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◇34 VS白桃虎1

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  ゴールデンウィークももうおしまい。
 意外に早かったと感じてしまう。そんな中、アキラとNightは山の中にいた。森の中を行き交いながら、アキラは太い木の幹に手を当てた。額から汗を流す。

「はぁはぁ。Night、大丈夫?」
「な、なんだ? 何か言ったか?」
「うん。大丈夫って聞いたんだけど」
「大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば、大丈夫じゃないな」

 自分からそんなことを言うなんて、よっぽど疲れたんだ。
 アキラとて、流石に体力の限界はある。烈火ならこんなことにはならないんだろうと思いながら、どうしてこんなことになったのか、改めて口にしてみた。

「えーっと、白桃虎はくとらだったよね? 今回の依頼」
「そうだな。こうして白桃虎がいるエリアにまでやって来たんだが、まさかこんなことになるなんてな。私も準備はしてきたつもりだったが」
「こんなに探してもいないんだよね。しかも、この森結構深いんだよ」

 アキラは愚痴をこぼした。
 今回の依頼は、張り出されていたものだ。つまりあまりいいものじゃないにしろ、流石にここまで厄介になると、しんどいとしか言えない。

 ここでNightはこの状況をよくないと思ってんだろう。
 ついつい、口にしていた。

「ギルドを作るしかないか」
「ギルド?」

 ギルド。それはソロでもパーティーでもない。
 私が知っているのは、ソウラさんたちの〈blue sky〉の人たちぐらいだ。
 それにしても、Nightの口からそんな言葉が出るなんて、よっぽど堪えたらしい。しかし、一つ問題もある。

「でもNight。確かギルドを作る条件ってあったよね?」
「そうだな。確かに今のままだと、ギルドを設立することはできないな」

 この世界でギルドを作るには条件がいくつかある。
 その中でも特に強いのは、二つだけ。

 ・プレイヤーの数が三人以上であり、うちギルドリーダーとサブリーダーを各一人ずつ設定すること。
 ・ギルド加入時のレベルが5以上であること。

 他にも細かいルールはあるけれど、ギルド設立に必要なのはこのくらいだ。
 しかし私達は必要な最低限が足りていない。それこそ、メンバーが一人足りないことを二人はずっと気にしていた。

「誰かいないのか? この際誰でもいいんだが」
「そうだなー。あっ! 今度、私の友達がこのゲームを始めるんだけど、その子に相談してみよっかな」

 その子とはもちろん烈火のことだ。
 するとNightは否定することもなく、「アキラの友達。また変わった奴なのか?」と期待するようで、ちょっと面倒そうな瞳を見せる。
 しかし私も否定はしない。でも面白い子だとは伝えておいた。
 そんな時だ。ちょうどきりの良い瞬間、二人は物音を感じ取った。鋭い気配も感じている。ひしひしと肌を貫いた。

「何かいるのかな」
「だろうな。……そこだ!」

 何かが飛んだ。銀色の何かだ。
 気づけば、Nightは投げつけていて、周辺の木の皮が剥がれていた。

「何を投げたの!」
「投げナイフだ。しかし外したな。それより、今のは見たか」
「うん。おっきな虎さんがいたね」

 二人の視界にはちゃんと入っていた。
 木々の合間から見えていたのは、狙いの虎の姿。しかもいい匂いがする。これは間違いない。白桃虎の残り香だろう。
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