73 / 478
◇73 サボテンに襲われる
しおりを挟む
砂漠を少し進んだ。
すると遠くに緑色の何かが見えていた。
愉快に踊っているように見えるけど、あれは何だろう。そう思ってアキラはNightに聞いてみた。Nightは怪訝そうな顔をする。
「あれはダンシング・サボテンだな」
「ダンシング・サボテン? 確かに踊っているように見えるけど」
「踊っているだけなんじゃないの?」
「そんなわけがないだろ。絶対に近づくな」
「うーん、いやぁー、それは難しいと思うよー」
「どういうことだ?」
Nightはアキラとフェルノの顔を見ていた。
するとフェルノがだらけた声を出した。
指を差した先。アキラも表情を顰めていた。その反応を知ったNightは、自分も同じように視線を前に向けなおすと、「あー」と項垂れる。
「来てるね」
「来てるな」
「来るんだよねー」
三人の女の子たちは、ポカンとした顔で立ち尽くしていた。
灼熱の砂漠の中、炎天下にさらされていると言い換えた方がいいだろう。
その状況で、緑色のかくかくドット絵みたいに近づいて来る謎のサボテンを凝視していた。しかしそのことに気が付いたNightは、自分たちの置かれている状況が最悪だとわかったみたいで、すぐさまその場から逃げ出した。
「全員、逃げろ!」
「「はい!?」」
Nightは当然走り出した。
するとサボテンの方から何かが飛んできた。空気をズバッと切り裂いて、砂漠の真ん中に小さな穴が空く。
「「ん? えっ、は、はい?」」
「言いから逃げろ! サボテン系モンスターの、トゲミサイルだ」
「な、なにそのパクりみたいな名前」
「でもヤバそうだよアキラ。とにかく逃げよう」
フェルノも走り出した。
しかし逃げても逃げても次から次へと耳をつんざく金切り音がする。
怖い。恐怖心を罵って、焦りを緊迫化させてきた。
でもあんなモンスター倒せそうなのに、如何して逃げるのかな? と思ったアキラは目を凝らした。するとレベル表示が出てきた。
「れ、レベル57!」
「そんなモンスターがいるの。って、レベル差をひっくり返すには」
「馬鹿、止まったら撃たれるぞ」
「「そう言うことですかぁー!」」
圧倒的なレベル差。そして無慈悲に放たれる弾丸。
その全てをかわすことはもはや不可能な領域で、止まった瞬間に木っ端みじん。もしくは穴が空いて、向こう側が見えるのがオチだ。怖い。怖すぎるって。脳への負荷、えぐいって!
と、Nightの思考を代弁しておこう。
「ま、まだ追って来る!」
「逃げても逃げてもきりがないって。って言うか、敵対反応なくないですかー」
「ダンシング・サボテンは敵対反応を示さない。つまり中立の存在だが、逆に言えば敵味方がない。そこにいるから撃つ。それだけだ」
「なにそれ!」
「脳無しじゃんかー」
「もともとあのサボテンに脳は無い。諦めろ」
「「諦めるとかじゃないってのー!」」
「今日はよくハモるな」
Nightのツッコみもわかってきた。
しかし二人はそれに返すボケを持っていなかった。と言うよりも、返す余力がなかった。
全身から水が抜けていく。頭がぼーっとして目の前が薄ら薄らになっていく。
けれどそれがだんだんと気持ちよくなっていく、体がふわりと宙に浮きそうになった時、ようやくサボテンから逃げ切った。
「はぁはぁ。何とか逃げ切ったかな?」
「追っては来てないね。Night、そっちは……って、Night!」
「あ、あわわ。わわ……だ、大丈夫じゃない?」
Nightは倒れていた。
砂漠の灼熱の鉄板の上にうつ伏せになっていた。全身に砂がくっついていて、動かなくなっていた。完全に熱中症だった。電子の世界なのに……
すると遠くに緑色の何かが見えていた。
愉快に踊っているように見えるけど、あれは何だろう。そう思ってアキラはNightに聞いてみた。Nightは怪訝そうな顔をする。
「あれはダンシング・サボテンだな」
「ダンシング・サボテン? 確かに踊っているように見えるけど」
「踊っているだけなんじゃないの?」
「そんなわけがないだろ。絶対に近づくな」
「うーん、いやぁー、それは難しいと思うよー」
「どういうことだ?」
Nightはアキラとフェルノの顔を見ていた。
するとフェルノがだらけた声を出した。
指を差した先。アキラも表情を顰めていた。その反応を知ったNightは、自分も同じように視線を前に向けなおすと、「あー」と項垂れる。
「来てるね」
「来てるな」
「来るんだよねー」
三人の女の子たちは、ポカンとした顔で立ち尽くしていた。
灼熱の砂漠の中、炎天下にさらされていると言い換えた方がいいだろう。
その状況で、緑色のかくかくドット絵みたいに近づいて来る謎のサボテンを凝視していた。しかしそのことに気が付いたNightは、自分たちの置かれている状況が最悪だとわかったみたいで、すぐさまその場から逃げ出した。
「全員、逃げろ!」
「「はい!?」」
Nightは当然走り出した。
するとサボテンの方から何かが飛んできた。空気をズバッと切り裂いて、砂漠の真ん中に小さな穴が空く。
「「ん? えっ、は、はい?」」
「言いから逃げろ! サボテン系モンスターの、トゲミサイルだ」
「な、なにそのパクりみたいな名前」
「でもヤバそうだよアキラ。とにかく逃げよう」
フェルノも走り出した。
しかし逃げても逃げても次から次へと耳をつんざく金切り音がする。
怖い。恐怖心を罵って、焦りを緊迫化させてきた。
でもあんなモンスター倒せそうなのに、如何して逃げるのかな? と思ったアキラは目を凝らした。するとレベル表示が出てきた。
「れ、レベル57!」
「そんなモンスターがいるの。って、レベル差をひっくり返すには」
「馬鹿、止まったら撃たれるぞ」
「「そう言うことですかぁー!」」
圧倒的なレベル差。そして無慈悲に放たれる弾丸。
その全てをかわすことはもはや不可能な領域で、止まった瞬間に木っ端みじん。もしくは穴が空いて、向こう側が見えるのがオチだ。怖い。怖すぎるって。脳への負荷、えぐいって!
と、Nightの思考を代弁しておこう。
「ま、まだ追って来る!」
「逃げても逃げてもきりがないって。って言うか、敵対反応なくないですかー」
「ダンシング・サボテンは敵対反応を示さない。つまり中立の存在だが、逆に言えば敵味方がない。そこにいるから撃つ。それだけだ」
「なにそれ!」
「脳無しじゃんかー」
「もともとあのサボテンに脳は無い。諦めろ」
「「諦めるとかじゃないってのー!」」
「今日はよくハモるな」
Nightのツッコみもわかってきた。
しかし二人はそれに返すボケを持っていなかった。と言うよりも、返す余力がなかった。
全身から水が抜けていく。頭がぼーっとして目の前が薄ら薄らになっていく。
けれどそれがだんだんと気持ちよくなっていく、体がふわりと宙に浮きそうになった時、ようやくサボテンから逃げ切った。
「はぁはぁ。何とか逃げ切ったかな?」
「追っては来てないね。Night、そっちは……って、Night!」
「あ、あわわ。わわ……だ、大丈夫じゃない?」
Nightは倒れていた。
砂漠の灼熱の鉄板の上にうつ伏せになっていた。全身に砂がくっついていて、動かなくなっていた。完全に熱中症だった。電子の世界なのに……
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
175
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる