンドレは驚愕、愕然としたのだった。
「少なくとも10年近く君と傍にいながら、僕を何とも思ってなかったとは。
あれだけ君と熱い剣術を通じて絆を誓ったと思っていたのに!」
どうやら、アンドレの言い分を総合解釈すると剣術でプロポーズをしてきたつもりの様だった。
エラの顔は完全に間の抜けたものだった。
「アンドレ。
そのスタンスで、よくもあれだけモテたわね。
寧ろ関心するわ。」
間の抜けた顔をしているエラの顔は半分、アンドレに同情したかの様だった。
只、この一連の経緯を知ったことでアンドレに向ける異性としての意識は少し変化していたのであった。
アンドレ侯爵子息の本心としてはエラを妻に迎えることで、リバース領(旧キャルロット領)を奪還する為に何か手助け出来ると思っていた様だ。
しかし、その想いは2度にしてフラれてしまい、本心をエラに伝える事は叶わなかったのである。
見送りには年配メイドのリズとアンドレが出向いた。
エラはそれぞれに感謝を述べるとキャピュレット家から商人と荷馬車を借り、リバースの屋敷(旧キャルロット)へ戻るのであった。
ここでエラは荷馬車の中でふと、回想していた。
1週間前、舞踏会に誘われたアンドレのシチュエーション。
”あんな風に褒めてくれて攻められたら、本気でアンドレに恋したかも・・・”少し残念に思うエラであった。
ここからは番外スピンオフ:
エラはアンドレの事である事を思いついたのであった。
「アンドレ。
ご婦人を巻いて逃げるだけなら方法はあるかもしれないわ。」
この言葉に期待を寄せたのはアンドレ侯爵子息だった。
「僕は君を愛している。
しかし君に更なる誠意を尽くす為、その方法を是非教えて貰えないだろうか。」
こうしてエラはアンドレに、顔を隠せば恐らくは追っかけられないであろう事を伝えるのだった。
但し、エラはここから先の話を広げる事を辞めるのであった。
何故ならその話を広げるならば、全方向から色々な匙加減の感情という名の嵐を巻き起こす事が予想されたからである。
ここで例えば、仮面を被りながら全力直球で戦闘するアンドレの姿を仮定想像してみる。
その姿を具現化すると、この様なものであった。
助太刀する為に参上したアンドレ。
騎士の姿で全速力で馬を走らせ、敵を次々となぎ倒す。
その姿は誰もが認める凛々しく立派な騎士であった。
しかし、その騎士の顔は愛しき恋人の忠誠を尽くすため、まるで絵に描いた様な騎士の姿に「へのへのもへじ仮面」を被っている。
そして情熱的な言葉を述べるのだった。
「エラ!君を愛しているっ!
どうかこの僕と結婚して欲しい。」
その姿を見たエラは・・・
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