魔女は言う。「復讐したい? なら新兵器の実験台になってくれないかしら?」と……  【鎧殻剣記】

熱燗徳利

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第81話 銀の砂漠

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 アリスティアの身体を銀色の粒子が覆い、それが銀色の鎧殻装となる。楕円形の面具には十字の覗き穴があり、その右側面にのみ巨大な角の形状のパーツがあった。
 全身を覆う鎧殻装は厚く、その手には大剣が握られている。

「これが禁断の鎧殻装よ」

 そう言うと、周りの景色が変わる。漆黒の夜空に銀の星が煌めき、足元には銀色の砂がどこまでも続く砂漠。そこにアルベクとアリスティアは立っていた。

(これは鬼王《オグルク》の時のような独自の空間か……)

「この世界は我に味方する。そなたは勝てまいよ」

 アリスティアは大剣を振りかざして、斬りかからんとする。アルベクは避けようとしたが、砂が脚に纏わりつき動きを阻害する。しかも、ここでは転移の術も使えなかった。

「この!」

 アルベクはなんとか長剣で大剣を防ぐ。そして、核玉の出力を上げて砂を振り払い、飛翔する。しかし、夜空に浮かぶ星だと思ったものは、その実、エネルギーの塊であり、アルベクに向かって光弾のように迫ってくる。

「なに!?」

 アルベクの鎧殻装に無数の光弾がぶつかり、衝撃で地面に叩きつけられる。そこに銀の砂が全身に纏わりつきアルベクの動きを拘束した。

 さらに、アリスティアは左手をアルベクに向けてかざすと、そこから巨大な銀の火球が放出される。

 アルベクはとっさに身体の前に結界を張ったが、火球は結界にぶつかり、大爆発を起こす。アルベクは爆風で吹き飛ばされる。

「見たか……これが文明をも破壊しうる核玉の力だ」
 
 アリスティアは高らかに笑う。

(く、なんて出鱈目な能力だ)

 地上では銀の砂が纏わりつき、空に逃げようとも銀の光弾に身体を打ち付けられる。アルベクはまるで勝ち筋が見だせなかった。

「まだこんなものではないわ!」

 アリスティアの胸部が銀色に光り始める。そして、そこから、太い粒子のエネルギーが放出される。

 アルベクは再度結界を張ったが、結界はエネルギーを受け止めきれず、大破する。アルベクの身体にエネルギーの奔流が激突する。

「く、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 アルベクは意識を失う。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 アリスティアは気を失ったアルベクをつまらなさそうに見つめる。

「まだ、戦い足りない。この核玉の力は徐々に強くなっているというのに…… そなたはそれで終わりか……」

 アリスティアは銀の砂を使って、アルベクを拘束すると、その鳩尾に向けて、当身を食らわす。

「がはッ!」

 その衝撃でアルベクは強制的に叩き起こされる。

「そら、アルベク、まだ遊ぼうぞ……」

(どうやったら勝てる。畜生…… 痛みで身体が動かない)

 拘束され、肉体はまるで自由にならなかった。

「なんだ、抜け出せぬのか。それは本気が足らんからだ……」

 アリスティアは大剣をアルベクの喉元に向ける。

「そうだ、腕を一本切り落としてみるか。さすれば、痛みで動けるかもしれない」

 禁断の核玉の影響か、アリスティアの性格は凶暴性を増していた。そのまま、彼女は剣を振りかぶる。

(やられる!) 

 そう思ったアルベクは決死の覚悟で核玉の出力を上げる。すると、全身の黒い文様から、漆黒の炎があふれ出る。

 その炎は銀の砂を焼き溶かし、身体からも痛みが消える。

 そして、手にした長剣でアリスティアの大剣を防ぐ。

「……ほう、やるではないか」

 その時、空から光弾がアルベクに向かって降り注ぐ。しかし、先ほどと違い、アルベクの身体はビクともしなかった。 

(不思議だ、身体が軽い、力も溢れる……)

 だが、それは核玉の出力を限界まで高めたが故の力だとアルベクも理解していた。長くは使えない。はやく決着をつけなきゃならない。

 アルベクはアリスティアに飛び掛かると、長剣で連続攻撃を繰り出す。しかし、アリスティアは剣の実力も高く、攻撃を悉く防御していく。

「どうやらその力、長くは持たないようだな……」

 一方のアリスティアの場合、禁断の核玉は時間が経てば経つほどにその力を増していく。

 アルベクは次々に攻撃を繰り出すが、彼女の鉄壁の防御を崩せずにいた。
 焦って勝負を決めようと、長剣に光刃を纏わせたアルベクだったが、アリスティアも銀色の光刃を刀身に纏わせ、対抗する。赤と銀の光刃が激突するが、出力はアリスティアの光刃の方が高かった。アルベクの光刃は押し込まれ、長剣が腕から吹き飛ばされる。

「止《とど》めだ!」

 そのままアリスティアは銀の光刃を無手のアルベクめがけて振り下ろす。
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