21 / 94
3章
第21話 コボルトの群れ
しおりを挟む
俺はエクレアと共に、鉱山内部の坑道をただひたすらにまっすぐ歩いていた。
すると広い空間に出た。如何やら噂に聞いた中間地点に位置する採掘場跡らしい。
その証拠に、地面にはトロッコのレールが敷かれている。
昔使われていた採掘した鉱石運搬用のトロッコだ。今も使えるのだろうか?
俺はエクレアの前を歩き、警戒して覗き込んだ。
見たところ目立ったモンスターは1種類のみだ。
「コボルトだね」
「そうだな。数は7匹か……」
「ううん。《黄昏の陽射し》だと、まだ少しいるよ」
「……そうだな。全部で13匹か」
俺はエクレアの飲み込みの良さに驚いた。
どうやら俺が言ったことを気にしてのことだ。確かに周りに意識を向けろとは言ったが、魔法はやりすぎだ。無駄な労力はコストカットだ。
「そうだな。エクレア偉いぞ」
「ふへっ! あ、ありがとう」
俺が褒めただけでエクレアは瞬きを繰り返した。
そんなに意外だったのか。確かに俺はあまり褒めるような真似をしないが、褒めない訳ではない。
けれどここまで動揺して頬まで赤くなられるのは困る。熱でもあったら戦闘に支障が出るだけだ。
「エクレア。《黄昏の陽射し》はなしだ」
「どうして? こんなに数がいるんだよ」
「正直どうして太陽も届かない場所に“黄昏”が生じるのかは疑問だが、その魔法は切り札に取っておけ」
「切り札は他にあるのに……了解。じゃあ、全力で倒しちゃうぞ」
俺とエクレアはコボルトを倒しに向かった。
俺は腰に携えた剣を抜刀し、コボルトを真っ二つに切った。
突然の奇襲にコボルトは驚き、俺に向かって来る他のコボルト達だったが、背後から迫る少女を見逃していた。
「せーのっ!」
エクレアはコボルトを2匹も横に一閃した。
さらに自分に注意が向いた瞬間、太陽の聖剣の柄の部分を使ってコボルトの脳天を貫いた。
さらに続けざまに、コボルトの体を引き裂く。
あまりの速さと正確さに俺は驚く。
「まさか、こんな真似ができるのか!」
俺はエクレアの凄さを目の当たりにした。
瞬く間にコボルトを5匹倒してしまい、俺はその間に1匹だけ倒す。
それから残っていた6匹のコボルトは隠れたまま出てこない。
「カイ君、残りのコボルトはどうするの?」
「そうだな。出てくるまで待つか」
「えっ!? それって危なくないの?」
「普通はそう思うだろうな。だがここまで圧倒的だったんだ。目の前で仲間を殺され、魔石に変わった。そして本能的な性格のモンスターならこの状況を本能的に感じ取るはずだ」
「……恐怖だよね。なんて、恐ろしいことを思いつくの?」
エクレアは俺の考え読むと身震いをした。
だけどすぐに振り切って俺の手を掴むと、パッと明るい笑みを浮かべる。
あまりに情緒を無視した動きに、俺に動揺が伝染した。
珍しく反応がたどたどしくなる。
「な、何だ急に」
「凄いよ、カイ君って本当に凄い。私カイ君のそういうところ好きだよ」
「はい?」
正直に俺は首を捻る。何が良いのかわからない。
だけど同じようなことを言った奴がいた。
リオンは俺の戦い方を見て、こう言ったんだ。
「カイの戦い方は勝利に貪欲で僕は嫌いじゃないよ」
そのことを余韻として思い出すと、不意に笑みが零れた。
エクレアはその表情を見逃さず、ニカッと口角を上げる。
その様子を見ていたコボルト達は“今だ”と踏んで襲い掛かるも、俺はそれすら見逃さない。
「邪魔だ」
バッサリとコボルトが切り刻まれた。
エクレアは油断していたらしく、俺の素振りに驚いて口を開ける。
「あ、ありがとう。もしかして油断を誘ったの?」
「いいや。油断ができたからな、それを囮に使った」
「むっ! 何だか嫌だな。私は本気だったのに」
エクレアは勝ったにもかかわらず怒っていた。
やっぱり女心は難しい。俺は腕組をしてエクレアに向き合った。
何が良いのかさっぱりだ。
だから俺はよくよく観察していると、エクレアの頬が膨らんでまるでフグみたいで可愛かった。
すると広い空間に出た。如何やら噂に聞いた中間地点に位置する採掘場跡らしい。
その証拠に、地面にはトロッコのレールが敷かれている。
昔使われていた採掘した鉱石運搬用のトロッコだ。今も使えるのだろうか?
俺はエクレアの前を歩き、警戒して覗き込んだ。
見たところ目立ったモンスターは1種類のみだ。
「コボルトだね」
「そうだな。数は7匹か……」
「ううん。《黄昏の陽射し》だと、まだ少しいるよ」
「……そうだな。全部で13匹か」
俺はエクレアの飲み込みの良さに驚いた。
どうやら俺が言ったことを気にしてのことだ。確かに周りに意識を向けろとは言ったが、魔法はやりすぎだ。無駄な労力はコストカットだ。
「そうだな。エクレア偉いぞ」
「ふへっ! あ、ありがとう」
俺が褒めただけでエクレアは瞬きを繰り返した。
そんなに意外だったのか。確かに俺はあまり褒めるような真似をしないが、褒めない訳ではない。
けれどここまで動揺して頬まで赤くなられるのは困る。熱でもあったら戦闘に支障が出るだけだ。
「エクレア。《黄昏の陽射し》はなしだ」
「どうして? こんなに数がいるんだよ」
「正直どうして太陽も届かない場所に“黄昏”が生じるのかは疑問だが、その魔法は切り札に取っておけ」
「切り札は他にあるのに……了解。じゃあ、全力で倒しちゃうぞ」
俺とエクレアはコボルトを倒しに向かった。
俺は腰に携えた剣を抜刀し、コボルトを真っ二つに切った。
突然の奇襲にコボルトは驚き、俺に向かって来る他のコボルト達だったが、背後から迫る少女を見逃していた。
「せーのっ!」
エクレアはコボルトを2匹も横に一閃した。
さらに自分に注意が向いた瞬間、太陽の聖剣の柄の部分を使ってコボルトの脳天を貫いた。
さらに続けざまに、コボルトの体を引き裂く。
あまりの速さと正確さに俺は驚く。
「まさか、こんな真似ができるのか!」
俺はエクレアの凄さを目の当たりにした。
瞬く間にコボルトを5匹倒してしまい、俺はその間に1匹だけ倒す。
それから残っていた6匹のコボルトは隠れたまま出てこない。
「カイ君、残りのコボルトはどうするの?」
「そうだな。出てくるまで待つか」
「えっ!? それって危なくないの?」
「普通はそう思うだろうな。だがここまで圧倒的だったんだ。目の前で仲間を殺され、魔石に変わった。そして本能的な性格のモンスターならこの状況を本能的に感じ取るはずだ」
「……恐怖だよね。なんて、恐ろしいことを思いつくの?」
エクレアは俺の考え読むと身震いをした。
だけどすぐに振り切って俺の手を掴むと、パッと明るい笑みを浮かべる。
あまりに情緒を無視した動きに、俺に動揺が伝染した。
珍しく反応がたどたどしくなる。
「な、何だ急に」
「凄いよ、カイ君って本当に凄い。私カイ君のそういうところ好きだよ」
「はい?」
正直に俺は首を捻る。何が良いのかわからない。
だけど同じようなことを言った奴がいた。
リオンは俺の戦い方を見て、こう言ったんだ。
「カイの戦い方は勝利に貪欲で僕は嫌いじゃないよ」
そのことを余韻として思い出すと、不意に笑みが零れた。
エクレアはその表情を見逃さず、ニカッと口角を上げる。
その様子を見ていたコボルト達は“今だ”と踏んで襲い掛かるも、俺はそれすら見逃さない。
「邪魔だ」
バッサリとコボルトが切り刻まれた。
エクレアは油断していたらしく、俺の素振りに驚いて口を開ける。
「あ、ありがとう。もしかして油断を誘ったの?」
「いいや。油断ができたからな、それを囮に使った」
「むっ! 何だか嫌だな。私は本気だったのに」
エクレアは勝ったにもかかわらず怒っていた。
やっぱり女心は難しい。俺は腕組をしてエクレアに向き合った。
何が良いのかさっぱりだ。
だから俺はよくよく観察していると、エクレアの頬が膨らんでまるでフグみたいで可愛かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
346
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる