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◇84 雷斬の提案
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次の日。3人はギルドホームで過ごしていた。
昨日の反省も兼ねてなのだが、誰も口にしない。
アキラはNightが言うのを待っていて、フェルノは自分から発することもせずに筋トレをしている。Nightは文庫本を読みながら、椅子に腰かけていた。
「ねえNight……」
「なんだ、アキラ。昨日の話か」
「うん。勝てなかったね」
「相手が悪かった。気にする必要はない。今の私たちに、あれに勝つ方法は物理的の存在しない」
「そんな……物理的?」
アキラは首を捻る。物理的と言う言葉に引っかかりがあったが、あえて聞かないことにする。無駄に話を広げても悪い。
アキラがこう思ったのは、Nightの顔色を窺わなくてもその心中を悟れたからだ。
だから何も考えない。どのみちNightが用意しているのは、残虐非道で恐ろしい末路なのは、わかっている。
「ちなみに聞くか?」
「いい。どうせろくなことじゃないんでしょ」
「まあな。よくわかっているじゃないか。私と言う人間がわかって来たんだな」
「そういう風にわかりたくはないけどね」
真っ向否定。アキラは首をプイッとした。
それから本の世界にNightは戻ろうとするが、フェルノは尋ねた。抜け道的な方法以外の策はないのか。
「じゃあさ、ちゃんとした方法はなにー?」
「遠距離武器だな」
「「遠距離武器!」」
なるほど、理に適っている。
今、私たちは4人とも揃いも揃って、近距離武器。誰一人として中距離、ましてや遠距離の武器なんて持ってない。そもそも使えないんだ。
私は剣だけど、基本的にスキル戦。フェルノは武器の装備はいらない。雷斬も2メートルが射程距離の限度で、この中では一人もいない。
可能性のあるNightでさえ、唯一に等しい投擲武器のナイフが届かないんじゃ話にならない。内心では心底傷ついているに違いない。と、ここまでをアキラはそう推理する。ぶっちゃけると、向こうは攻撃してこないんだ。遠距離の一発が当たれば、まず間違いなく撃沈できる。
「でもさ、街中でも見ないよね。遠距離武器」
「使っている人いないよね。お店では売ってるけど、人気ないのかな?」
「当たり前だ。モンスターになれる世界で、わざわざ武器を持ち歩くことが少ない。基本的に武器関連のアイテムが安く売られているのは、それが原因だ」
「じゃあ記念で持っている人以外は皆んな要らないんだ」
「そうだな。うちは攻撃的な種族スキルを持っている奴がフェルノぐらいしかいないから、こうなっているんだが……」
「誰かいないかな。遠距離武器持っている子」
アキラはそう口にする。
すると答えるようにタイミングが噛み合う。
「1人心当たりがあります」
「雷斬! えっ、いるの。心当たりのある子」
「はい。昨日から私は感じていました。このパーティーは強い。ですが、後ろを任せられる方がいないことを。ずっと悩んでいましたが、彼女に声をかけてみることにしてみます」
「彼女って?」
「私の親友で、幼馴染です」
雷斬はそう説明した。あっさりしているが、内容はこってり気味。
これが男女だったら、かなりどろどろなラブストーリーが形成されそうだけど、そんな無意味なことを聞いたのは、フェルノだった。
「その子って、女の子? それとこ……」
「女の子ですよ。期待させてしまって申し訳ございませんね」
「あっ、ううん。気にしないでいいよー」
フェルノは何の気なし。別にがっかりした様子もない。
じゃあなんて聞いたんだろうと、アキラは思ったが、Nightは雷斬の話に切り込む。
「そいつはどんな奴だ」
「強さですか? それは折り紙付きです。私が保証します」
「そうじゃない。そいつは、芯があるのか?」
「……はい。彼女は、鈴来は私のようなタイプではありませんが、はっきりとしたものを持っていますよ」
「そうか……ならいい」
Nightの聞いた質問に何故か新しさを見出した。
どうしてだろう。アキラは嬉しく思ったけど、何か変わりつつある気がした。
