儚い命

多嚢胞性卵巣症候群

　診察室に入って、椅子に座ると先生が柔かに話し出す。
　「さっき見てもらった葡萄の房のようなもの…あれはね、多嚢胞性卵巣症候群ていうんだよ。」

　多嚢胞性卵巣症候群とは、卵となる小さなものはたくさんあるけど卵胞と言われるまでの大きさに成長できないままのものだ。卵胞にはならず成長しにくいため、排卵がずれたり排卵しなかったりするため妊娠しにくい。また、妊娠しても流産しやすいという説明をうけた。

　「子宮がんと、クラジミアの検査結果は次に来院した時に話しますね。とりあえず、今日はあと血液検査検査しましょう。大丈夫、一つ一つ原因を明らかにして、一つ一つ対処していこうね。」

　「妊娠は正常で元気な女性でも確率は低いんだよ。まだいろいろ検査して見ないとわからないけど、一緒に頑張っていきましょう。」
その先生の言葉に思わずその場で泣いてしまった。

　何一つ原因がわからず、不安だった私は一歩近づけた気がした。丁寧に説明をしてくれたこと、一緒に頑張って行きましょうという言葉が、私の心を軽くしてくれたのは確かだった。