儚い命

涙

　ピルと聞いた時愕然とした。
飲み続ける以上はこの周期は絶対に妊娠しないのだと。
虚しくなった。

　そんな時、姉の6人目の妊娠を耳にした。


　ーー何で？…同じ姉妹なのに、何で私には1人もできないの？
　ーー何で姉には何人も子供ができるの？

　ーー何で？
　ーー何で…？



　子供がいる友達、妊娠中の友達、出産して喜んでいる友達。
“羨ましい”そう思う反面“悲しい”気持ちもいっぱいあった。
そんな友達から慰められるとイライラした。

　「大丈夫だよ。私にもできたんだからできるって！」

何の根拠もない。
不妊治療の経験もないあなたに何がわかるの？

　「ほら～かわいいでしょ～早く子供作りなよ～。」

私が不妊治療していることを知らない友達から言われる。
不妊治療してることを知らない人は皆同じように言う。

　『子供はまだ？』
　『いつ作るの？』
　『子供は作らないの？』

って。
その言葉が嫌で嫌で仕方なかった。

　いつからかそう言う友達を遠ざけていた。

　そして、高校の時の友達に相談した。まだ結婚はしていないけど、その子は病院通っていた。
お互いの症状やお互いの病院はこうだのああだの言って、いろんなことも知ることができた。
今はどんな検査してるのかとか、バラバラだった基礎体温はどうなっただとか。
それだけが救いだった。
同じ気持ちでわかり合えることが、こんなにも嬉しなんて思ったことなかった。
最後にはお互い妊娠できたらいいねって笑い合えた。
その周期は妊娠しないけど、頑張ろうって思えた。


　旦那が仕事から帰ってきて言った言葉。

　「現場監督から子供はまだか？子供はかわいいぞ。っていわれたんだよね。」
と、さらっと言った。

子供が好きな旦那。
子供ができない私。
きっと彼は私を責めたりしない。

『いつかできるよ』
『大丈夫、できるまで頑張っていけばいい。』
そういう人だ。

　だけど、彼もきっと何も知らない他人にあんな言葉を言われたらどう思うだろう。
やっぱり辛いだろうな。そう思った。

　だから不妊治療中は子供ができないことで悲しくなっても、辛くなっても旦那の前では泣かないと決めた。
ただ、旦那が仕事でいない時は泣きまくった。
自分のお腹をボコボコ叩いては、何で？私は女じゃないの？女なのに子供ができない私は女じゃない。子供が欲しい。産みたい。抱きたい。

　それを願ってたくさん泣いた。