性格は相変わらずなんだけどね。本当に、皆んな個性的だ。
昨日の反省も兼ねてなのだが、誰も口にしない。
アキラはNightが言うのを待っていて、フェルノは自分から発することもせずに筋トレをしている。Nightは文庫本を読みながら、椅子に腰かけていた。
「ねえNight……」
「なんだ、アキラ。昨日の話か」
「うん。勝てなかったね」
「相手が悪かった。気にする必要はない。今の私たちに、あれに勝つ方法は物理的の存在しない」
「そんな……物理的?」
アキラは首を捻る。物理的と言う言葉に引っかかりがあったが、あえて聞かないことにする。無駄に話を広げても悪い。
アキラがこう思ったのは、Nightの顔色を窺わなくてもその心中を悟れたからだ。
だから何も考えない。どのみちNightが用意しているのは、残虐非道で恐ろしい末路なのは、わかっている。
「ちなみに聞くか?」
「いい。どうせろくなことじゃないんでしょ」
「まあな。よくわかっているじゃないか。私と言う人間がわかって来たんだな」
「そういう風にわかりたくはないけどね」
真っ向否定。アキラは首をプイッとした。
それから本の世界にNightは戻ろうとするが、フェルノは尋ねた。抜け道的な方法以外の策はないのか。
「じゃあさ、ちゃんとした方法はなにー?」
「遠距離武器だな」
「「遠距離武器!」」
なるほど、理に適っている。
今、私たちは4人とも揃いも揃って、近距離武器。誰一人として中距離、ましてや遠距離の武器なんて持ってない。そもそも使えないんだ。
私は剣だけど、基本的にスキル戦。フェルノは武器の装備はいらない。雷斬も2メートルが射程距離の限度で、この中では一人もいない。
可能性のあるNightでさえ、唯一に等しい投擲武器のナイフが届かないんじゃ話にならない。内心では心底傷ついているに違いない。と、ここまでをアキラはそう推理する。ぶっちゃけると、向こうは攻撃してこないんだ。遠距離の一発が当たれば、まず間違いなく撃沈できる。
「でもさ、街中でも見ないよね。遠距離武器」
「使っている人いないよね。お店では売ってるけど、人気ないのかな?」
「当たり前だ。モンスターになれる世界で、わざわざ武器を持ち歩くことが少ない。基本的に武器関連のアイテムが安く売られているのは、それが原因だ」
「じゃあ記念で持っている人以外は皆んな要らないんだ」
「そうだな。うちは攻撃的な種族スキルを持っている奴がフェルノぐらいしかいないから、こうなっているんだが……」
「誰かいないかな。遠距離武器持っている子」
アキラはそう口にする。
すると答えるようにタイミングが噛み合う。
「1人心当たりがあります」
「雷斬! えっ、いるの。心当たりのある子」
「はい。昨日から私は感じていました。このパーティーは強い。ですが、後ろを任せられる方がいないことを。ずっと悩んでいましたが、彼女に声をかけてみることにしてみます」
「彼女って?」
「私の親友で、幼馴染です」
雷斬はそう説明した。あっさりしているが、内容はこってり気味。
これが男女だったら、かなりどろどろなラブストーリーが形成されそうだけど、そんな無意味なことを聞いたのは、フェルノだった。
「その子って、女の子? それとこ……」
「女の子ですよ。期待させてしまって申し訳ございませんね」
「あっ、ううん。気にしないでいいよー」
フェルノは何の気なし。別にがっかりした様子もない。
じゃあなんて聞いたんだろうと、アキラは思ったが、Nightは雷斬の話に切り込む。
「そいつはどんな奴だ」
「強さですか? それは折り紙付きです。私が保証します」
「そうじゃない。そいつは、芯があるのか?」
「……はい。彼女は、鈴来は私のようなタイプではありませんが、はっきりとしたものを持っていますよ」
「そうか……ならいい」
Nightの聞いた質問に何故か新しさを見出した。
どうしてだろう。アキラは嬉しく思ったけど、何か変わりつつある気がした。
性格は相変わらずなんだけどね。本当に、皆んな個性的だ。
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