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魔姫の章
88.溢れる気持ち※
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呼吸が出来なかった。アルトの言葉を聞いたエリーゼは、涙と同時に呼吸も止まっていた。いや、もしかしたら時間すら止まっていたのかもしれない、そんな感覚にエリーゼは陥っていたのだ。
そして、ようやく絞り出した一言はほとんど無意識のうちに発していた。
「何………言ってるの………?」
「セリナは勇者に抱かれてたんだ」
全く抑揚の無い言葉で同じ台詞を口にするアルト。そんなアルトとは対象的に、エリーゼは全身がガタガタと震え出す。
有り得ない。たとえ明日この世界が崩壊する事になったとしても、それは絶対に有り得ない。
セリナがどんなにアルトの事を好きだったのかーーーー、ずっとアルトを見続けて来たから、アルトとセリナの一番近くで見続けて来たから、きっと一番良く知ってる。一番理解している。そして、だからこそ断言出来る。何かの間違い、アルトの勘違いなのだと。
「そんな事………絶対無いよ。アルトの勘違いーーーー」
「実際に見たんだ。勇者に抱かれているセリナを」
何も、考えられなくなった。完全に思考が停止した。それでも、何とか言葉を絞り出した。もはやその言葉に、自分の意思や気持ちは乗っかっていない。
「見間違いだよ………きっとセリナに良く似た子が…………」
自分で言っていて、それこそ有り得ない事だと思った。あのセリナに良く似た女の子?そんな美少女がこの世に二人も居る筈が無い。仮に居たとしても、アルトがセリナと別の誰かを見間違える筈など無い。
「セリナさ、自分から勇者を求めてたんだ」
「…………………」
「凄く気持ち良さそうな声を出しててさ、自分から勇者に早く挿れてとか言ってさ」
「……………やめて」
「挿れられた後も、凄く気持ち良さそうな声を出してさ。やっぱり気持ちいいんだねアレって」
「もう………分かったから」
「俺は経験無いけどさ、みんな気持ちがいいから我慢出来なくなるんでしょ?セリナもビリーもノエルも、そしてエリーゼも」
「もうやめてってばっ!!!!」
悲鳴の様な叫び声を上げるエリーゼ。その瞳からは再びボロボロと涙が零れ落ちていた。
もう、何が何だか分からない。頭が回らない。アルトには全て知られてしまい、アルトとセリナは経験などしていなかった。
セリナはアルトではなく勇者と肉体関係になっていて、アルトだけが何も知らずに生きて来た。人並みに性に関心のあるアルトだけを残して、周りのみんなは好き勝手に淫らな経験を繰り返し、いきなりそんな事実を目の前で見せつけられたアルト。
こんなに残酷な事があるだろうか?一途に誰かを想い、誰よりも努力して夢に向かっていた青年。本来なら一番幸せにならなければならないのに、彼に関わった周りの者達が彼を不幸へと追いやっている。
一体、アルトが何をしたと言うのか?アルトが求めたのは、セリナという少女と幸せになりたいと願ったほんの小さな願いと、冒険者になりたいという夢だけ。その為に幼い頃から毎日木剣を素振りし、努力を続けて来た。
その結果、冒険者の夢は叶ったが、その代償が今のこの仕打ちなのだとしたら、払ったモノがあまりにも大き過ぎる。
「ごめんねエリーゼ。君を穢してごめん。きっとあんな事をしたから、俺はセリナをーーー」
アルトの手を握りしめた。そして、そのまま手を引いて強引に歩き出す。アルトは特に抵抗もしないでされるがまま着いて来た。
ドアノブを回し、勢い良くドアを開け放つ。そのままアルトを部屋の中に入れて、ドアを閉めて鍵を掛けた。そこはエリーゼの部屋だった。
「もう、分がっだがら!!」
ボロボロと涙を流しながら、アルトをベッドに押し倒すエリーゼ。そのままアルトの上に乗り、アルトの唇に自分の唇を押し付けた。
夢にまで見たアルトとのキスは、自分の涙のしょっぱい味がした。
