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◇33 固有スキルを聞かせてよ
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ゴールデンウィークも半ば。
アキラは、今日もNightと一緒にゲームの中を散策していた。そこでステータスはこんな感じ。
◇アキラ
LV12 《ヒューマン》
HP 125
MP 120
筋力 20
賢さ 21
敏捷 19
精神 25
幸運 26
装備品[武器]普通の剣
装備品[防具]桜色のスチームパンクジャケット
種族スキル 【順応】
固有スキル 【キメラハント】[【半液状化】【甲蟲】【灰爪】【幽体化】]【ユニゾンハート】
私本人が驚くほど、ステータスが充実していた。
まさかここまで成長するなんて。
ゲームを始めて一、二週間程度の初心者が、ここまでレベル上げが捗っていたのは、私がまめにコツコツモンスターを狩りながら、アイテムを採取してマッピングをしてきたからだと思う。マッピングって、何なのか、未だにわからないけど。
そんな中、アキラたちがやって来たのは、草原だ。
今回の草原は、かなり森が近くにある。
この間とは違う森らしい。
ここに来た目的は何なのか。アキラはまだ知らない。
しかしNightは、急にしゃがみ込んで草むしりを始める。
「Night、一体何をやってるの?」
「そう言えば言っていなかったな。今日は単純作業だ」
「単純作業って、もしかして薬草採取?」
「そうだ。こういったまめなことが今後に繋がる。やっておいて、損はない」
Nightの言うことは確かだった。アキラだってそれぐらいはわかる。
インベントリの中には、薬にしたポーションの数でいっぱいだ。
これを見ただけでも、かなりやっている。何せ、ノーマルのポーションだけで、既に五十個近く入っていた。
「私もやろっかな」
「手伝ってくれ」
Nightは、アキラにそう声を掛けた。
すると、草むしりを続ける最中、早々にNightはアキラに質問した。
「アキラ、この間のスキルは固有スキルか?」
「この間のって?」
「【キメラハント】。お前が言っていた謎のスキルだ」
謎のスキル? 別にそこまで謎でもない。
アキラは迷わずに説明したけど、上手く伝わらなかった。
「あれのこと? うん、そうだよ」
「そうか。どんなスキルだ。横文字だが、いまいちピンと来ていない。何か複雑なスキルな気がするが」
「そうかな? 確かに扱いは難しいけど、私はそうでもないよ。あのスキルはね、倒したモンスターの特徴的な能力を、どういう原理かは知らないけど、奪うことができるんだよ」
「なんだその変わったスキルは。しかも、その言い方だと、お前自身がどうやって手に入れているのかわかっていないだろ」
「うん!」
私は大きく頷いた。
そんなアキラを見てNightは顔を顰めると、溜息を吐きながら、今度は自分のスキルについて教えてくれた。
「私のスキル。固有スキルは、【ライフ・オブ・メイク】だ」
「【ライフ・オブ・メイク】? もしかして不老不死みたいな感じ?」
「そうじゃない。だが、なかなかにリスクあるスキルだが、いざはまれば強力だ。私の力量にもよるがな」
何だか期待していいスキルな気がした。
Nightはそれ以上、無駄話に興じる気はなかった。
それから今日一日は、Nightと一緒に、薬草集めに励んだ。ずーっと、ずーっと薬草薬草。時々、いい薬草が生えていてほっこりして嬉しかった。
そんな時間はあっという間に過ぎていて、気が付けば、今日は終わっていた。それからログアウトした私にスマホには、烈火からのメッセージ。
「えーっと、宿題終わったー? うん、終わってるけど」
一人言を呟くと、烈火から続けざまに、返ってきた。
いつもの事だった。
『宿題手伝ってー』
アキラの予想通り。溜息の一つも吐かず、アキラはスマホを触り、メッセージを打った。
簡潔に、『いいよ』とだけで、優しさが滲み出る。
アキラは、今日もNightと一緒にゲームの中を散策していた。そこでステータスはこんな感じ。
◇アキラ
LV12 《ヒューマン》
HP 125
MP 120
筋力 20
賢さ 21
敏捷 19
精神 25
幸運 26
装備品[武器]普通の剣
装備品[防具]桜色のスチームパンクジャケット
種族スキル 【順応】
固有スキル 【キメラハント】[【半液状化】【甲蟲】【灰爪】【幽体化】]【ユニゾンハート】
私本人が驚くほど、ステータスが充実していた。
まさかここまで成長するなんて。
ゲームを始めて一、二週間程度の初心者が、ここまでレベル上げが捗っていたのは、私がまめにコツコツモンスターを狩りながら、アイテムを採取してマッピングをしてきたからだと思う。マッピングって、何なのか、未だにわからないけど。
そんな中、アキラたちがやって来たのは、草原だ。
今回の草原は、かなり森が近くにある。
この間とは違う森らしい。
ここに来た目的は何なのか。アキラはまだ知らない。
しかしNightは、急にしゃがみ込んで草むしりを始める。
「Night、一体何をやってるの?」
「そう言えば言っていなかったな。今日は単純作業だ」
「単純作業って、もしかして薬草採取?」
「そうだ。こういったまめなことが今後に繋がる。やっておいて、損はない」
Nightの言うことは確かだった。アキラだってそれぐらいはわかる。
インベントリの中には、薬にしたポーションの数でいっぱいだ。
これを見ただけでも、かなりやっている。何せ、ノーマルのポーションだけで、既に五十個近く入っていた。
「私もやろっかな」
「手伝ってくれ」
Nightは、アキラにそう声を掛けた。
すると、草むしりを続ける最中、早々にNightはアキラに質問した。
「アキラ、この間のスキルは固有スキルか?」
「この間のって?」
「【キメラハント】。お前が言っていた謎のスキルだ」
謎のスキル? 別にそこまで謎でもない。
アキラは迷わずに説明したけど、上手く伝わらなかった。
「あれのこと? うん、そうだよ」
「そうか。どんなスキルだ。横文字だが、いまいちピンと来ていない。何か複雑なスキルな気がするが」
「そうかな? 確かに扱いは難しいけど、私はそうでもないよ。あのスキルはね、倒したモンスターの特徴的な能力を、どういう原理かは知らないけど、奪うことができるんだよ」
「なんだその変わったスキルは。しかも、その言い方だと、お前自身がどうやって手に入れているのかわかっていないだろ」
「うん!」
私は大きく頷いた。
そんなアキラを見てNightは顔を顰めると、溜息を吐きながら、今度は自分のスキルについて教えてくれた。
「私のスキル。固有スキルは、【ライフ・オブ・メイク】だ」
「【ライフ・オブ・メイク】? もしかして不老不死みたいな感じ?」
「そうじゃない。だが、なかなかにリスクあるスキルだが、いざはまれば強力だ。私の力量にもよるがな」
何だか期待していいスキルな気がした。
Nightはそれ以上、無駄話に興じる気はなかった。
それから今日一日は、Nightと一緒に、薬草集めに励んだ。ずーっと、ずーっと薬草薬草。時々、いい薬草が生えていてほっこりして嬉しかった。
そんな時間はあっという間に過ぎていて、気が付けば、今日は終わっていた。それからログアウトした私にスマホには、烈火からのメッセージ。
「えーっと、宿題終わったー? うん、終わってるけど」
一人言を呟くと、烈火から続けざまに、返ってきた。
いつもの事だった。
『宿題手伝ってー』
アキラの予想通り。溜息の一つも吐かず、アキラはスマホを触り、メッセージを打った。
簡潔に、『いいよ』とだけで、優しさが滲み出る。
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