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◇57 プールの時期は冷たい時期
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六月も中旬です。
この時期になると、雨が多くなる。と言うことはあの時期でもある。
そう、一部の生徒が好きで、一部の生徒が嫌いなあの授業である。
「はぁはぁはぁはぁ!」
ザバァザバァザバァザバァ! ——
すいすいと泳ぐ影が二つあった。
水を静かにかき分け、綺麗なスタイルで、水の中を泳いでいた。
本当に綺麗なクロールと、明輝は思った。
「凄い、烈火!」
「ほんと、加竜さんって運動神経いいよね」
「それに相手は水泳部だよ。負けてないし、むしろ勝ってるよ!」
明輝ははしゃいでいた。
それだけではない。クラスの他の女子達も、はしゃぎ倒している。
何故なら相手は同じ女子でも、水泳部の期待の新人。そして自分達よりも先に泳ぎ始めた男子たちよりも速かった。あまりの対戦だ。
「マジかよ。及川も速いが、加竜も負けてない!」
「ありえない……ことはないのか、今の時代」
世界大会でも、同じ試合内容、全く同じもので男性の三位の記録と匹敵している例もあった。
しかも例年、そのようなことがたくさんある。
時代の変化とともに、人間の成長も未知だった。
「及川さんって、あんなに速かったんだね」
「それもそうだよ。だって相手は、去年の中学大会の全国二位だよ?」
クラスメイトの中春由里乃の話を聞いた。
明輝は由里乃の言ったことを切り替えの早さで思い出し、確かに去年のネットニュースにもなっていた気がする。
確か背泳ぎで、同年代新記録を叩き出したとか。今しているのは、クロールだけどね。
「そうだったんだ、及川さん」
「でも本当に加竜さんって凄いよね。スポーツなら何でもできて」
「こんなに寒いのにね。水温は少し温かかったけど」
「でも、及川も負けてないよ」
そう言ってもう一人、同じクラスの秋風祭は言っていた。
由里乃と祭は親友で幼馴染。中学から続く、卓球ペアだった。
運動部じゃないので、明輝にはわからないけど、とにかく「凄い」とだけは言っておく。
「加竜は異次元レベルだとしても、あの泳ぎ方は魚でしょ」
「魚って、人のことをそんな風に言わなくても」
「だったら人魚って言えばいいのかな?」
「うーん。でも、速いよね」
「「速いんじゃなくて、フォームに乱れがないの」」
二人曰く、速さの秘訣はその乱れの無い綺麗なフォームだった。
何故速いのではない。速く泳ぐために何をしているのかだ。
それを見極められるのは、二人も運動に精通しているからだろう。明輝にはよくわからない。
「ぷはぁー、気持ちいぃ」
「はぁはぁ。なかなかやりますね、加竜さん」
「ん? 及川もね。それにしても、如何したらそんなに速く泳げるのさ?」
「それは私にセリフですよ。如何したら、そんなに乱れないフォームで泳げるんです? まさか、昔水泳をやっていたとか」
「ううん。やってないよ。普通に楽しく泳いでただけ」
「あはは。それが何よりですよね」
何故かお互い意見が一致した。
勝ち負けではない。二人は楽しく泳いでいただけで、勝負をする気はなかったみたいだ。
勝負に意識を持っていかれて、価値だけに貪欲になり続ければ、いつか見失ってしなうもの。それを二人は失わずにいた。正論だとかではなく、ただのがむしゃらが、内側に潜む道の力を引き出していたんだ。
「だと言っていますが?」
「俺たちはぜってえ甲子園に行く!」
「一年だろ、お前」
「三年になったら、絶対だ!」
何故か燃えていた。
うちの学校はこういうタイプが多い。そのためか、熱く燃え上がる運動部の熱に酔われて、非運動部の人たちは、呆気に取られてしまった。
けれど、明輝は非運動部でありながら、と言うか帰宅部ですが何故かその気持ちを感じていた。だって、熱いんだもん。
この時期になると、雨が多くなる。と言うことはあの時期でもある。
そう、一部の生徒が好きで、一部の生徒が嫌いなあの授業である。
「はぁはぁはぁはぁ!」
ザバァザバァザバァザバァ! ——
すいすいと泳ぐ影が二つあった。
水を静かにかき分け、綺麗なスタイルで、水の中を泳いでいた。
本当に綺麗なクロールと、明輝は思った。
「凄い、烈火!」
「ほんと、加竜さんって運動神経いいよね」
「それに相手は水泳部だよ。負けてないし、むしろ勝ってるよ!」
明輝ははしゃいでいた。
それだけではない。クラスの他の女子達も、はしゃぎ倒している。
何故なら相手は同じ女子でも、水泳部の期待の新人。そして自分達よりも先に泳ぎ始めた男子たちよりも速かった。あまりの対戦だ。
「マジかよ。及川も速いが、加竜も負けてない!」
「ありえない……ことはないのか、今の時代」
世界大会でも、同じ試合内容、全く同じもので男性の三位の記録と匹敵している例もあった。
しかも例年、そのようなことがたくさんある。
時代の変化とともに、人間の成長も未知だった。
「及川さんって、あんなに速かったんだね」
「それもそうだよ。だって相手は、去年の中学大会の全国二位だよ?」
クラスメイトの中春由里乃の話を聞いた。
明輝は由里乃の言ったことを切り替えの早さで思い出し、確かに去年のネットニュースにもなっていた気がする。
確か背泳ぎで、同年代新記録を叩き出したとか。今しているのは、クロールだけどね。
「そうだったんだ、及川さん」
「でも本当に加竜さんって凄いよね。スポーツなら何でもできて」
「こんなに寒いのにね。水温は少し温かかったけど」
「でも、及川も負けてないよ」
そう言ってもう一人、同じクラスの秋風祭は言っていた。
由里乃と祭は親友で幼馴染。中学から続く、卓球ペアだった。
運動部じゃないので、明輝にはわからないけど、とにかく「凄い」とだけは言っておく。
「加竜は異次元レベルだとしても、あの泳ぎ方は魚でしょ」
「魚って、人のことをそんな風に言わなくても」
「だったら人魚って言えばいいのかな?」
「うーん。でも、速いよね」
「「速いんじゃなくて、フォームに乱れがないの」」
二人曰く、速さの秘訣はその乱れの無い綺麗なフォームだった。
何故速いのではない。速く泳ぐために何をしているのかだ。
それを見極められるのは、二人も運動に精通しているからだろう。明輝にはよくわからない。
「ぷはぁー、気持ちいぃ」
「はぁはぁ。なかなかやりますね、加竜さん」
「ん? 及川もね。それにしても、如何したらそんなに速く泳げるのさ?」
「それは私にセリフですよ。如何したら、そんなに乱れないフォームで泳げるんです? まさか、昔水泳をやっていたとか」
「ううん。やってないよ。普通に楽しく泳いでただけ」
「あはは。それが何よりですよね」
何故かお互い意見が一致した。
勝ち負けではない。二人は楽しく泳いでいただけで、勝負をする気はなかったみたいだ。
勝負に意識を持っていかれて、価値だけに貪欲になり続ければ、いつか見失ってしなうもの。それを二人は失わずにいた。正論だとかではなく、ただのがむしゃらが、内側に潜む道の力を引き出していたんだ。
「だと言っていますが?」
「俺たちはぜってえ甲子園に行く!」
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うちの学校はこういうタイプが多い。そのためか、熱く燃え上がる運動部の熱に酔われて、非運動部の人たちは、呆気に取られてしまった。
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