「んっ!んん、ふむっ……んんっ」
乱暴に唇を押し付け、アルトの口の中に舌を入れる。アルトは拒むでもなく、受け入れる訳でもなく、エリーゼにされるがままにしていた。一方的に舌を絡ませるエリーゼと、虚ろな目でされるがままのアルト。すぐにアルトの口の中がエリーゼの唾液でいっぱいになり、口からダラダラと溢れ出す。
「んんっ!はむっ……んっ、んふっ……」
一心不乱にアルトの口内を犯し続けるエリーゼ。今まで溜まっていた想いが爆発し、感情を抑えきれない。
アルトに抱かれたい。アルトに気持ち良くなって欲しい。アルトの欲望の捌け口でもいいから、満足するまで何度でもさせてあげたい。例えアルトが自分の事を好きじゃなくても、この先も好きになる事など無いとしても、今だけはアルトと繋がりたい。アルトの悲しみを少しでも忘れさせてあげたい。
セリナに対する罪悪感はもう無い。セリナがアルト以外の男に抱かれていて悦んでいたなど到底信じられないが、アルトがそう言ったのなら信じるしかない。セリナの事も信じたいが、アルトが言った事ならそっちを信じる。セリナはアルトを裏切ったのだ。ならば、もう遠慮などしない。せめてアルトに初めての体験をさせてあげたい。アルトのーーーー、初めての女になりたい。
「んんっ、はぁはぁ…………アルト………」
しかしアルトは何もして来ない。舌を絡め返して来る事も、身体に触れて来る事も、何もして来ない。
だからエリーゼは自分から服を脱いだ。アルトの前で胸をさらけ出し、下着も外した。生まれたままの自分の姿をアルトに見せつける。そしてアルトの手を取って、自分の胸に押し付けた。
「んっ………触ってアルト………」
柔らかい胸の感触がアルトの手にも伝わっている筈だ。それなのに、アルトは何もして来ない。胸を揉んではくれない。
「アルト…………」
何故、何もしてくれないのか。そんなに魅力の無い身体なのだろうか。
いや、先ほどアルト自身言っていたではないか。自分とビリーとの行為を見て自慰行為をしたのだと。それはつまり、この身体に興奮してくれたという事だ。なのに今、何もしてこないのは悲しみが強すぎて身体が動かないからだと、エリーゼはそう考えた。
「脱がすねアルト」
アルトのズボンに手を掛けるエリーゼ。そのまま何とかズボンをずり降ろし、アルトの下着に手を掛ける。そして、頬を染めながら下着も一気にずり降ろした。現れたのは、エリーゼが想像の中でしか知らない愛しいアルトの陰茎。
(ぁ………これがアルトの………)
しかしソレは、全く膨張していない通常の状態だった。激しく舌を絡めるキスをし、全裸になって胸に手を押し付けた。普通であれば、ここまでされて一切勃起しない男など居ない筈だ。しかしアルトの陰茎は全くの無反応。膨張の気配すら無い。
(そう言えばわたし………大きくなってるのしか見た事無いかも………)
今までエリーゼが見てきたビリーやレックの陰茎とは、常に膨張した状態のモノだった。こんな風に膨張していない陰茎を見るのは初めてだった。それは勃起時とは全く違う形、柔らかさ、そして大きさ。半分以上を皮が覆い、僅かに覗く亀頭は桃色で綺麗だった。
エリーゼは躊躇しながらもアルトの陰茎に手を伸ばす。そして優しく、愛おしく握ると、手を上下に動かし始めた。
ゆっくりと、あまり刺激を与え過ぎない様にゆっくりと動かす。相変わらずアルトはされるがままで、目も虚ろなままだった。
(気持ち良く………無いのかな…………)
しばらく陰茎をしごいていたが、全く大きくならない。ならばとエリーゼは陰茎に口を近づけ、まだ女性を知らないアルトの桃色の亀頭をペロリと舐めた。
そのままペロペロと舌を這わせ、口に含むとアルトの味がした。
(アルトの………これがアルトの………)
サリーに教わった通り、そして何度もレックのモノで練習した通りにアルトの陰茎を刺激する。何度も舌を這わせ、軽く吸い付いたり尿道部分を舐めたりと、自分の持てる男を悦ばせる術で何度もそれを繰り返す。しかしーーーーー
「何で………?何で大きくならないの………?」
