今だからこそゲームについて語ろう

今、僕らが夢中になる物語（ゲーム）の世界

　窓の外では、せわしない日常が流れている。満員電車に揺られ、キーボードを叩き、時計の針とにらめっこする毎日。そんな灰色の現実から、僕らを一瞬で連れ去ってくれる魔法がある。そう、ゲームだ。
　かつてゲームは、一部の子供やマニアだけのもの、なんて言われた時代もあったかもしれない。けれど今は違う。スマートフォンをタップすれば、指先から壮大な世界が広がり、ヘッドセットを装着すれば、まるで別人に生まれ変わったかのような体験ができる。ゲームはもはや、映画や小説と肩を並べる、いや、それらを凌駕するほどの没入感を持った「総合芸術」であり、僕らの日常に溶け込んだ文化なのだ。
　じゃあ、「今、話題のゲームってなんだろう？」
　その問いに答えるのは、実はとても難しい。なぜなら、ゲームの世界はあまりにも広く、深く、そして多様化しているからだ。
　例えば、多くのゲーマーが息をのんで発売を待っている超大作がある。十年近い沈黙を破り、その姿を現した『グランド・セフト・オートVI』。あるいは、どこまでも広がるであろう狩猟の大地を夢見て、期待に胸を膨らませる『モンスターハンターワイルズ』。これらのタイトルは、もはやゲームという枠を超えた一つの「事件」だ。最新技術で描かれる圧倒的なグラフィックと、そこに息づく世界の作り込みは、僕らに現実以上のリアリティと興奮を与えてくれるに違いない。
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　一方で、世界観や物語で僕らを魅了するゲームも後を絶たない。スマートフォンやPCで気軽に遊べる『原神』や『崩壊：スターレイル』といった作品は、無料で始められるとは思えないほどの美しい世界と、魅力的なキャラクター、そして重厚なストーリーで、世界中のプレイヤーを虜にしている。彼らが紡ぎ出す物語は、まるで長編ファンタジー小説を読むように、僕らの心を掴んで離さない。一日数十分のプレイが、いつしか日々の楽しみに、そしてキャラクターたちへの深い愛着に変わっていく。
　少しコアなゲーマーに目を向ければ、そこにはまた違う熱狂がある。手に汗握る真剣勝負が繰り広げられる『VALORANT』や『Apex Legends』のようなeスポーツの世界。そこでは、コンマ数秒の判断が生死を分け、仲間との連携が勝利の鍵を握る。プロプレイヤーたちの神業のようなプレイに熱狂し、自分もまた、昨日の自分より少しでも上手くなろうと練習に打ち込む。このひりつくような緊張感と達成感は、他の何にも代えがたい魅力だ。
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　僕が今、特に心惹かれているのは、技術の進化がもたらす「体験の深化」だ。オープンワールドという、どこまでも歩いていける広大な世界はもはや当たり前になった。その世界で、何を感じ、どう生きるのか。NPC（ノンプレイヤーキャラクター）一人ひとりがまるで生きているかのように振る舞い、僕の行動一つで物語が思わぬ方向へ転がっていく。それはもはや、開発者が用意した一本道のレールをなぞる作業ではない。自分だけの物語を、その世界で紡いでいく体験そのものなのだ。
　結局のところ、「今、話題のゲーム」とは、誰かが決めるランキングリストのことではないのかもしれない。それは、僕ら一人ひとりが、今の自分の心に響く世界を見つけ、そこに没頭している「時間」そのものを指すのだろう。
　さあ、今日のあなたは何の世界へ旅に出るだろうか。剣を手にドラゴンに立ち向かうのか、仲間と共に勝利を目指すのか、あるいは、穏やかな世界でスローライフを送るのか。無数の物語が、僕らを待っている。コントローラーを握るこの手の中に、無限の可能性が広がっているのだから。