9 / 86
9話 目覚めた少女
しおりを挟む
僕は少女が休む部屋に入った。
まだぐっすり眠っている。
ベッドの上に横になり、静かに寝息を立てていた。
「静かに寝てるみたいだ。よかったー」
僕はほっと胸を撫で下ろす。
少女は包帯を巻かれ、腕や足の傷を隠していた。
痛々しい。
「手のひらは……まだちょっと青紫色」
少女の手を広げてみれば、まだ青い。
紫色に変色し、内出血が酷かった。
「それにしても剣だけ持って走ってくるなんて。エルフが剣って、あまり聞いたことないけど……」
少女の長い耳がピクリと動く。
これがエルフの特徴。
透き通るように滑らかな金色の髪。
それから、溢れ出る魔力。
何千年も生きることで知られる、森の住人だった。
エルフは森に住んでいる。
森をこよなく愛し、その美貌と美しい髪色。高い魔力を誇り、老若男女問わず、皆美男美女揃いだった。
それ故、高い人気があって、変態の貴族たちからは色目をかけた目を向けられている。
僕が利用する冒険者ギルドにも、数は少ないが冒険者や職員で、エルフの人はいる。皆んな、綺麗だった。
「もしかしてこの子、誰かから追われてた? それで逃げきたのかな?」
何だか心がグサリと楔が深く刺さった。
辛いな、それ。
種族や風習で人を判断して、こんな酷い目に遭わされるなんて、やってられない。
僕はムカついた。
嫌な記憶が呼び起こされて、壁がピキピキ音を立てる。
すると、
「ううっ……」
「あっ、ごめん」
少女の眉根が寄った。
顔を顰めてしまい、僕は冷静さを取り戻す。
魔力のせいで、周囲の空気がひりついたんだ。
こんなの、多用しちゃ駄目なのに。
でも早く起きてくれないと、せっかくの薬の効能が下がる。
「どうしたら……」
腕組みをして黙っていると、少女が薄らと目を開けた。
さっき僕が魔力の波動を送ったせいで、起きちゃったみたいだ。
エルフは魔力の反応を感知するのに適しているから。
「うっ、眩しい……」
「大丈夫? 気が付いた?」
僕は少女に声をかけた。
すると僕を敵だと思ったのか、体を動かそうとする。
でも、全身がギチギチに包帯で巻かれていて、上手く動かせない。
「貴方は誰ですか!」
「僕は天月。君、怪我してるみたいだからベッドの上に運んだんだよ」
一番状況を説明するのに、適したことを話した。
すると少女は動かせない中、目だけ動かして、周囲を確認する。
確かに建物の部屋の中のようで、警戒を解いた。
「そうみたいですね、ありがとうございました」
「お礼なら宿屋の人に言ってよ。僕は君が倒れてたから、ここに運んだだけ」
「ですが倒れていた私を運んでくれたんですよね。ありがとうございます」
「これぐらいなんってことないよ」
僕は終始笑顔だった。
少女は張り付けた笑顔を見ても、警戒したりしない。
魔力を解いているからだ。
それに加えて、あどけない子供と思ってくれているみたいで、接しやすい。
「あの、私どのくらい眠っていたんですか?」
「雨が降り始めたぐらいだから、一時間ぐらい?」
「一時間も……はあっ!?」
少女は何か思い出してみたいに慌て出す。
急いで体を起こそうとするが、痛すぎて顔を顰めた。
奥歯を強く噛んでしまい、咄嗟のことで傷口が開く。
包帯の隙間から、滲んだ血が流れた。
僕はそれを見て、少女を押さえた。
「駄目だって。まだ傷が完全に癒えてないんだから」
「でも私、早く鞘を取り返さなくちゃいけない……」
僕はそんな言葉聞く気もなく、少女を横にした。
話は後で聞いてあげる。
とにかくまずは怪我を治すことが先決だ。
「話しはこれを飲んでから。いいね」
僕は薬を渡した。
飲み薬でお湯に溶かしてある。
一応さっきココアも混ぜた。
きっと飲みやすいはずだ。
少女はティーカップを受け取ると、震えた手でプルプルさせる。
何かあったんだ。
僕は頭を抱えて、悩ませた。
まだぐっすり眠っている。
