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第16話『頭を下げる王子と、ただのイザベラ』
しおりを挟む乾いた風が、収穫を終えた畑の畝(うね)の間を吹き抜けていく。夏の名残であった青々しい土の匂いはとうに消え失せ、今はただ、冷たく澄んだ空気と、遠くの森から運ばれてくる枯れ葉の香りが支配していた。空は抜けるように高く、蒼く、その下で村人たちは冬支度に追われている。薪を割り、保存食の最後の仕上げをし、家々の隙間風を防ぐための補修作業にいそしむ。そのどれもが、来るべき厳しい季節を乗り越えるための、ささやかで、しかし切実な営みだった。
イザベラは、館の小高い丘の上から、その光景をぼんやりと眺めていた。ここへ来て、二度目の秋が終わろうとしている。去年の今頃は、まだ絶望と怒りの渦中でもがき、すべてを呪っていた。だが今はどうだろう。風になびく自分の髪の感触、頬を撫でる空気の冷たさ、黙々と働く村人たちの背中。その一つ一つが、何の変哲もない、ありふれた日常の断片として、ただ静かに心に染み込んでくる。特別な喜びはない。しかし、息苦しいほどの苦しみも、もはやどこにもなかった。
「……平和なものだな」
隣に立つカイルが、独り言のように呟いた。その声には、噛みしめるような安堵の色が滲んでいる。彼の手には、先ほどまでイザベラが格闘していた、いびつな形に編み上がった藁の束が握られていた。冬の間の家畜の寝床にするのだと教わったが、彼女の不器用な手にかかると、藁はただ絡まり合うだけで、一向に形をなさなかったのだ。
「ええ、本当に。わたくしが何もしない方が、よほど平和ですわね」
イザベラは自嘲気味に笑って、自分の泥だらけの手のひらを見つめた。硬くなった皮膚、短く切りそろえた爪。王都にいた頃の自分が見たら、卒倒するに違いない。だが、不思議と嫌ではなかった。むしろ、このざらついた感触こそが、自分が今、確かにここに立っているという、確かな実感を与えてくれるような気さえした。
そんな穏やかな午後を切り裂いたのは、村の入り口の方から聞こえてきた、ただならぬ喧騒だった。最初は、子供たちのはしゃぐ声か、あるいはどこかの夫婦がまた派手な喧嘩でも始めたのかと思った。だが、その声はみるみるうちに大きくなり、村全体を巻き込むような、驚きと混乱の渦へと変わっていった。
「なんだ?」
カイルが眉をひそめ、腰に差した剣の柄に無意識に手をやる。イザベラも目を凝らした。村の街道の向こうから、何かが近づいてくる。それは、この辺境の地ではおよそ不釣り合いな、きらびやかな行列だった。先頭を行くのは、見事な白馬にまたがった、銀の甲冑を纏う二人の騎士。そしてその後ろに続くのは、黒塗りの車体に金色の装飾が施された、巨大で豪奢な一台の馬車。馬車の側面には、太陽と剣を組み合わせた、決して見間違えることのない紋章が燦然と輝いていた。
王家の紋章。
「……嘘でしょう?」
イザベラの口から、乾いた声が漏れた。村人たちの騒ぎの意味を、彼女は一瞬で理解した。彼らは恐怖や怒りで騒いでいるのではない。畏怖と、当惑と、そしてほんの少しの野次馬根性で、大声を出しているのだ。
「王子様だ!」「本物の王子様が、なんでこんな村に?」「おい、早く!奥から一番マシな服持ってこい!」「税金の取り立てじゃないだろうな……」「馬鹿野郎!王家が直々にそんなことするか!」
泥まみれの服を着た村人たちが、慌てふためきながら右往左往する。ある者は家に駆け戻り、ある者は道端にひれ伏し、またある者は物陰から恐る恐るその行列を覗き見ている。そのドタバタぶりは、どこか滑稽でさえあった。
やがて、行列はイザベラの住む古い館の前に、まるでそこが目的地であったかのように、ぴたりと停止した。銀の鎧の騎士が馬から飛び降り、恭しく馬車の扉を開ける。村中が息を呑んで見守る中、その中から現れた人影を見て、イザベラの心臓は、ほんのわずかに、しかし確かに、その鼓動を速めた。
日に焼けておらず、上等な生地で作られたであろう濃紺の旅装束。手入れの行き届いた金色の髪。そして、かつて彼女が愛し、憎み、その一挙手一投足に心をかき乱され続けた、あの懐かしい顔。
アルフォンス・フォン・エルスリード。この国の王子であり、イザベラの元婚約者。
彼は、そこに立っていた。以前よりも少し痩せ、その瞳には深い疲労と苦悩の色が浮かんでいたが、その立ち姿は紛れもなく、民の上に立つ者としての威厳を保っていた。彼はひれ伏す村人たちには目もくれず、ただまっすぐに、丘の上に立つイザベラを見上げていた。
カイルが、一歩前に出てイザベラの盾になるかのように、低い声で言った。
「……どういうおつもりでしょうか」
彼の声には、剥き出しの警戒心がこもっていた。
だが、イザベラは静かにその腕を制した。彼女の心は、自分でも驚くほど、静まり返っていた。
かつての自分なら、どうしただろう。この再会をどう受け止めたであろうか。
心のどこかで、ずっとこの日を待ち望んでいたのかもしれない。彼が自分の過ちに気づき、後悔し、こうして自分を迎えに来る日を。その時、自分はどんな言葉で彼を罵り、どんな表情で彼の絶望を見下してやろうかと、幾度となく想像を巡らせていた。復讐心。それだけが、この地に追放された当初の自分を支える、唯一の燃料だったのだから。
しかし、今、彼の姿をその目に映しても、心に燃え上がるものは何もなかった。
怒りも、憎しみも、そして、あの燃えるような恋心も、きれいさっぱり消え失せていた。まるで、遠い昔に読んだ物語の登場人物を眺めているような、不思議なほどの距離感があった。
彼の着ている豪奢な服も、王家の紋章が刻まれた馬車も、かつてはイザベラのプライドそのものであり、執着の対象だった。しかし今、彼女の目には、それらがただの布地であり、ただの木と金属と塗料の塊にしか見えなかった。すべての肩書き、すべての装飾、すべての物語を剥ぎ取った時、そこに残るのは何だろう。
ただ、困り果て、疲れ切った表情で、助けを求めるように自分を見上げている、一人の若い男がいる。
それだけだった。
「アルフォンス」という名前の、自分と同じように息をして、悩み、苦しむ、ただの人間。
その事実に気づいた瞬間、イザベラの心にあった最後のさざ波も、すうっと引いていった。
「カイル、大丈夫よ。お客様をお迎えしましょう」
そう言って、彼女は丘を降り始めた。一歩、また一歩と、泥のついたブーツで、過去へと続く道を、しかし全く新しい気持ちで、歩みを進めていった。
◆
館の応接室は、埃っぽく、調度品も古びていた。それでも、村の女性たちが総出で磨き上げたのだろう、床には艶があり、窓ガラスは曇りなく陽光を通している。テーブルの上には、これまた村で一番上等だという、少し欠けたティーカップが二つ、湯気を立てていた。
アルフォンスは、勧められた椅子に深く腰掛けたまま、黙り込んでいた。彼の視線は、テーブルの一点を彷徨い、時折、窓の外の荒れた庭に目をやっては、痛ましげに眉をひそめた。イザベラは彼の対面に座り、ただ静かに紅茶を啜っていた。カイルは、壁際に仁王立ちしたまま、石像のように動かない。重苦しい沈黙が、部屋を支配していた。
最初にその沈黙を破ったのは、アルフォンスだった。
「……すまなかった」
絞り出すような、か細い声だった。
「君に対して、取り返しのつかないことをした。私の愚かさが、君の誇りを、人生を、めちゃくちゃにしてしまった」
彼は顔を上げ、初めてイザベラの目をまっすぐに見た。その瞳は、後悔と罪悪感で揺れていた。
「私は、物事をあまりに単純に捉えすぎていた。正義と悪、正しいことと間違っていること。リリアの純粋さだけが善であり、君の完璧さ、君の正しさを、心が無い冷たさと断じてしまった。君が、どれほどの重圧の中で、どれほどの努力を重ねて、あの『完璧』を維持していたのか……その裏にある苦悩を、私は理解しようともしなかった」
イザベラは、何も言わずに耳を傾けていた。彼の言葉は、かつての自分が聞きたくてたまらなかった言葉のはずだった。だが、今それを聞いても、心は揺れなかった。それは、過去の出来事に対する、今さらな解説を聞いているようなものだった。彼女が経験した苦しみは、彼の謝罪一つで消えるような、単純なものではなかったし、そもそも、もう彼女は、その苦しみの所有権を手放していた。あれは、過去の自分が体験した一つの「出来事」に過ぎない。
「リリアは……」と、アルフォンスは続けた。その声には、さらに深い痛みがこもった。
「彼女もまた、苦しんでいた。聖女という役割に縛られ、民の期待という重圧に押しつぶされそうになっていた。彼女の嘘は、その弱さから生まれたものだ。私は、彼女に救いを求めるあまり、彼女をさらに追い詰めてしまった。結局、私は誰も救えなかった。君も、リリアも、そして……この国も」
彼は、両手で顔を覆った。王としての威厳など、もはやどこにもなかった。ただ、自分の無力さに打ちひしがれる、一人の男の姿があった。
「干ばつは、多くの民の命を脅かした。君がこの土地で備えていた保存食がなければ、王都では暴動が起きていただろう。君は、国を救ってくれた。私が……私が追放した君が、だ」
言葉が途切れ、彼の肩が小さく震える。
「イザベラ……。君の力が必要だ。君の知恵と、先見の明がなければ、この国は立て直せない。どうか、王都へ戻ってきてはくれないだろうか。そして……」
アルフォンスは意を決したように顔を上げ、椅子から立ち上がると、イザベラの前に進み出た。そして、ためらうことなく、その場に膝をつき、深々と頭を下げたのだ。
「どうか、私を許し、再び、私の隣に……」
その光景を見て、カイルが息を呑み、身じろぎする気配がした。王国の王子が、一介の(追放されたとはいえ)貴族の令嬢に、土下座にも近い姿勢で許しを請うている。もし過去のイザベラが見たならば、これ以上の勝利の瞬間はなかっただろう。脳髄が痺れるほどの歓喜と、優越感に打ち震えたに違いない。復讐の完成。彼女が夢見た光景そのものだった。
だが、今のイザベラの心に浮かんだのは、ただ一つの、静かな感想だった。
(ああ、この人も、こんなにも苦しんでいたのか)
彼の苦しみは、彼自身の未熟さ、愚かさが原因(縁)で引き起こされたものだ。しかし、王という立場、民の期待、様々な要因(縁)が複雑に絡み合い、彼をその思考へと導いた。彼もまた、自分ではコントロールできない大きな流れの中で、もがいているに過ぎないのだ。
そう思うと、彼を「王子」というラベルや、「元婚約者」という物語で見ることは、もはやできなかった。彼はただ、目の前で苦しみ、助けを求めている、一人の人間だった。
イザベラは静かに立ち上がった。そして、かつてカイルが絶望の淵にいた自分にしてくれたように、ただ、事実を告げた。
「顔を上げてください、アルフォンス殿下」
その声は、冷たくも温かくもなく、ただひたすらに平坦だった。
アルフォンスが、戸惑いながら顔を上げる。彼の目には、懇願と、そしてわずかな期待の色が浮かんでいた。イザベラは、その目を見つめ返して、はっきりと続けた。
「まず、申し上げておきます。わたくしはもう、あなたの知っているイザベラ・フォン・ヴァレンシュタインではありません」
「……どういう、意味だ?」
「かつてのわたくしは、ヴァレンシュタイン公爵家の令嬢であり、未来の王妃という役割を演じることに、自分の価値のすべてを見出していました。その役割を完璧にこなすこと。それが『私』という存在そのものだと信じていました。しかし、今は違います」
イザベラは、部屋の窓に歩み寄り、外の、どこまでも広がる荒涼とした、しかし愛おしい風景に目をやった。
「わたくしは、この土地で、多くのものを失い、そして、ほんの少しだけ学びました。公爵令嬢という肩書きも、王妃という未来も、結局は人が作り出した、移ろいやすい幻のようなものだということ。そんなものに執着し、振り回されることが、どれほど心をすり減らすかということを」
彼女は振り返り、アルフォンスに向き直った。
「あなたが頭を下げるべき相手は、わたくし個人ではありません。あなたの下した判断と、それが引き起こしたこの国の混乱、そして苦しんでいる民、そのすべてに対してです。わたくし個人の許しに、何の意味もありません」
「……イザベラ」
「わたくしはもう、ヴァレンシュタイン公爵令嬢でもなければ、あなたの婚約者でもありません。この土地で、土に触れ、この人々と共に生きる、ただのイザベラです」
彼女の言葉は、静かな刃のように、アルフォンスの最後の期待を切り裂いた。彼が復縁を望んでいるのは、「ただのイザベラ」ではない。国を救う知恵を持つ「有能なイザベラ」であり、王妃として隣に立つにふさわしい「公爵令嬢イザベラ」なのだ。彼はまだ、彼女を役割や能力というラベルでしか見ていない。そのことに、イザベラは気づいていたし、おそらくアルフォンス自身も、その事実を突きつけられて、愕然としていた。
彼が知っている、プライドが高く、常に正しさを振りかざし、感情的で、愛と憎しみに生きていたイザベラは、もうどこにもいなかった。彼の目の前にいるのは、穏やかで、強く、そして自分には理解できないほど大きな視点で世界を捉えている、全く知らない一人の女だった。
「では……協力は、してもらえないと、いうことか」
彼の声には、絶望の色が滲んだ。
「いいえ」と、イザベラは首を横に振った。
「個人的な感傷で、国を見捨てるほど、わたくしは愚かではありません。ですが、それは『元婚約者イザベラ』としての協力ではありません。この辺境の領地が、国の一員として、今できる限りのことをさせていただく、という意味です」
それは、公的な立場にある人間としての、明確な線引きだった。
長い、長い沈黙が落ちた。やがてアルフォンスは、ふらりと立ち上がると、力なく頷いた。
「……わかった。君の言う通りだ。私は、まだ何も見えていなかったらしい」
彼は、イザベラに背を向け、扉に向かって歩き出した。その背中は、来た時よりもさらに小さく、頼りなく見えた。
彼が去った後、部屋には紅茶の冷めた香りと、西日が差し込む光の筋だけが残された。イザベラは、窓の外で遠ざかっていく王家の馬車を、ただ黙って見送っていた。風が吹き、庭の木の枝から、最後の一枚の枯れ葉が、はらりと舞い落ちた。
「不思議なものね」
背後のカイルに、語りかけるともなく、イザベラは呟いた。
「あれほど憎んでいたはずなのに。あれほど、この日が来るのを夢見ていたはずなのに。いざとなると、心の中は空っぽだわ。ただ、風が吹いているのと同じように、彼が来て、帰っていった。ただ、それだけ」
心が凪いでいる。良いことも、悪いことも、すべてがただの現象として通り過ぎていく。嬉しいことも、悲しいことも、永遠には続かない。人も、関係も、季節が移ろうように、ただ変化していく。諸行無常。かつて本で読んだだけの言葉が、今、確かな実感として彼女の全身を満たしていた。
「……それが、あんたがこの一年で手に入れたものだ」
カイルが、短く、しかし温かい声で言った。
「誰にも奪われることのない、あんただけの宝物だ」
イザベラは、何も言わずに、ただ静かに頷いた。
空は茜色に染まり始めていた。明日もまた、今日と同じような、しかし決して同じではない一日が始まる。それでいい。それがいい。彼女は、心の底からそう思った。
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