アルトの男根は全く変化が無かった。あれだけの快感を与えても尚、僅かな膨張すらしていないのだ。
「もういいんだエリーゼ」
アルトが小さく呟いた。そしてベッドから起き上がると、足元まで降ろされた下着を上へと上げる。
「待って!も、もう少しだけーーー」
フルフルと、ゆっくり首を振るアルト。じっとエリーゼを見つめるその瞳の奥には、何の感情も見い出す事が出来なかった。
そんな瞳でアルトに見つめられ、エリーゼの瞳から再び涙が零れ落ちる。自分ではアルトの力になれないのだと悟ってしまった。
下着を履き、そしてズボンを履くとアルトは立ち上がった。そのまま部屋を出て行こうとするアルトに、エリーゼが後ろから全裸のまま抱きつく。
「いやっ!行かないで!行っちゃ嫌だよッ!!」
ギュッとアルトに抱きつくエリーゼ。アルトの体温を全身で感じた。
「好きなの………ずっと前から………子供の時から………ずっとアルトの事が好きだったの!ずっとアルトだけを見てたの!毎日アルトの事ばかり考えてたの!アルトが好き過ぎて…………ずっと苦しいの!今も………ぐすっ…………今も苦しいの…………」
遂に言ってしまった。何年も言わずに、言えずに心の内に仕舞い込んで来た感情。伝えてしまったらきっと全てが終わってしまうから、だから言えなかったこの想い。それを、遂に言ってしまったのだ。
「ありがとうエリーゼ。俺も………エリーゼの事を好きになれば良かった…………」
「うぅっ…………」
「そうすればきっと…………」
最後にそれだけ言って、アルトは部屋を出て行った。その瞬間、床に崩れ落ちるエリーゼ。瞳からポタポタと涙が零れ、床に吸い込まれてゆく。
「うう………うわあぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーん!!わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
こうして、エリーゼの長い長い初恋は終わりを告げた。何度も諦めて、結局は諦め切れなかったこの恋は、遂に幕を閉じた。
そしてその翌日ーーーーー
ーーアルトは王都から姿を消した。
そして、ようやく絞り出した一言はほとんど無意識のうちに発していた。
「何………言ってるの………?」
「セリナは勇者に抱かれてたんだ」
全く抑揚の無い言葉で同じ台詞を口にするアルト。そんなアルトとは対象的に、エリーゼは全身がガタガタと震え出す。
有り得ない。たとえ明日この世界が崩壊する事になったとしても、それは絶対に有り得ない。
セリナがどんなにアルトの事を好きだったのかーーーー、ずっとアルトを見続けて来たから、アルトとセリナの一番近くで見続けて来たから、きっと一番良く知ってる。一番理解している。そして、だからこそ断言出来る。何かの間違い、アルトの勘違いなのだと。
「そんな事………絶対無いよ。アルトの勘違いーーーー」
「実際に見たんだ。勇者に抱かれているセリナを」
何も、考えられなくなった。完全に思考が停止した。それでも、何とか言葉を絞り出した。もはやその言葉に、自分の意思や気持ちは乗っかっていない。
「見間違いだよ………きっとセリナに良く似た子が…………」
自分で言っていて、それこそ有り得ない事だと思った。あのセリナに良く似た女の子?そんな美少女がこの世に二人も居る筈が無い。仮に居たとしても、アルトがセリナと別の誰かを見間違える筈など無い。
「セリナさ、自分から勇者を求めてたんだ」
「…………………」
「凄く気持ち良さそうな声を出しててさ、自分から勇者に早く挿れてとか言ってさ」
「……………やめて」
「挿れられた後も、凄く気持ち良さそうな声を出してさ。やっぱり気持ちいいんだねアレって」
「もう………分かったから」
「俺は経験無いけどさ、みんな気持ちがいいから我慢出来なくなるんでしょ?セリナもビリーもノエルも、そしてエリーゼも」
「もうやめてってばっ!!!!」
悲鳴の様な叫び声を上げるエリーゼ。その瞳からは再びボロボロと涙が零れ落ちていた。
