【R18】女騎士ゆきの憂鬱

牧村燈

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第7章 女騎士の決意

7-4 最後の抵抗

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 パチパチパチ。

 アン王女の脱衣に気圧された展望塔の静寂をジャッカルの拍手の音が破る。

「見事だ。見事な脱ぎっぷりですぞ、アン王女」

 茶化すように場を取り繕うジャッカルを、アン王女は真正面から睨みつけた。全裸の身体を隠そうともせず堂々と胸を張る。その姿は高貴に潔く、そして金色のオーラを纏ったかのように神々しくも見えた。

「ジャッカル。もうこれで満足でしょう。早くゆきを解放しなさい」

 花も恥じらう年頃の娘。裸にすれば恥じらいのひとつも見せるのではないかというジャッカルの目論見は、むしろ逆に王女のポテンシャルを引き出す形になっている。忌々しい小娘が。

「いいだろう」

 ジャッカルは兵達に指示を出し、磔台からゆきを降ろした。体に力の入らないゆきがその場に崩れ落ちるのを、左右から四人掛かりで無理やりに抱えて立たせる。

「乱暴なことをするな」

 アン王女はゆきに駆け寄り、兵の手からゆきを奪い取った。ゆきの全体重がアン王女に寄り掛かる。こんなになるまで貴方は闘い抜いたのですね。壮絶な激闘の数々を乗り越え、想像を絶する責め苦に耐えて、今、生きて私の元へ帰って来てくれたのですね。アン王女は、ゆきが生きている証の体温を感じ、この世のすべてに感謝をした。

「ありがとう。ゆきを返してくれたことに感謝する。私は他に何も要らない。ただゆきを休ませてやりたいのだ。それだけを許して欲しい」

 アン王女はゆきを抱いたままジャッカルに懇願した。

「いやいや、アン王女。私は約束を守っただろう。ゆきの戒めを解くという。もうこれ以上あなたの願いを聞く義務もいわれもない。貴女にはゆきに代わってこの戒めの磔台にかけられていただく。貴女を人質にするより他に、私も生き延びる術を持たないものでな」

 ジャッカルの指示で兵達がアン王女とゆきを取り囲む。

「私はどうなろうと構わない。だからゆきだけは、ゆきだけは助けてくれ。このままでは、ゆきが死んでしまう」

 王女の願いに耳を傾けられることはなく、二人を囲んだ兵たちが王女とゆきを引き離そうとする。体格は優に王女の倍はありそうな兵の一人がゆきを抱いた王女の腕を掴んだ瞬間、兵は大きく後ろに飛んで壁に頭を打ちつけた。王女の肘打ちがモロに顔面に入り、飛んでいる間から意識を飛ばしていたようだ。何が起こったのか分からない混乱の中で、王女は更に二人の兵をなぎ倒した。ジャッカルの親衛隊である。屈強な兵が集められていたに相違ないが、周りを囲んだ7人の兵のうちの3人があっという間に消えた。

 アン王女はゆきを横たわらせて、崩れた壁の石礫を握る。体勢を立て直した残った4人の親衛隊をはじめ、その他の兵たちも間合いを詰めて来た。この展望塔の兵は少なく見積もってもジャッカル以外に30人はいる。いかにアン王女の武芸が突出して優れていても、武装した兵に対して文字通りの丸腰では勝ち目はない。

 それでも、何もせずにゆきを死なせるわけにはいかない。どうすればいい。王女は自問自答する。捕まったら終わりだ、そう思ったところで、あの公開凌辱の1シーンを思い出した。いや、違う。私たちにはまだ切り札が残っている。ゆきもきっと、それを待って耐えて来たに違いない。

 アン王女は両手を開いて石礫を離すとそのまま両腕を上げて降伏のポーズを取った。

「よし、良い子だ。お前ら早く、やんちゃな王女の気が変わらないうちに、縛り付けてしまうのだ」

 ジャッカルはアン王女を磔台に拘束させると、その白い裸体を改めて眺め回し悦にいった笑い顔を見せた。

「私はこの国を治めるには貴女と、そしてこの女騎士ゆきがキーになるもの睨んできた。それに拘り、今もそう確信している。だが、貴女を捕らえても、ゆきを捕らえても、どうすれば我がモノになるのかが分からない。恐らく今、こうして二人を全国民の前で捕らえ、裸を晒し、私が二人を犯したとしても、貴女たちは私のモノにはならんのだろう」

 全裸で磔にされているにも関わらず、王女にはなんら臆するところがない。

「この国を治めたければ治れば良い。私は何も望まぬと言っているだろう」

 ジャッカルは王女の目を見ることさえ出来ずに、俯いてこう言った。

「分かっている。貴方は死んだとしても決して誇りをなくすことはあるまい。だが、唯一。ゆきを目の前で慰みモノにされたらどうだろう。そして、嬲り殺されたならばどうだろう」

「やめなさい。約束が違うだろう」

 アン王女が初めて動揺の色を露わにした。ジャッカルは王女の動揺の色を確認すると、

「やはりそうか。やってみる価値がありそうだ」

 と横たわっていたゆきをアン王女の目の前に引き立てた。ゆきは意識はあるものの身体を動かす力を失っている。ジャッカルはゆきの裸の脚を大きく開かせ、秘部を丸出しにしてアン王女に見せつけた。

 既にゆきの身体からは忌まわしい媚薬の類の効果は完全に消え去っていた。染み出した緑やピンクの液体は拭い去られ、代わりに透明なラブ・ローションが素肌に塗りたくられていた。多少の催淫効果はあるものの、いわば市販レベル。先に拷問部屋で注入されたようなえげつない麻薬紛いのものではない。

 ローションは白く透明な肌をテカテカに光らせ、鍛え上げられた艶かしい身体を一層淫靡に演出した。ジャッカルはゆきの股間にもローションを落とし、そのツルツルの性器に塗り込んでいく。

「ああああっ」

 ゆきの声が漏れる。ジャッカルの指に温かな湿り気が絡みつき、蕾が綻ぶように陰唇が柔らかくなってくるのが伝わった。あれだけの媚薬の攻撃にも耐えたゆきが、何の変哲もないローションを塗り込まれただけで感じていた。身体に力がはいらないことで、本能に近い反応が導き出されているに違いない。

 分からないものだ。あれほど一途に自分のものにしたいと全力を傾けても陥ちなかった身体が、アン王女への見せしめとして殺す前の余興と思った遊戯で、触れなば散らん反応を見せるとは。ジャッカルの指がバストから横腹、太ももからヒップへとローションに光るゆきの身体を撫で回した。

「あうっ、あああっ」

 ゆきは身体をのけ反らせてジャッカルの指の動きに応える。官能というものには一人では高みの限界があるが、二人で応じ合うことでその高みは無限に広がってゆくものだ。本能の領域で快感を求めるゆきと、ゆきの全てを手に入れたいと熱望するジャッカルの思いが呼応していた。

 ジャッカルはここが城の展望塔の上であることもアン王女への見せしめという目的も忘れ、ゆきの身体と自らの官能に没頭していった。

 延々と濃厚な公開SEXを見せ続けられていた周囲に、次第に困惑が広がっていった。ザワザワとした雑音が、展望塔の緊張感を緩めていく。

 今だ。ジャッカルの兵士に紛れて機が来るのを待っていたテツとトモは、組織の乱れに乗じてアン王女の磔台に近付いていった。

(続く)
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