儚い命

転院

　今までの基礎体温表を持って、姉に教えてもらった病院に行った。幸い、その時は患者さんが少なく、すぐに診てもらえた。

　名前を呼ばれ、診察室に入る。ひとつひとつ、産婦人科の時の説明をした。
　「それで、血液検査とか卵管造影はした？原因はわからないままかな？」
聞いたこともない検査の名前。血液検査なんてしなかった。
　「全然、検査なんて１つもしてないです。」
そう答えると
　「そっか、じゃあ内診してみましょう。」
そう言われて、内診室に案内され、中へ入った。

　「下着を外されたら、そこにかけて座ってください。」
　「機械を入れますよ。」
先端がヌメヌメした機械を軽く性器に馴染ませ…ズチュ…と機械を入れられる。中でグリングリンと右や左に掻き回され、何度やっても慣れやしない。
　カーテンの向こうでは先生の「うーん」という声が聞こえた。
　「子宮がんとクラミジアの検査もしておきますね。」
意外にもその検査は簡単なものだった。

　そして、機械を入れられたまま声をかけられる。
　「横の画面を見てくれる？」
壁にかかってる画面。私は言われる前から無意識にずっとそこを見つめていた。画面に映る矢印は先生が示すものだ。
　「これ、葡萄の房のように小さな卵胞がいっぱいあるでしょ。わかる？」
その画面には、小さな小さな卵胞がかたまってたくさんあるのが、素人の私にもはっきりとわかった。
　「じゃあ、診察室で説明していきますね、着替えたら診察室へ入ってください。」
そういわれ、私は着替えを済ませて診察室へ入った。