もう、何が何だか分からない。頭が回らない。アルトには全て知られてしまい、アルトとセリナは経験などしていなかった。
セリナはアルトではなく勇者と肉体関係になっていて、アルトだけが何も知らずに生きて来た。人並みに性に関心のあるアルトだけを残して、周りのみんなは好き勝手に淫らな経験を繰り返し、いきなりそんな事実を目の前で見せつけられたアルト。
こんなに残酷な事があるだろうか?一途に誰かを想い、誰よりも努力して夢に向かっていた青年。本来なら一番幸せにならなければならないのに、彼に関わった周りの者達が彼を不幸へと追いやっている。
一体、アルトが何をしたと言うのか?アルトが求めたのは、セリナという少女と幸せになりたいと願ったほんの小さな願いと、冒険者になりたいという夢だけ。その為に幼い頃から毎日木剣を素振りし、努力を続けて来た。
その結果、冒険者の夢は叶ったが、その代償が今のこの仕打ちなのだとしたら、払ったモノがあまりにも大き過ぎる。
「ごめんねエリーゼ。君を穢してごめん。きっとあんな事をしたから、俺はセリナをーーー」
アルトの手を握りしめた。そして、そのまま手を引いて強引に歩き出す。アルトは特に抵抗もしないでされるがまま着いて来た。
ドアノブを回し、勢い良くドアを開け放つ。そのままアルトを部屋の中に入れて、ドアを閉めて鍵を掛けた。そこはエリーゼの部屋だった。
「もう、分がっだがら!!」
ボロボロと涙を流しながら、アルトをベッドに押し倒すエリーゼ。そのままアルトの上に乗り、アルトの唇に自分の唇を押し付けた。
夢にまで見たアルトとのキスは、自分の涙のしょっぱい味がした。
「んっ!んん、ふむっ……んんっ」
乱暴に唇を押し付け、アルトの口の中に舌を入れる。アルトは拒むでもなく、受け入れる訳でもなく、エリーゼにされるがままにしていた。一方的に舌を絡ませるエリーゼと、虚ろな目でされるがままのアルト。すぐにアルトの口の中がエリーゼの唾液でいっぱいになり、口からダラダラと溢れ出す。
「んんっ!はむっ……んっ、んふっ……」
一心不乱にアルトの口内を犯し続けるエリーゼ。今まで溜まっていた想いが爆発し、感情を抑えきれない。
アルトに抱かれたい。アルトに気持ち良くなって欲しい。アルトの欲望の捌け口でもいいから、満足するまで何度でもさせてあげたい。例えアルトが自分の事を好きじゃなくても、この先も好きになる事など無いとしても、今だけはアルトと繋がりたい。アルトの悲しみを少しでも忘れさせてあげたい。
セリナに対する罪悪感はもう無い。セリナがアルト以外の男に抱かれていて悦んでいたなど到底信じられないが、アルトがそう言ったのなら信じるしかない。セリナの事も信じたいが、アルトが言った事ならそっちを信じる。セリナはアルトを裏切ったのだ。ならば、もう遠慮などしない。せめてアルトに初めての体験をさせてあげたい。アルトのーーーー、初めての女になりたい。
「んんっ、はぁはぁ…………アルト………」
しかしアルトは何もして来ない。舌を絡め返して来る事も、身体に触れて来る事も、何もして来ない。
だからエリーゼは自分から服を脱いだ。アルトの前で胸をさらけ出し、下着も外した。生まれたままの自分の姿をアルトに見せつける。そしてアルトの手を取って、自分の胸に押し付けた。
「んっ………触ってアルト………」
柔らかい胸の感触がアルトの手にも伝わっている筈だ。それなのに、アルトは何もして来ない。胸を揉んではくれない。
「アルト…………」
何故、何もしてくれないのか。そんなに魅力の無い身体なのだろうか。
いや、先ほどアルト自身言っていたではないか。自分とビリーとの行為を見て自慰行為をしたのだと。それはつまり、この身体に興奮してくれたという事だ。なのに今、何もしてこないのは悲しみが強すぎて身体が動かないからだと、エリーゼはそう考えた。
「脱がすねアルト」
