VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇35 VS白桃虎2

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  私とNightの二人は、森の中を走っていた。
 ここに来てついに見つけたんだ。逃がしたりしない。
 走っていき、さらに森の奥。
 そこにいたのは、ピンク色の虎だった。

「見つけたぞ。アキラ、先に行け!」
「でもNightは!」
「こっちはこっちで何とかする。【ライフ・オブ・メイク】に不可能はない」

 この凄い熱意は何なんだ。
 私は眼力に圧巻して、こくこくと首を縦に振ると、Nightを置いて、先に向かうと、将雅に寝ていた白桃虎を捕まえに行った。それこそ固有スキルの見せ所だ。

「【キメラハント】:【甲蟲】!」

 思いっきり拳を振り下ろした。
 両の腕には甲冑のような籠手で覆われ、纏った拳が地面を叩きつけた。

 地面が抉れる。小さく穴ができていたが、白桃虎は怪我の一つもない。
 さっきから余裕な姿を見せながら、距離を取る。普通に賢い。
 それを目の当たりにしたアキラは、顔を歪ませる。
 私の視界の先で睨む目が光った。そこにいたのは、文字通り白桃虎。けれど、警戒されすぎている。これじゃあ近づけない。ん? でもあれだ。

「待って。どのみち近づいたら、私やられない? 死ぬよね。うん、ん!?」

 マズいことに気づいてしまった。
 今ここにいるのは私一人。つまり、Nightが戻ってくるまで、一人で何とかしないといけない。つまり危険が分散できないんだ。かなりマズいのではないでしょうか? そんな中、白桃虎は襲い掛かって来た。

「来ちゃったよ! 待って、ヤバいヤバい!」

 虎に襲われた。私は籠手でガードした。
 両腕に衝撃と痛みが伝わる。
 虎の牙が私の腕に噛みついたんだ。

「痛くないけど、離れてよ!」

 ガウッ!——

「ほら、離れてって。じゃないと、本気でやっちゃうよ!」

 アキラは白桃虎を殴りつけた。
 すると、拳にはピンク色の毛が付いている。白桃虎のものだ。いい匂いがする。
 でもそれ以上に上々だった。

「これで依頼達成。Night、もう帰ろう!」

 声を張り上げて叫んだ。
 しかしNightの声は返ってこない。それに白桃虎もボルテージが上がったのか、私に襲い掛かる。

「【キメラハント】:【半液状化】!」

 私の喉元を食いちぎろうとしてきた。
 咄嗟にスライムみたいになってかわすが、前脚で蹴られそうになる。
 それもとっさにかわしたが、強烈な尻尾でびんたされた。これは効く。
 後ろの木に吹き飛ばされて、背中を叩きつけられた。
 それだけじゃなくて、【半液状化】も解けちゃった。

「うわぁ!」

 グルゥ!——

 白桃虎がにじり寄る。
 私は背中を強く打ち付けて、一瞬だけどまともに動けなかった。
 白桃虎。その頭上に何かが降ってくるのが見えた。
 銀色の閃光。かと思えば、白桃虎が倒れ、アキラの顔が濡れた。

「えっ!?」
「間に合ったか」

 後ろから声が聞こえた。
 振り返って見てみれば、森の中から息も絶え絶えな様子でいるNightが、出てきた瞬間だった。
 額からもこめかみからも汗を流している。
 でもそれよりも目を引いているのは、手に持った銀色のナイフ。加えて削れたHPの跡だった。それを見てしまったアキラは、てんやわんやだった。

「ど、どうしたの! な、なんでえっ!?」
「まあ待て。落ち着け。これが私のスキル【ライフ・オブ・メイク】だ」
「そうなの?」
「まあな。とにかく、これで白桃虎は一応倒せた。そのおかげで助かったんだ。ありがたく思え」

 かなり棘がある。
 私は顔を引き攣らせるものの、そんな私にNightは、平常で、白桃虎から取れたドロップアイテムを確認した。なんだか、グロいけど、Nightらしいと言えばNightらしくて、不思議と納得できた。そんな私にNightは、手を差し伸べる。

「ほら、帰るぞ」
「う、うん。そうだね」

 私は差し伸べされた手を掴み、立ち上がる。
 すると、Nightは顔を背けると、森を離れることにした。
 その後ろには、倒されて消えていない白桃虎の死骸が残っていた。
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