ベッドの上に横になり、静かに寝息を立てていた。
「静かに寝てるみたいだ。よかったー」
僕はほっと胸を撫で下ろす。
少女は包帯を巻かれ、腕や足の傷を隠していた。
痛々しい。
「手のひらは……まだちょっと青紫色」
少女の手を広げてみれば、まだ青い。
紫色に変色し、内出血が酷かった。
「それにしても剣だけ持って走ってくるなんて。エルフが剣って、あまり聞いたことないけど……」
少女の長い耳がピクリと動く。
これがエルフの特徴。
透き通るように滑らかな金色の髪。
それから、溢れ出る魔力。
何千年も生きることで知られる、森の住人だった。
エルフは森に住んでいる。
森をこよなく愛し、その美貌と美しい髪色。高い魔力を誇り、老若男女問わず、皆美男美女揃いだった。
それ故、高い人気があって、変態の貴族たちからは色目をかけた目を向けられている。
僕が利用する冒険者ギルドにも、数は少ないが冒険者や職員で、エルフの人はいる。皆んな、綺麗だった。
「もしかしてこの子、誰かから追われてた? それで逃げきたのかな?」
何だか心がグサリと楔が深く刺さった。
辛いな、それ。
種族や風習で人を判断して、こんな酷い目に遭わされるなんて、やってられない。
僕はムカついた。
嫌な記憶が呼び起こされて、壁がピキピキ音を立てる。
すると、
「ううっ……」
「あっ、ごめん」
少女の眉根が寄った。
顔を顰めてしまい、僕は冷静さを取り戻す。
魔力のせいで、周囲の空気がひりついたんだ。
こんなの、多用しちゃ駄目なのに。
でも早く起きてくれないと、せっかくの薬の効能が下がる。
「どうしたら……」
腕組みをして黙っていると、少女が薄らと目を開けた。
さっき僕が魔力の波動を送ったせいで、起きちゃったみたいだ。
エルフは魔力の反応を感知するのに適しているから。
「うっ、眩しい……」
「大丈夫? 気が付いた?」
僕は少女に声をかけた。
すると僕を敵だと思ったのか、体を動かそうとする。
でも、全身がギチギチに包帯で巻かれていて、上手く動かせない。
「貴方は誰ですか!」
「僕は天月。君、怪我してるみたいだからベッドの上に運んだんだよ」
一番状況を説明するのに、適したことを話した。
すると少女は動かせない中、目だけ動かして、周囲を確認する。
確かに建物の部屋の中のようで、警戒を解いた。
「そうみたいですね、ありがとうございました」
「お礼なら宿屋の人に言ってよ。僕は君が倒れてたから、ここに運んだだけ」
「ですが倒れていた私を運んでくれたんですよね。ありがとうございます」
「これぐらいなんってことないよ」
僕は終始笑顔だった。
少女は張り付けた笑顔を見ても、警戒したりしない。
魔力を解いているからだ。
それに加えて、あどけない子供と思ってくれているみたいで、接しやすい。
「あの、私どのくらい眠っていたんですか?」
「雨が降り始めたぐらいだから、一時間ぐらい?」
「一時間も……はあっ!?」
少女は何か思い出してみたいに慌て出す。
急いで体を起こそうとするが、痛すぎて顔を顰めた。
奥歯を強く噛んでしまい、咄嗟のことで傷口が開く。
包帯の隙間から、滲んだ血が流れた。
僕はそれを見て、少女を押さえた。
「駄目だって。まだ傷が完全に癒えてないんだから」
「でも私、早く鞘を取り返さなくちゃいけない……」
僕はそんな言葉聞く気もなく、少女を横にした。
話は後で聞いてあげる。
とにかくまずは怪我を治すことが先決だ。
「話しはこれを飲んでから。いいね」
僕は薬を渡した。
飲み薬でお湯に溶かしてある。
一応さっきココアも混ぜた。
きっと飲みやすいはずだ。
少女はティーカップを受け取ると、震えた手でプルプルさせる。
何かあったんだ。
僕は頭を抱えて、悩ませた。
33
あなたにおすすめの小説
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる