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5章
第47話 ちなみに利益はどう上げる気なんだ?
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とりあえずエクレアがやろうとしていることはわかった。
今度は謎なことが1つ生まれた。
コイツはどうやって利益を上げるつもりなんだ。
「エクレア、お前はパンとポーションだけで利益を上げるつもりなのか?」
「ううん。違うよ」
「はっ、ってまあそうか」
流石に考えなしではないらしい。
俺は安心して利益が上げられる手段があると聞いて、その方法を尋ねてみた。
まさかろくでもないことにならないといいが——
「もちろん、ほとんどはポーションの売り上げで持って行くよ! 私は別にお店を毎日やるわけじゃないから」
「そうなのか?」
「うん。利益を上げることより、私は冒険者だもん。冒険者活動の方が重要だよ」
エクレアは冒険者として意識が据わっていた。
それが確認できただけで、俺はここにいる理由も無くなる。
「そうか。だったら、俺がいる必要はないな。これからは自由にやらせてもらうぞ」
「何っているの?」
「はい? 俺は言った通りだぞ」
エクレアの表情が笑顔のまま固まった。
何か嫌な予感がする。そんな気がしてならないのはやまやまだが、これ以上先に踏み込むことは禁止だ。
危険領域に至るのは俺からしても避けたかった。
「俺はもうソロ活動に戻ってもいい頃だ。お前の腕なら適当な奴とでも組めるだろ」
「だからダメだって!」
「何がだ。俺はお前とのパーティーに固執する必要はないんだぞ」
「それはそうだけど……相棒でしょ」
「相棒なのは、お前とパーティーを組んでいる間の話だ。店の利益もそこそこ見込めるのなら、俺がパーティーを組んでまでする必要性はどこにもないんだよ」
少しだけ明るく話してやった。
その足はジリジリと後方に下がっている。俺はいつでも店の外に出る準備をしていた。
「と言うわけだ。とは言え、何もしないのは癪だな。俺が作った剣を300くらい卸しておいてやる」
「待って、ちょっと待ってよ!」
「じゃあな」
俺はそう言い残して店を出ようとした。
しかしまたしてもエクレアの手が伸びてくる。
今度は握らせない。俺は腕を引いて、がっちり脇を締めた。
しかしエクレアの手が伸びてくる。太陽から這い出る使者のように、俺の首根っこを摘まんだ。
「待ってよカイ君。私はカイ君と一緒に居たいんだよ」
「はっ?」
馬鹿なことだと思った。俺は全く興味がなく、表情を歪めた。
眉根を寄せ、滲んだ目を向ける。
けれどエクレアは俺の顔を見るや否や、撥乱だ笑みを浮かべるとともに、意味のない涙を涙袋に溜め込んだ。
馬鹿みたいな話だと鼻で笑ってやる。
「何やってんだよ。泣いてんじゃねえ」
「えっ……私泣いてなんか……」
「力にならない涙に意味はない。悲しい涙は、結局悲しいだけなんだよ」
俺は俺の言葉で話していた。
しかしエクレアはまるで俺の言葉ではないみたいに聞いている。
だけどこれは俺の言葉だ。俺は小式全く興味は湧いていない。
涙の理由は何となくわかるが、俺は全く響いていない。
「嫌なことから逃げたくないの……」
「嫌なことから逃げたっていい。逃げることは悪いことじゃない」
「でも私は逃がさない」
「俺も捕まる気はない。全部叩き切る」
「だったら私は救い上げる。私の夢も理想も全部現実にする。それが私の夢だから!」
馬鹿げた話だと何度でも言おう。何度でも嘲笑おう。
ただしこれはどうかと思う。
俺が相対している相手はただの人間ではない。人間の勘所いエネルギーの化け物ではなかった。
何故なら俺の目には——
「太陽……」
燃え盛る太陽がいた。
熱くはない。ただし燃え盛るように感情の爆発が鼓動を速くしていく。
近づけば簡単に焼けてしまう。
蝋でできた翼が溶けるみたいに、圧倒的な禁忌の前には何人たりとも立ち入ったり抗ったりはできない。そう言い聞かせるみたいで、俺は怯みそうだった。
しかし俺の精神は食って掛かった。
とは言えここは少しだけ身を退いておく、撤退は決して悪いことでもない。
「はぁ、わかった。縛らうは協力してやる」
「ほ、本当?」
「本当だ。俺はつまらない嘘はつかない」
「本当に本当なんだよね! 嘘じゃないんだよね」
「お前の圧に負けた俺は悪い。ただ気圧されたわけじゃないからな」
俺は自分が負けてはいないことを前面に押し出した。
負け惜しみでも何でもいい。とにかくここで気圧されて主導権を完全に握られることこそが、俺にとっての最悪の結末だった。
「それじゃあ早速頑張って行こっか!」
「はぁ、とりあえず用意してある奴だけおいて俺は帰るが……ぶっちゃけ、俺は何をするんだ?」
「そんなの一つしかないでしょ?」
「何だその言い方。俺は料理もできるぞ」
「うち、そう言うの無いから」
いや、パンが作れるのならできるだろ。もしかして俺の知らない構造なのか?
