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50話 ヴェルティア・レイダーの依頼
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社長室に入ると、そこにいたのは作業に没頭する男の人の姿。
その人こそ、レイダー商会の代表であり、僕たちを指名してくれた人だった。
「おや、よく来てくれたね、天月君、リーファ君」
「お久しぶりですヴェルティアさん。怪我方はもう大丈夫ですか?」
「うん、何ともないよ。この通り、快調だとも」
ヴェルティアさんは、右腕を肩から回してみせた。
如何やら包帯も無事に取れたみたいで安心した。リーファさんの治療は、完璧だったらしい。
「リーファ君、治療の程感謝するよ。おかげで後遺症も残らなかった」
「いえ、私は当然のことをしたまでです。ですが、あのときの冒険者さんまでは……」
「うん。私も心を痛めているんだ。そうは見えないだろうがね」
ヴェルティアさんは、顔面蒼白だった。
これは家庭環境によるものらしいが、その実態までは知らない。
しかしそのせいで、表情を表に出せないのさ、きっと辛いことのはずだ。
僕だって、師匠たちに出会っていなければ、今頃は……考えただけでも、心が痛い。
「まあ、腰をかけるといいよ。ここに来たということは、依頼書を見てくれたということだからね」
「それはいいんですけど、何を討伐するかまではまだ」
「ん? 如何やらこちらの不備のようだね。私が依頼したのは、確かに討伐依頼も含まれるが、主に護衛の依頼だよ」
「「護衛ですか!?」」
僕たちは驚いた。
そんな話聞いていないし、文面にもなかった。
それに護衛なんて、僕たちに務まるのかどうかも、わからない。
しかしヴェルティアさんの表情は、満足げだった。
「私は君たち二人の腕を見込んで頼んだんだ。だから間違いはないよ」
「そ、そんな過信されても」
「これは家臣じゃない。確信だよ。それに、君たちにしか任せられない相手なのは変わらないんだ。どうか、頼めないか」
ヴェルティアさんは、頭を下げた。
深く深くだった。ここまで頭を下げられて、断るわけにはいかないし、それに信頼を断ち切りたくなかった。
そんな願望が心の奥底から湧き立って、僕の心を震え起こす。
それが確信に変わったのは、内側から出る物凄い熱量。
ただ熱いのではない。
高鳴る鼓動を胸にして、湧き立つ信頼感を体感した。
「天月さん」
「そうだねリーファさん。ヴェルティアさん、その依頼お引き受けします」
「ありがとう、二人とも。これで安心したよ」
ヴェルティアさんは胸を撫で下ろす。
すると僕たちに依頼の内容を伝えてくれた。
その内容はあまりにシンプルで、
「私が二人に依頼するのは、あくまで護衛依頼だ。討伐依頼は、別途でいい」
「その護衛依頼って?」
「私の商会の一人で、チェリム君の馬車を護衛してほしいんだ。馬車は、ここから七十キロ近く先の村、ソトオニ村。そこに、リュウガの卵を届けてほしいんだよ」
「リュウガの?」
「卵?」
僕とリーファさんは揃って顔を見合わせた。
そんな名前、聞いたことがない。だからこそ、顔を不思議そうになるのも間違いではないが、僕の知識はこう見えて振り切っているので、知っていた。その希少性の、有無すらね。
そう、このリュウガの卵は特殊な竜の卵。
高温に晒されるのではなく、それこそ特殊な条件で反応する、孵化しないのが特徴な珍しい卵なんだ。
その人こそ、レイダー商会の代表であり、僕たちを指名してくれた人だった。
「おや、よく来てくれたね、天月君、リーファ君」
「お久しぶりですヴェルティアさん。怪我方はもう大丈夫ですか?」
「うん、何ともないよ。この通り、快調だとも」
ヴェルティアさんは、右腕を肩から回してみせた。
如何やら包帯も無事に取れたみたいで安心した。リーファさんの治療は、完璧だったらしい。
「リーファ君、治療の程感謝するよ。おかげで後遺症も残らなかった」
「いえ、私は当然のことをしたまでです。ですが、あのときの冒険者さんまでは……」
「うん。私も心を痛めているんだ。そうは見えないだろうがね」
ヴェルティアさんは、顔面蒼白だった。
これは家庭環境によるものらしいが、その実態までは知らない。
しかしそのせいで、表情を表に出せないのさ、きっと辛いことのはずだ。
僕だって、師匠たちに出会っていなければ、今頃は……考えただけでも、心が痛い。
「まあ、腰をかけるといいよ。ここに来たということは、依頼書を見てくれたということだからね」
「それはいいんですけど、何を討伐するかまではまだ」
「ん? 如何やらこちらの不備のようだね。私が依頼したのは、確かに討伐依頼も含まれるが、主に護衛の依頼だよ」
「「護衛ですか!?」」
僕たちは驚いた。
そんな話聞いていないし、文面にもなかった。
それに護衛なんて、僕たちに務まるのかどうかも、わからない。
しかしヴェルティアさんの表情は、満足げだった。
「私は君たち二人の腕を見込んで頼んだんだ。だから間違いはないよ」
「そ、そんな過信されても」
「これは家臣じゃない。確信だよ。それに、君たちにしか任せられない相手なのは変わらないんだ。どうか、頼めないか」
ヴェルティアさんは、頭を下げた。
深く深くだった。ここまで頭を下げられて、断るわけにはいかないし、それに信頼を断ち切りたくなかった。
そんな願望が心の奥底から湧き立って、僕の心を震え起こす。
それが確信に変わったのは、内側から出る物凄い熱量。
ただ熱いのではない。
高鳴る鼓動を胸にして、湧き立つ信頼感を体感した。
「天月さん」
「そうだねリーファさん。ヴェルティアさん、その依頼お引き受けします」
「ありがとう、二人とも。これで安心したよ」
ヴェルティアさんは胸を撫で下ろす。
すると僕たちに依頼の内容を伝えてくれた。
その内容はあまりにシンプルで、
「私が二人に依頼するのは、あくまで護衛依頼だ。討伐依頼は、別途でいい」
「その護衛依頼って?」
「私の商会の一人で、チェリム君の馬車を護衛してほしいんだ。馬車は、ここから七十キロ近く先の村、ソトオニ村。そこに、リュウガの卵を届けてほしいんだよ」
「リュウガの?」
「卵?」
僕とリーファさんは揃って顔を見合わせた。
そんな名前、聞いたことがない。だからこそ、顔を不思議そうになるのも間違いではないが、僕の知識はこう見えて振り切っているので、知っていた。その希少性の、有無すらね。
そう、このリュウガの卵は特殊な竜の卵。
高温に晒されるのではなく、それこそ特殊な条件で反応する、孵化しないのが特徴な珍しい卵なんだ。
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