アルトのズボンに手を掛けるエリーゼ。そのまま何とかズボンをずり降ろし、アルトの下着に手を掛ける。そして、頬を染めながら下着も一気にずり降ろした。現れたのは、エリーゼが想像の中でしか知らない愛しいアルトの陰茎。
(ぁ………これがアルトの………)
しかしソレは、全く膨張していない通常の状態だった。激しく舌を絡めるキスをし、全裸になって胸に手を押し付けた。普通であれば、ここまでされて一切勃起しない男など居ない筈だ。しかしアルトの陰茎は全くの無反応。膨張の気配すら無い。
(そう言えばわたし………大きくなってるのしか見た事無いかも………)
今までエリーゼが見てきたビリーやレックの陰茎とは、常に膨張した状態のモノだった。こんな風に膨張していない陰茎を見るのは初めてだった。それは勃起時とは全く違う形、柔らかさ、そして大きさ。半分以上を皮が覆い、僅かに覗く亀頭は桃色で綺麗だった。
エリーゼは躊躇しながらもアルトの陰茎に手を伸ばす。そして優しく、愛おしく握ると、手を上下に動かし始めた。
ゆっくりと、あまり刺激を与え過ぎない様にゆっくりと動かす。相変わらずアルトはされるがままで、目も虚ろなままだった。
(気持ち良く………無いのかな…………)
しばらく陰茎をしごいていたが、全く大きくならない。ならばとエリーゼは陰茎に口を近づけ、まだ女性を知らないアルトの桃色の亀頭をペロリと舐めた。
そのままペロペロと舌を這わせ、口に含むとアルトの味がした。
(アルトの………これがアルトの………)
サリーに教わった通り、そして何度もレックのモノで練習した通りにアルトの陰茎を刺激する。何度も舌を這わせ、軽く吸い付いたり尿道部分を舐めたりと、自分の持てる男を悦ばせる術で何度もそれを繰り返す。しかしーーーーー
「何で………?何で大きくならないの………?」
アルトの男根は全く変化が無かった。あれだけの快感を与えても尚、僅かな膨張すらしていないのだ。
「もういいんだエリーゼ」
アルトが小さく呟いた。そしてベッドから起き上がると、足元まで降ろされた下着を上へと上げる。
「待って!も、もう少しだけーーー」
フルフルと、ゆっくり首を振るアルト。じっとエリーゼを見つめるその瞳の奥には、何の感情も見い出す事が出来なかった。
そんな瞳でアルトに見つめられ、エリーゼの瞳から再び涙が零れ落ちる。自分ではアルトの力になれないのだと悟ってしまった。
下着を履き、そしてズボンを履くとアルトは立ち上がった。そのまま部屋を出て行こうとするアルトに、エリーゼが後ろから全裸のまま抱きつく。
「いやっ!行かないで!行っちゃ嫌だよッ!!」
ギュッとアルトに抱きつくエリーゼ。アルトの体温を全身で感じた。
「好きなの………ずっと前から………子供の時から………ずっとアルトの事が好きだったの!ずっとアルトだけを見てたの!毎日アルトの事ばかり考えてたの!アルトが好き過ぎて…………ずっと苦しいの!今も………ぐすっ…………今も苦しいの…………」
遂に言ってしまった。何年も言わずに、言えずに心の内に仕舞い込んで来た感情。伝えてしまったらきっと全てが終わってしまうから、だから言えなかったこの想い。それを、遂に言ってしまったのだ。
「ありがとうエリーゼ。俺も………エリーゼの事を好きになれば良かった…………」
「うぅっ…………」
「そうすればきっと…………」
最後にそれだけ言って、アルトは部屋を出て行った。その瞬間、床に崩れ落ちるエリーゼ。瞳からポタポタと涙が零れ、床に吸い込まれてゆく。
「うう………うわあぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーん!!わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
こうして、エリーゼの長い長い初恋は終わりを告げた。何度も諦めて、結局は諦め切れなかったこの恋は、遂に幕を閉じた。
そしてその翌日ーーーーー
ーーアルトは王都から姿を消した。
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