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06:転生エセお嬢様に試される悪役令嬢の試練
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テリーゼは馬場から離れると、やはりグループから外れているらしき者を感じた。
しかしながら、どこの世界にも追っかけは存在するらしい。
「エドワード様!」という女性陣の声が複数聞こえて来た。
エドワードはツカツカとした歩き方でテリーゼに近寄る。
そしてテリーゼの右手を引っ張り、倒れそうになったテリーゼの体に腕をまわして抱えると爽やかな顔で熱い視線を向けた。
さらさらとしたミディアムウルフの茶髪が風でなびいている。
粗々しくも華麗に引っ張られて倒されると動揺して身動きできない。
テリーゼはドキッとした感覚がまた止まらない。
そして一瞬の内に唇を奪われる、何が起こったのか真っ白になり分からない。
テリーゼの耳元で甘く囁くエドワードの声。
「僕は君を放さないよ。」
エドワードの眼差しが眩しい・・・が、「キャー」と騒がれた声で我に返る。
多くの令嬢が見ている事に気づくと恥ずかしさでテリーゼの顔は赤く染まった。
同時に負けた様な怒りがこみ上げてくる、とにかく心を許してもいないのに隙を突かれたズルさが許せない。
テリーゼは体制を立て直し、少し赤毛色のセミロングをかき上げると無言で自身のスカートを少しめくった。
そしてエドワードの股間をめがけて蹴り上げる。
清楚で落ち着いた雰囲気の令嬢姿からは凡そ想像できない行動だ。
エドワードの顔は瞬く間に真っ青になる、そして気障なセリフも忘れなかった。
「ぐはぁ!!!
テリーゼ、今日は今までになく実に刺激的だ。」
「(どんなラブコメかよ。💢💢💢)」
恐らくはラブストーリーの1シーンで相思相愛ならば何事も起きず、ハッピーになれたであろう。
テリーゼはめくったスカートを戻し、何かを片付け終わったかのような顔をする。
そしてその場を後にするのだった。
少々苦しんだ顔をしているエドワード。
別グループの複数令嬢が冷たい視線を送っていた。
「トラップを仕掛けらずに済んだなんて・・・今日は穏便ですこと。」そんな声が聞こえる。
教会の鐘の音が鳴り響くと「一時解散!」という大きな声が聞こえた。
正確には単純に大きな声を出した訳ではなく、魔法が使われている様だ。
馬術の講義が終了した様だ。
解散した所、表向きは何事も無いようだが陰に隠れている者が数名いる。
テリーゼはなんとはなく変な予感がしていた。
複数人の笑い声が聞こえた。
「貴方、乗馬もできないのに在籍していらっしゃるのね。」
「家柄が悪いからよ。」
「貧乏も大変ね・・・フフフ。」
「貴方、魔法の一つくらい使ってみなさいよ。」
どうやら貴族の中にも虐めは存在するらしい。
転生前のテリーゼにも苦い記憶があった。
周辺と少しでも違う者が存在すると袋叩きの様に虐められる。
忘れ去りたい嫌な記憶だ。
虐められている令嬢は16頃に見えた、テリーゼと同い年くらいだろうか。
冴えない顔で特徴という特徴が殆ど無い。
マッシュショートの髪型と顔のそばかすくらいが印象に残る程度。
暴力などは振るっていないが、言葉に陰湿ないやらしさを感じる。
「何とか言ったらどうかしら。」
テリーゼはこの様子を見て苛立った。
エドワードの件もあるが、何か気に食わない。
3回タップして超高性能AIと思われる機械を呼び出す。
「回復魔法とかあるのかよ。」
「ご名答・・・」
「(マジか・・・)」
コンソールを閉じると、テリーゼの顔つきは厳しいものに変わった。
「お前ら虐めってのは、こういうのが流儀なんだよ!
良く覚えとけっ!!」
テリーゼはこの様に言い放つと、虐められている令嬢に対して無残に殴り始めた。
その姿を見た4人程の令嬢の顔が一気に青ざめる。
虐められている令嬢は殴られて吐血している様だ。
今まで虐めていた令嬢達は立ちすくむ。
「そこまでしなくても・・・」
「行きましょう、もう用事は済みましたわ。」
この様に4人の内の誰かが言葉をかけ、虐めていた者全員がすごすごとその場を立ち去った。
ぐったりとした令嬢にテリーゼは直ぐに魔法が掛ける様に念じる。
しかし思っていた程、都合よくはいかないらしい。
どうやらかなり強い意志が無ければ完全に回復は出来ない様だ。
「悪ぃな、殴っちまって。」
「貴方さえも酷い。
そんな方だとは思わなかったわ・・・」
虐められていた令嬢は恨めしそうな顔で涙ぐんでいる。
そこに少し背が低くボブカットされた青色の髪姿をした令嬢が寄ってくる。
精々12歳くらいだろうか、顔は丸顔で目もくりくりとした可愛らしい姿に見える。
青色の髪を持つ令嬢は特に言葉もなく、マッシュショートの令嬢に呪文をかけなおしている様だ。
時間にして1~2分くらいだろうか、マッシュショートの令嬢は元通りに回復していた。
そして青色の髪を持つ令嬢は無言で去ろうとする。
テリーゼは少女の様な令嬢の名前がどうしても気になった。
「サンキューな。
お前、なんて名前だ。」
「レイチェル、元組長の爺だがな。」
ウソか本当かよく分からないようなセリフ。
可愛らしい声をした少女の様な令嬢はそれ以上の事を何も語らずにその場を去っていく。
その姿をテリーゼはしばし茫然と見る以外に無かったのだった。
しかしながら、どこの世界にも追っかけは存在するらしい。
「エドワード様!」という女性陣の声が複数聞こえて来た。
エドワードはツカツカとした歩き方でテリーゼに近寄る。
そしてテリーゼの右手を引っ張り、倒れそうになったテリーゼの体に腕をまわして抱えると爽やかな顔で熱い視線を向けた。
さらさらとしたミディアムウルフの茶髪が風でなびいている。
粗々しくも華麗に引っ張られて倒されると動揺して身動きできない。
テリーゼはドキッとした感覚がまた止まらない。
そして一瞬の内に唇を奪われる、何が起こったのか真っ白になり分からない。
テリーゼの耳元で甘く囁くエドワードの声。
「僕は君を放さないよ。」
エドワードの眼差しが眩しい・・・が、「キャー」と騒がれた声で我に返る。
多くの令嬢が見ている事に気づくと恥ずかしさでテリーゼの顔は赤く染まった。
同時に負けた様な怒りがこみ上げてくる、とにかく心を許してもいないのに隙を突かれたズルさが許せない。
テリーゼは体制を立て直し、少し赤毛色のセミロングをかき上げると無言で自身のスカートを少しめくった。
そしてエドワードの股間をめがけて蹴り上げる。
清楚で落ち着いた雰囲気の令嬢姿からは凡そ想像できない行動だ。
エドワードの顔は瞬く間に真っ青になる、そして気障なセリフも忘れなかった。
「ぐはぁ!!!
テリーゼ、今日は今までになく実に刺激的だ。」
「(どんなラブコメかよ。💢💢💢)」
恐らくはラブストーリーの1シーンで相思相愛ならば何事も起きず、ハッピーになれたであろう。
テリーゼはめくったスカートを戻し、何かを片付け終わったかのような顔をする。
そしてその場を後にするのだった。
少々苦しんだ顔をしているエドワード。
別グループの複数令嬢が冷たい視線を送っていた。
「トラップを仕掛けらずに済んだなんて・・・今日は穏便ですこと。」そんな声が聞こえる。
教会の鐘の音が鳴り響くと「一時解散!」という大きな声が聞こえた。
正確には単純に大きな声を出した訳ではなく、魔法が使われている様だ。
馬術の講義が終了した様だ。
解散した所、表向きは何事も無いようだが陰に隠れている者が数名いる。
テリーゼはなんとはなく変な予感がしていた。
複数人の笑い声が聞こえた。
「貴方、乗馬もできないのに在籍していらっしゃるのね。」
「家柄が悪いからよ。」
「貧乏も大変ね・・・フフフ。」
「貴方、魔法の一つくらい使ってみなさいよ。」
どうやら貴族の中にも虐めは存在するらしい。
転生前のテリーゼにも苦い記憶があった。
周辺と少しでも違う者が存在すると袋叩きの様に虐められる。
忘れ去りたい嫌な記憶だ。
虐められている令嬢は16頃に見えた、テリーゼと同い年くらいだろうか。
冴えない顔で特徴という特徴が殆ど無い。
マッシュショートの髪型と顔のそばかすくらいが印象に残る程度。
暴力などは振るっていないが、言葉に陰湿ないやらしさを感じる。
「何とか言ったらどうかしら。」
テリーゼはこの様子を見て苛立った。
エドワードの件もあるが、何か気に食わない。
3回タップして超高性能AIと思われる機械を呼び出す。
「回復魔法とかあるのかよ。」
「ご名答・・・」
「(マジか・・・)」
コンソールを閉じると、テリーゼの顔つきは厳しいものに変わった。
「お前ら虐めってのは、こういうのが流儀なんだよ!
良く覚えとけっ!!」
テリーゼはこの様に言い放つと、虐められている令嬢に対して無残に殴り始めた。
その姿を見た4人程の令嬢の顔が一気に青ざめる。
虐められている令嬢は殴られて吐血している様だ。
今まで虐めていた令嬢達は立ちすくむ。
「そこまでしなくても・・・」
「行きましょう、もう用事は済みましたわ。」
この様に4人の内の誰かが言葉をかけ、虐めていた者全員がすごすごとその場を立ち去った。
ぐったりとした令嬢にテリーゼは直ぐに魔法が掛ける様に念じる。
しかし思っていた程、都合よくはいかないらしい。
どうやらかなり強い意志が無ければ完全に回復は出来ない様だ。
「悪ぃな、殴っちまって。」
「貴方さえも酷い。
そんな方だとは思わなかったわ・・・」
虐められていた令嬢は恨めしそうな顔で涙ぐんでいる。
そこに少し背が低くボブカットされた青色の髪姿をした令嬢が寄ってくる。
精々12歳くらいだろうか、顔は丸顔で目もくりくりとした可愛らしい姿に見える。
青色の髪を持つ令嬢は特に言葉もなく、マッシュショートの令嬢に呪文をかけなおしている様だ。
時間にして1~2分くらいだろうか、マッシュショートの令嬢は元通りに回復していた。
そして青色の髪を持つ令嬢は無言で去ろうとする。
テリーゼは少女の様な令嬢の名前がどうしても気になった。
「サンキューな。
お前、なんて名前だ。」
「レイチェル、元組長の爺だがな。」
ウソか本当かよく分からないようなセリフ。
可愛らしい声をした少女の様な令嬢はそれ以上の事を何も語らずにその場を去っていく。
その姿をテリーゼはしばし茫然と見る以外に無かったのだった。
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