20 / 86
20話 一つの結末
しおりを挟む
あれから数日後。
僕はリーファと正式にパーティーを組んだ。
リーファは死んだ人たちの亡骸を、お墓に埋葬すると、週に一度は手を合わせに行っている。
そんな亡骸だが、この間の雨風の影響か、だいぶ腐敗が進んでいた。
そのせいで、人骨は既に、ボロボロで原形を留めていない。
だけど流石はエルフ。
そのあまりある感受性の高さで、誰がどの亡骸か、瞬時に把握していた。
「ってことがあったんですよ」
「そうだったの。それで、ここ数日はギルドに来られなかったのね」
僕は状況をエレナさんに説明した。
今日は久々に、冒険者ギルドにやって来ていた。
実は僕もこの数日大変だった。
例の骨。
闇の十字軍に関する手掛かりを、国に報告していたんだ。
その功績を認められて、たくさんのお金が貰えたけど、体の疲労感は癒えなかった。
その理由はあまりに顕著で、僕はあの後すぐに洞窟を破壊したんだ。
中にあった人たちの亡骸と、闇の十字軍の男の骨だけを取り除いて、その全てを破壊した。
理由は至ってシンプル。
僕の正体が明るみに出ないための工作だ。
「でも大変でしたよ。まさか、こんなに時間がかかるなんて、思わなかったんです」
「それもそうよね。闇の十字軍なんてワード、今じゃ聞かないからね」
エレナさん曰く、闇の十字軍はとうの昔に解体されたらしい。
しかも解体したのは、三人の冒険者の噂もある。
しかもその三人、素性はわかっていないが、全員奇怪な姿をした人間だったらしい。
いわゆる、亜人というやつだ。
「その人たちが、闇の十字軍を幹部の人たちごと、まとめて吹き飛ばして、事件は収束した。でも世界のどこかでは、復活のために暗躍しているって噂もあるけど」
「それが今回だったんですね。恐ろしいです」
僕はにこやかに笑っていた。
こういう暗い話ほど、笑顔を大切にしないといけない。
不気味と思われても、僕はどう不気味なので、良しとしよう。
「あら? 天月君、目の色が赤いわよ?」
「えっ!?」
それを言われて、我に帰る。
こんなところで大っぴらにこの目を使うのはリスクがある。
危ない危ない。心を平常に保たないと。
「それより、僕は今日は帰ります。それじゃあまた」
僕は速やかに帰った。
それから宿屋さんに戻ると、
「リーファちゃん、一番テーブルにオレンジジュースと、アイスコーヒー。それからオムライスを二つね」
「わかりました」
「三番テーブルに、いつものカレーを運んで」
「はい」
「四番テーブル片付けて」
「わかりました」
かなり忙しそうだった。
エプロンをつけたリーファがテーブルの合間を、次々に渡り歩く。
ここ数日、色々あって開けなかった反動か、今日はいつもの倍以上。
いや、流石に捌ききれない。
「あっ、天月君!」
「ルビーさん。大変そうですね」
僕は何の気なしに言うと、「手伝って」オーラがビシバシ伝わる。
そこで僕も奥のバックヤードに入ると、いつも通りのワイシャツにエプロンを身につけた。
「天月さん」
「リーファさん。大丈夫? どういいの?」
「はい。お騒がせしてしまい、すみません。私、全然平気ですよ」
あどけない笑顔が溢れる。
僕はそれを確認すると、ルビーさんに言われたテーブルに注文を取りに行く。
さてと、今日も忙しくて楽しい毎日の始まりだ。
僕はリーファと正式にパーティーを組んだ。
リーファは死んだ人たちの亡骸を、お墓に埋葬すると、週に一度は手を合わせに行っている。
そんな亡骸だが、この間の雨風の影響か、だいぶ腐敗が進んでいた。
そのせいで、人骨は既に、ボロボロで原形を留めていない。
だけど流石はエルフ。
そのあまりある感受性の高さで、誰がどの亡骸か、瞬時に把握していた。
「ってことがあったんですよ」
「そうだったの。それで、ここ数日はギルドに来られなかったのね」
僕は状況をエレナさんに説明した。
今日は久々に、冒険者ギルドにやって来ていた。
実は僕もこの数日大変だった。
例の骨。
闇の十字軍に関する手掛かりを、国に報告していたんだ。
その功績を認められて、たくさんのお金が貰えたけど、体の疲労感は癒えなかった。
その理由はあまりに顕著で、僕はあの後すぐに洞窟を破壊したんだ。
中にあった人たちの亡骸と、闇の十字軍の男の骨だけを取り除いて、その全てを破壊した。
理由は至ってシンプル。
僕の正体が明るみに出ないための工作だ。
「でも大変でしたよ。まさか、こんなに時間がかかるなんて、思わなかったんです」
「それもそうよね。闇の十字軍なんてワード、今じゃ聞かないからね」
エレナさん曰く、闇の十字軍はとうの昔に解体されたらしい。
しかも解体したのは、三人の冒険者の噂もある。
しかもその三人、素性はわかっていないが、全員奇怪な姿をした人間だったらしい。
いわゆる、亜人というやつだ。
「その人たちが、闇の十字軍を幹部の人たちごと、まとめて吹き飛ばして、事件は収束した。でも世界のどこかでは、復活のために暗躍しているって噂もあるけど」
「それが今回だったんですね。恐ろしいです」
僕はにこやかに笑っていた。
こういう暗い話ほど、笑顔を大切にしないといけない。
不気味と思われても、僕はどう不気味なので、良しとしよう。
「あら? 天月君、目の色が赤いわよ?」
「えっ!?」
それを言われて、我に帰る。
こんなところで大っぴらにこの目を使うのはリスクがある。
危ない危ない。心を平常に保たないと。
「それより、僕は今日は帰ります。それじゃあまた」
僕は速やかに帰った。
それから宿屋さんに戻ると、
「リーファちゃん、一番テーブルにオレンジジュースと、アイスコーヒー。それからオムライスを二つね」
「わかりました」
「三番テーブルに、いつものカレーを運んで」
「はい」
「四番テーブル片付けて」
「わかりました」
かなり忙しそうだった。
エプロンをつけたリーファがテーブルの合間を、次々に渡り歩く。
ここ数日、色々あって開けなかった反動か、今日はいつもの倍以上。
いや、流石に捌ききれない。
「あっ、天月君!」
「ルビーさん。大変そうですね」
僕は何の気なしに言うと、「手伝って」オーラがビシバシ伝わる。
そこで僕も奥のバックヤードに入ると、いつも通りのワイシャツにエプロンを身につけた。
「天月さん」
「リーファさん。大丈夫? どういいの?」
「はい。お騒がせしてしまい、すみません。私、全然平気ですよ」
あどけない笑顔が溢れる。
僕はそれを確認すると、ルビーさんに言われたテーブルに注文を取りに行く。
さてと、今日も忙しくて楽しい毎日の始まりだ。
20
あなたにおすすめの小説
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!
こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」
主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。
しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。
「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」
さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。
そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)
かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる