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51話 馬車の護衛依頼
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リュウガの卵。
それは極めて珍しい、希少な卵。
決してリュウとは言っているから侮ってはいけないが、竜が産まれるものではない。
だから間違っても、食べようとしてはいけないんだ。
リュウガの卵には、東の国で伝わる言葉を当てれば、その意味が理解できる。
この卵は生物を産み出す機能はなく、言ってしまえば、木の実などの部類に入る。
だからこそ、産出力は少なく、見ることすら少ない。
そんな貴重品の扱いは、言わば奉納が相応しい。
それこそ、このリュウガの卵は神聖視され、万物より出たる、神秘なる武装。
そう呼ばれることもあり、大変ありがたがられるのだそうだ。
それでそんなものを、
「僕たちが運搬護衛を任されるなんてね」 「そうですね。私も驚きました」
僕とリーファさんは、馬車に乗っていた。
その馬車はかなり頑丈で、実際三人しかいない。
一人は僕で、もう一人はリーファさん。
お互いに気配と魔力を使って、網を張り、敵の存在をいつでも感知できるようにしていた。
対してもう一人。
それはレイダー商会の商人で、チェリムさん。
今は馬車を操って、御者の席に座っている。
それもそのはず、今回の荷物は貴重なリュウガの卵のみで、予定としても三時間をキャパとしていた。
だからこそチェリムさんは、
「ふふふーん。ふふん」
「上機嫌ですね」
リーファさんは口にした。
チェリムさん。ピンクの髪、頭から生えた猫の耳。それから尻尾。獣人の女の人だった。
大きくてはっきりとした動向。
華奢な体に、護身用のナイフ。
細い腕からは想像できないぐらいに、筋力があって、常に前を向く。
「チェリムさん、疲れていませんか?」
「大丈夫ですよ、天月さん、リーファさん。それよりお二人は、警戒の方をお願いしますニャ」
ニャ? もしかしてキャラ付けかな。
とか野暮なことは口にせず、僕はリーファさんと揃って、警戒に努めた。
今回の舗装された道は、広く馬車が二台通っても、余裕だった。
そのゆったりとした作り故に、僕は警戒の色を見せる。
「こういう所は、目立つから盗賊とかが襲ってきやすいんだよ」
「そうなんですか?」
「うん。ただこんなに開けていると、向こうも覚悟を決めてくるからね、用心しよう」
それから反対を通る馬車にも注目。
もしかしたら乗り込んでいるのは、盗賊のような、敵対する奴奴の場合もある。
それを加味した上で、僕とリーファさんは揃って警戒を強めた。
そんな中、
「ニャニャ?」
「如何したんですか、チェリムさん?」
チェリムさんが首を傾げた。
その理由は何か。見れば、道の真ん中で誰かが倒れている。
これは心配だ。
だけど僕は用心のために、止まるのは少し待つように指示する。
「ちょっと待ってください。もしかしたら、怪我のふりをした盗賊かもしれませんよ」
「そんなパターンもあるんですか?」
「でも変な感じはしないニャアよ?」
二人とも呆れ顔。
だから僕は警戒したまま、先に馬車を降りて近づく。
するとそこにいたのは、
「ううっ」
「あ、本当に怪我してた」
本当に怪我をして動けない少女だった。
しかも今にも死んでしまいそうなほどに弱っていて、僕は敵対意識がないことを知ると、馬車を呼んでリーファさんに手当てをしてもらうよう、頼んだみたい。
それは極めて珍しい、希少な卵。
決してリュウとは言っているから侮ってはいけないが、竜が産まれるものではない。
だから間違っても、食べようとしてはいけないんだ。
リュウガの卵には、東の国で伝わる言葉を当てれば、その意味が理解できる。
この卵は生物を産み出す機能はなく、言ってしまえば、木の実などの部類に入る。
だからこそ、産出力は少なく、見ることすら少ない。
そんな貴重品の扱いは、言わば奉納が相応しい。
それこそ、このリュウガの卵は神聖視され、万物より出たる、神秘なる武装。
そう呼ばれることもあり、大変ありがたがられるのだそうだ。
それでそんなものを、
「僕たちが運搬護衛を任されるなんてね」 「そうですね。私も驚きました」
僕とリーファさんは、馬車に乗っていた。
その馬車はかなり頑丈で、実際三人しかいない。
一人は僕で、もう一人はリーファさん。
お互いに気配と魔力を使って、網を張り、敵の存在をいつでも感知できるようにしていた。
対してもう一人。
それはレイダー商会の商人で、チェリムさん。
今は馬車を操って、御者の席に座っている。
それもそのはず、今回の荷物は貴重なリュウガの卵のみで、予定としても三時間をキャパとしていた。
だからこそチェリムさんは、
「ふふふーん。ふふん」
「上機嫌ですね」
リーファさんは口にした。
チェリムさん。ピンクの髪、頭から生えた猫の耳。それから尻尾。獣人の女の人だった。
大きくてはっきりとした動向。
華奢な体に、護身用のナイフ。
細い腕からは想像できないぐらいに、筋力があって、常に前を向く。
「チェリムさん、疲れていませんか?」
「大丈夫ですよ、天月さん、リーファさん。それよりお二人は、警戒の方をお願いしますニャ」
ニャ? もしかしてキャラ付けかな。
とか野暮なことは口にせず、僕はリーファさんと揃って、警戒に努めた。
今回の舗装された道は、広く馬車が二台通っても、余裕だった。
そのゆったりとした作り故に、僕は警戒の色を見せる。
「こういう所は、目立つから盗賊とかが襲ってきやすいんだよ」
「そうなんですか?」
「うん。ただこんなに開けていると、向こうも覚悟を決めてくるからね、用心しよう」
それから反対を通る馬車にも注目。
もしかしたら乗り込んでいるのは、盗賊のような、敵対する奴奴の場合もある。
それを加味した上で、僕とリーファさんは揃って警戒を強めた。
そんな中、
「ニャニャ?」
「如何したんですか、チェリムさん?」
チェリムさんが首を傾げた。
その理由は何か。見れば、道の真ん中で誰かが倒れている。
これは心配だ。
だけど僕は用心のために、止まるのは少し待つように指示する。
「ちょっと待ってください。もしかしたら、怪我のふりをした盗賊かもしれませんよ」
「そんなパターンもあるんですか?」
「でも変な感じはしないニャアよ?」
二人とも呆れ顔。
だから僕は警戒したまま、先に馬車を降りて近づく。
するとそこにいたのは、
「ううっ」
「あ、本当に怪我してた」
本当に怪我をして動けない少女だった。
しかも今にも死んでしまいそうなほどに弱っていて、僕は敵対意識がないことを知ると、馬車を呼んでリーファさんに手当てをしてもらうよう、頼んだみたい。
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