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◇20 条件提示とかいる?

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 アキラの発した言葉は、ごく単純なものだった。
 しかしNight(今後はこう表記する予定)は、驚きあぐねていた。
 だけども、すぐに察すと、訝しい顔をした。

「お前、それは本気か」
「うん。本気だよ。友達になってくれる? って、友達だよね」
「そ、そう言うもんか? うーん。よし、NOだ」
「はい!?」

 ここでのまさかの答え。
 あまりない反応に驚きつつも、アキラは諦めが悪い。一度決めたら、曲げやしない。

「友達じゃないの?」
「そう言うわけじゃないが……よし」

 Nightは、考えがあるようだ。
 一体何を言われるのかと思えば、まさかの反応だった。

「もしも私と現実で合うことができて、私をあっと言わせることが言えたら、友達にでも何でもなってやる。それこそ一生のな」
「な、なんか重たい話だよね?」
「それぐらいの気概がなければ困る。それに、お前が何処に住んでいるのかも知らないしな」
「それなら東京だよ。一応」
「東京?」
「うん。あっ、でも千葉の方かな? 最近都市開発が進んでるから、よくわからなくて」

 正直県境もあやふやだ。
 ただ海からはちょっと遠くて、埼玉寄りの方。
 都市開発が進んでいるけど、かなり住み心地はよかった。って、昔を知らないし、ほとんど地域も残ってないんだけどさ、と、アキラは頭を掻きながらだった。

「埼玉寄り。そうか。だったら、可能性もあるな。私もその辺りだ」
「そうなの! 偶然だね」
「偶然か。もしかしたら、必然かもしれないぞ」
「あはは、まさかね。私、運命は引っ張って来る系を押すから」
「どこまでも子供か」

 Nightは呆れていた。
 しかしアキラはめげない。

 その反応と気概を見たのか、満足そうにしていた。
 フレンドIDだけは一応交換しておき、その時を楽しみにすることにした。

 それからNightは冷めてしまったのか、今日はログアウトしてしまった。
 それを確認して、アキラも探索は諦めることにして、大量の聖水のあまりと、謎の戦利品をインベントリの中に叩き込んで、今日のところはログアウトするのだった。

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 気が付けば天井が見える。硬いベッドの上に横になり、両腕を広げる。
 腕に付けたドライブを外し、枕元に置いておくと、ふと明輝の頭には、Nightの言葉が引っかかる。

「見つけてみろって。しかもあっと言わせるってどういうことだろ?」

 見つけるなんて、現実味がない。しかもあっと言わせる。そんなの向こうの反応の仕方に寄るよね。
 明輝の頭では、すんなりと上手くいくイメージはなかった。
 それこそ、真逆の方に近い。

「無理ゲーってやつだよね、これ」

 口から零れたのは諦めと言うより、無謀に飛び込む落胆。
 それがわかって尚、明輝は諦めたりはしなかった。
 何故なら、すでに決めていた。

 明輝の中に、このチャンスを捨てるなんて野暮。
 そうとしか言い難い、強い思いと闘志みたいな感情が湧きたっていた。ただそれだけが全てなんだ。

「よーし、とりあえずそこそこやってみよう。運命は、ちょっとしたきっかけで、自分の手の中に引っ張ってこれるもんね、お母さん」
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