だがそれ以外となると何があるんだ。
「で、俺は何をするんだ?」
「武器たくさん作って。とにかく売れるものをたくさんたくさん。ねっ!」
俺は凄まじくさまじくげんなりしてしまった。
今度は謎なことが1つ生まれた。
コイツはどうやって利益を上げるつもりなんだ。
「エクレア、お前はパンとポーションだけで利益を上げるつもりなのか?」
「ううん。違うよ」
「はっ、ってまあそうか」
流石に考えなしではないらしい。
俺は安心して利益が上げられる手段があると聞いて、その方法を尋ねてみた。
まさかろくでもないことにならないといいが——
「もちろん、ほとんどはポーションの売り上げで持って行くよ! 私は別にお店を毎日やるわけじゃないから」
「そうなのか?」
「うん。利益を上げることより、私は冒険者だもん。冒険者活動の方が重要だよ」
エクレアは冒険者として意識が据わっていた。
それが確認できただけで、俺はここにいる理由も無くなる。
「そうか。だったら、俺がいる必要はないな。これからは自由にやらせてもらうぞ」
「何っているの?」
「はい? 俺は言った通りだぞ」
エクレアの表情が笑顔のまま固まった。
何か嫌な予感がする。そんな気がしてならないのはやまやまだが、これ以上先に踏み込むことは禁止だ。
危険領域に至るのは俺からしても避けたかった。
「俺はもうソロ活動に戻ってもいい頃だ。お前の腕なら適当な奴とでも組めるだろ」
「だからダメだって!」
「何がだ。俺はお前とのパーティーに固執する必要はないんだぞ」
「それはそうだけど……相棒でしょ」
「相棒なのは、お前とパーティーを組んでいる間の話だ。店の利益もそこそこ見込めるのなら、俺がパーティーを組んでまでする必要性はどこにもないんだよ」
少しだけ明るく話してやった。
その足はジリジリと後方に下がっている。俺はいつでも店の外に出る準備をしていた。
「と言うわけだ。とは言え、何もしないのは癪だな。俺が作った剣を300くらい卸しておいてやる」
「待って、ちょっと待ってよ!」
「じゃあな」
俺はそう言い残して店を出ようとした。
しかしまたしてもエクレアの手が伸びてくる。
今度は握らせない。俺は腕を引いて、がっちり脇を締めた。
しかしエクレアの手が伸びてくる。太陽から這い出る使者のように、俺の首根っこを摘まんだ。
「待ってよカイ君。私はカイ君と一緒に居たいんだよ」
「はっ?」
馬鹿なことだと思った。俺は全く興味がなく、表情を歪めた。
眉根を寄せ、滲んだ目を向ける。
けれどエクレアは俺の顔を見るや否や、撥乱だ笑みを浮かべるとともに、意味のない涙を涙袋に溜め込んだ。
馬鹿みたいな話だと鼻で笑ってやる。
「何やってんだよ。泣いてんじゃねえ」
「えっ……私泣いてなんか……」
「力にならない涙に意味はない。悲しい涙は、結局悲しいだけなんだよ」
俺は俺の言葉で話していた。
しかしエクレアはまるで俺の言葉ではないみたいに聞いている。
だけどこれは俺の言葉だ。俺は小式全く興味は湧いていない。
涙の理由は何となくわかるが、俺は全く響いていない。
「嫌なことから逃げたくないの……」
「嫌なことから逃げたっていい。逃げることは悪いことじゃない」
「でも私は逃がさない」
「俺も捕まる気はない。全部叩き切る」
「だったら私は救い上げる。私の夢も理想も全部現実にする。それが私の夢だから!」
馬鹿げた話だと何度でも言おう。何度でも嘲笑おう。
ただしこれはどうかと思う。
俺が相対している相手はただの人間ではない。人間の勘所いエネルギーの化け物ではなかった。
何故なら俺の目には——
「太陽……」
燃え盛る太陽がいた。
熱くはない。ただし燃え盛るように感情の爆発が鼓動を速くしていく。
近づけば簡単に焼けてしまう。
蝋でできた翼が溶けるみたいに、圧倒的な禁忌の前には何人たりとも立ち入ったり抗ったりはできない。そう言い聞かせるみたいで、俺は怯みそうだった。
しかし俺の精神は食って掛かった。
とは言えここは少しだけ身を退いておく、撤退は決して悪いことでもない。
「はぁ、わかった。縛らうは協力してやる」
「ほ、本当?」
「本当だ。俺はつまらない嘘はつかない」
「本当に本当なんだよね! 嘘じゃないんだよね」
「お前の圧に負けた俺は悪い。ただ気圧されたわけじゃないからな」
俺は自分が負けてはいないことを前面に押し出した。
負け惜しみでも何でもいい。とにかくここで気圧されて主導権を完全に握られることこそが、俺にとっての最悪の結末だった。
「それじゃあ早速頑張って行こっか!」
「はぁ、とりあえず用意してある奴だけおいて俺は帰るが……ぶっちゃけ、俺は何をするんだ?」
「そんなの一つしかないでしょ?」
「何だその言い方。俺は料理もできるぞ」
「うち、そう言うの無いから」
いや、パンが作れるのならできるだろ。もしかして俺の知らない構造なのか?
だがそれ以外となると何があるんだ。
「で、俺は何をするんだ?」
「武器たくさん作って。とにかく売れるものをたくさんたくさん。ねっ!」
俺は凄まじくさまじくげんなりしてしまった。
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