生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう

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7話 薬を作ります①

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 自分の部屋に戻った。
 僕の部屋はとても簡素で、他の部屋同様に置かれたデスクと椅子のセット。
 それからクローゼットが一つに、ベッド。後は姿見が置いてあるだけ。

 だけど一つだけ異様なものがあった。
 おっきな木箱が一つ。
 僕は木箱に近づくと、ゆっくりと蓋を外した。

「えっと、確かあったはず……」

 僕が木箱の中を覗くと、中身のものはちゃんと入っていた。
 ルビーさんも勝手に覗いたりしないから、誰かが取ることもない。
 別に取られても困らないが……

「確か素材箱はこっち。えっと、サラマンハーブにすやすや草。後は、黄金ニンジンがあれば、よかったあるよ」

 僕の木箱は倉庫になっている。
 使えそうな葉っぱとか瓶とか、前にリュウラン師匠に教えてもらった薬の材料がみっちり入っていた。

「ここに入ってる素材、僕のランクじゃ手に入らないものばかりなんだよね」

 実は木箱の中に入っているもののほとんどは、リュウラン師匠たちが定期的に送ってくれるもので、僕が採ってきたものなんて、ほとんどない。

「師匠たち凄いな。こんな良いものばっかり。一体買ったらいくらになるんだろ」

 僕もいつか師匠たちみたいになりたい。
 具体的には決まってないけど、師匠たちみたいに困った人を助けれるようになりたい。

「そのためにも、早くSランクにならないと……じゃなかった。体も冷えてるだろうから、水も温めておかないと」

 僕は湧き水の入った小瓶を取り出した。
 先が細くなっていて、中の空気が逃げない。
 そのおかげで、もう何週間も前に汲んできたはずだけど、中の水は綺麗で、透明度が高い。

「ルビーさんに頼んで、火と鍋を貸してもらおっと」

 僕は厨房に降りると、ルビーさんがいたので声をかけた。
 火と鍋を貸してもらえることになり、水の張った鍋の中に瓶を入れ、沸騰させることにした。

「天月君、このお水どうするの?」
「薬に使うんです。溶かしてお茶みたいに飲めるようにしようと思っていて」

 レシピは完璧に頭の中に入っている。
 リュウラン師匠に叩き込まれた知識だ。間違いない。

「天月君って、ほんとなんでもできるわね。たまに話してくれるけど、どんな師匠だったの?」
「厳しいけどとっても優しい人たちでした。人間以上に人間らしい」

 鍋の水がぽこぽこ泡を立てて、沸騰し始めた。
 適度な温度は、百八十から。
 僕は瓶が割れるか割れないかのギリギリを見計らい、トングを使って瓶回収した。

「あっつ!」
「大丈夫!?」

 指先が触れてしまった。
 熱い。だけど、これぐらいの温度がちょうど良い。

「天月君火傷してない? それにその瓶、割れちゃいそうになってるけど」
「火傷はしてないですよ。瓶もこのくらい亀裂が入ってくれた方が、今から作る薬はいいんです。それじゃあルビーさん、僕薬作りますね」

 今にも割れそうなほどヒビの入った瓶を、僕はトングで挟んだまま階段を上がり、部屋に戻った。
 あらかじめ用意していた乳鉢の隣に、タオルで巻いて放置する。

「よし、ここからは時間との勝負。気合い入れるぞ!」

 久々の本気モード。
 僕は思いっきり頬をぶっ叩き気合いを入れ直すも、頬が赤く膨れ上がって、痛すぎた。


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