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55話 真夜中のコヨーテ狩り②
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ヴァンプコヨーテは僕を敵視して、飛びかかる。
鋭い牙、黄色い瞳。暗闇の中を彼らは活かしながら、僕に気配を消して接近する。
鋭い牙をかち合わせる音がした。
左の耳元からだ。
「左に二匹、右に三匹。左後ろから四匹に、真後ろから一匹。正面からは七匹。飢えすぎでしょ」
僕はベルトからナイフを飛び出した。
気配だけを頼りに僕も完全に気配を遮断して、風の抵抗を受けないよう、できるだけ真っ直ぐに素早く投げる。
するとナイフは軌道を描いて飛び交った。
僕のナイフは全てヴァンプコヨーテに命中し、気配が消えるが、すぐに次が来るのですぐさま倒れたヴァンプコヨーテからナイフを抜き取る。
それから前転をしながら草木の中に身を隠すと、ヴァンプコヨーテから採取した血を頭から被った。
「これでしばらくは大丈夫かな。えーっと、残りは二十匹ちょっと。余裕かな」
僕のやっていることは、かなりグロい行為だ。
敵の血を被るとことで、自らの人間の匂いを消す。そうすることで自然の中に溶け込むだけでなく、群れをなすモンスターは、その血液をかぶることで、そのふりをする。
特にこんな真っ暗闇だとそれが上手くいく。
つまり僕のやったのは、敵を盾としたカモフラージュ作戦だった。ああ、醜い。そしてグロい。目の奥が熱くなって、高鳴る鼓動が僕の知識を駆り立てる。
「おっといけないいけない。冷静になって、心を落ち着かせて。よし、残りもさっさと倒しちゃおっと」
僕はナイフをほぼ全て取り出す。
残念だけどヴァンプコヨーテさんたち。僕のベルト内側には、投げナイフが合計で二十七本がセットされている。だから、余裕で投げなられるのだ。
「それっ!」
僕は暗闇の中を微かな音も立てずに、木々の合間をすり抜け、草木の間をゆく。
その過程で後ろから、真上から、死角の位置から、僕のナイフは飛び交っていた。
ワフッ!ーー
ガフッア!ーー
ヴァンプコヨーテたちは、次々に倒れていく。
死角からの見えない攻撃。銀に煌めくナイフは、赤い血塗りがされていて、月明かりすら通さない。自分たちの地で血を洗うなんて、思っても見なかっただろうに。
「ごめんね。でも僕、死ぬわけにはいかないんだ。だから、死んで」
手を合わせながら、僕は息の絶えかけていたヴァンプコヨーテの腹を裂いた。
血飛沫が上がり、顔が濡れる。
その瞬間、胸を高鳴ったのは、高揚感。それに似ていた。
「はーふーはーふー。はぁはぁはぁはぁ! はぁはぁはぁはぁ!」
目の奥がじんじんする。
血中が呼吸していた。気持ちいいのはなんでだろう。やっぱり僕は狂人だ。
狂っているから今がある。
今があるから狂っている。遠くに見える月が赤く染まって見えたのは、きっとヴァンプコヨーテの血の色だと信じたい。
鋭い牙、黄色い瞳。暗闇の中を彼らは活かしながら、僕に気配を消して接近する。
鋭い牙をかち合わせる音がした。
左の耳元からだ。
「左に二匹、右に三匹。左後ろから四匹に、真後ろから一匹。正面からは七匹。飢えすぎでしょ」
僕はベルトからナイフを飛び出した。
気配だけを頼りに僕も完全に気配を遮断して、風の抵抗を受けないよう、できるだけ真っ直ぐに素早く投げる。
するとナイフは軌道を描いて飛び交った。
僕のナイフは全てヴァンプコヨーテに命中し、気配が消えるが、すぐに次が来るのですぐさま倒れたヴァンプコヨーテからナイフを抜き取る。
それから前転をしながら草木の中に身を隠すと、ヴァンプコヨーテから採取した血を頭から被った。
「これでしばらくは大丈夫かな。えーっと、残りは二十匹ちょっと。余裕かな」
僕のやっていることは、かなりグロい行為だ。
敵の血を被るとことで、自らの人間の匂いを消す。そうすることで自然の中に溶け込むだけでなく、群れをなすモンスターは、その血液をかぶることで、そのふりをする。
特にこんな真っ暗闇だとそれが上手くいく。
つまり僕のやったのは、敵を盾としたカモフラージュ作戦だった。ああ、醜い。そしてグロい。目の奥が熱くなって、高鳴る鼓動が僕の知識を駆り立てる。
「おっといけないいけない。冷静になって、心を落ち着かせて。よし、残りもさっさと倒しちゃおっと」
僕はナイフをほぼ全て取り出す。
残念だけどヴァンプコヨーテさんたち。僕のベルト内側には、投げナイフが合計で二十七本がセットされている。だから、余裕で投げなられるのだ。
「それっ!」
僕は暗闇の中を微かな音も立てずに、木々の合間をすり抜け、草木の間をゆく。
その過程で後ろから、真上から、死角の位置から、僕のナイフは飛び交っていた。
ワフッ!ーー
ガフッア!ーー
ヴァンプコヨーテたちは、次々に倒れていく。
死角からの見えない攻撃。銀に煌めくナイフは、赤い血塗りがされていて、月明かりすら通さない。自分たちの地で血を洗うなんて、思っても見なかっただろうに。
「ごめんね。でも僕、死ぬわけにはいかないんだ。だから、死んで」
手を合わせながら、僕は息の絶えかけていたヴァンプコヨーテの腹を裂いた。
血飛沫が上がり、顔が濡れる。
その瞬間、胸を高鳴ったのは、高揚感。それに似ていた。
「はーふーはーふー。はぁはぁはぁはぁ! はぁはぁはぁはぁ!」
目の奥がじんじんする。
血中が呼吸していた。気持ちいいのはなんでだろう。やっぱり僕は狂人だ。
狂っているから今がある。
今があるから狂っている。遠くに見える月が赤く染まって見えたのは、きっとヴァンプコヨーテの血の色だと信じたい。
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