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◇127 L‘ets お月見?
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満月山にやって来た。時刻はリアルタイム、夜の2時を回っている。
明日が土曜日じゃなかったらこんなことはできない。
流石に寝不足で日中に支障が出る。
誰も次の日に予定を作っていなかったことが正解だった。
「それじゃあみんな、この山を登ろう」
「簡単には言うが、この山はかなり高いぞ」
「そうですね。ゆっくり安全に行きましょう。丑三つ時はまだ猶予があります。月も綺麗ですので、条件は整っていますよ」
雷斬は今回のイベントを持ってきたから負い目を感じていた。
しかしそのことにいち早く気が付いた親友のベルは雷斬の肩をポンと叩いた。
「何固まっているのよ。いちいち気にしなくてもいいのよ」
「ですが今回のイベントは私が提案したので」
「気にしなくていいから。それに、ほら!」
ベルはグイッと雷斬の首を回した。
アキラとフェルノがこそこそと話をしている。
そこにNightが割り込む。いつも通りの愉快な面々の姿だ。
夜間にもかかわらず、3人とも一切の不満なくここにいる。それが答えだとベルははっきりとわからせた。
「見たでしょ。3人ともそれに私だって、今回のイベントって言うか依頼を無碍にする気はないのよ」
「皆さん……ベルありがとうございます。おかげで吹っ切れました」
「そう? ならよかったけど」
「私も自分の技を出しますね。今回は精神ごと叩き切ります」
雷斬はベルに宣言した。アキラ達に対する申し訳ない気持ちを全て払い除けた故の清々しさだ。
ベルも瞬時に理解し、アキラ達を呼び寄せると、早速今回のイベントを再確認した。
「今回のイベントは結構大変だけど、みんなで力を合わせて頑張るわよ!」
「……意外だな。1人でのスタンスを得意とするお前が」
「今はね。それに私、このパーティーだと吹っ切れるのよね。だから全力で射貫くわよ」
「その例えは私達には伝わらないよ」
アキラは空気を折る。けれど誰かが折らないと先に進めないので、Nightからすれば英断だ。
もう少しで2時10分になる。
どれだけ急いでも40分はかかる道のりだ。
アキラ達は早速山を登り始めた。
緩やかで登りやすいハイキングコース。それが満月山の特徴だ。
螺旋状に整備された登山道の周囲は落葉樹が生えている。紅葉にイチョウともう少し後の季節には綺麗な紅葉シーズンを迎える。
温帯の気候を持ったこの大地にはうってつけのスポットだったが、今はまだ緑が多い。
「何だか楽々だねー」
「そうだな。私でも登れる」
体力がないことを自負するNightでも何不自由なく登ることができた。
大回りで螺旋が大きいからだろう。
無駄に狭くなくゆったりとしているので、ペースは遅くなってしまうがアキラ達は物理的な疲労感を軽減することができた。
そんな中ベルは夜空を見上げる。そこには満点の星々はなく、大きくて綺麗な満月が照らしていた。どこからでも満月が見られる。それがこの満月山の異名だった。
「満月山って変わっているわよね」
「変わっているってなんですか?」
「だって村の人達から聞いたでしょ? この山に社はないって」
「社?」
「小さな祠のことだ。神社のようなものだと思えば想像できるだろう」
Nightも確かにと納得していた。
あの後、情報をさらに集めこの山には昔から月進行を言うものがあるらしい。しかしどんな理屈なのか、この山には社がない。きっとそれが原因だと誰でもわかった。
ウサギの祟りはそこから来ている。
「そもそも社を立てたら変わるの?」
「それはわからない。ただ、昔からの信仰が途絶えたという言うことは例えるにいつも来ていた訪問販売を止めるようなものだ。唐突にそんなことをしてみろ、営業からしてみればとんでもないロスになる。今回の事案はそれに似ているな」
「じゃあ報復ってこと?」
「いわゆる中途解約料のようなものだな」
とてもリアルでわかりやすい例え方だった。
あまりに密接過ぎて一瞬戸惑ってしまったが、要するに今回のことは今の人のせいではなく昔の人が悪いことになる。
それが今になって降り注ぐのはただの呪いでしかない気がしたが、何も返せなかった。
明日が土曜日じゃなかったらこんなことはできない。
流石に寝不足で日中に支障が出る。
誰も次の日に予定を作っていなかったことが正解だった。
「それじゃあみんな、この山を登ろう」
「簡単には言うが、この山はかなり高いぞ」
「そうですね。ゆっくり安全に行きましょう。丑三つ時はまだ猶予があります。月も綺麗ですので、条件は整っていますよ」
雷斬は今回のイベントを持ってきたから負い目を感じていた。
しかしそのことにいち早く気が付いた親友のベルは雷斬の肩をポンと叩いた。
「何固まっているのよ。いちいち気にしなくてもいいのよ」
「ですが今回のイベントは私が提案したので」
「気にしなくていいから。それに、ほら!」
ベルはグイッと雷斬の首を回した。
アキラとフェルノがこそこそと話をしている。
そこにNightが割り込む。いつも通りの愉快な面々の姿だ。
夜間にもかかわらず、3人とも一切の不満なくここにいる。それが答えだとベルははっきりとわからせた。
「見たでしょ。3人ともそれに私だって、今回のイベントって言うか依頼を無碍にする気はないのよ」
「皆さん……ベルありがとうございます。おかげで吹っ切れました」
「そう? ならよかったけど」
「私も自分の技を出しますね。今回は精神ごと叩き切ります」
雷斬はベルに宣言した。アキラ達に対する申し訳ない気持ちを全て払い除けた故の清々しさだ。
ベルも瞬時に理解し、アキラ達を呼び寄せると、早速今回のイベントを再確認した。
「今回のイベントは結構大変だけど、みんなで力を合わせて頑張るわよ!」
「……意外だな。1人でのスタンスを得意とするお前が」
「今はね。それに私、このパーティーだと吹っ切れるのよね。だから全力で射貫くわよ」
「その例えは私達には伝わらないよ」
アキラは空気を折る。けれど誰かが折らないと先に進めないので、Nightからすれば英断だ。
もう少しで2時10分になる。
どれだけ急いでも40分はかかる道のりだ。
アキラ達は早速山を登り始めた。
緩やかで登りやすいハイキングコース。それが満月山の特徴だ。
螺旋状に整備された登山道の周囲は落葉樹が生えている。紅葉にイチョウともう少し後の季節には綺麗な紅葉シーズンを迎える。
温帯の気候を持ったこの大地にはうってつけのスポットだったが、今はまだ緑が多い。
「何だか楽々だねー」
「そうだな。私でも登れる」
体力がないことを自負するNightでも何不自由なく登ることができた。
大回りで螺旋が大きいからだろう。
無駄に狭くなくゆったりとしているので、ペースは遅くなってしまうがアキラ達は物理的な疲労感を軽減することができた。
そんな中ベルは夜空を見上げる。そこには満点の星々はなく、大きくて綺麗な満月が照らしていた。どこからでも満月が見られる。それがこの満月山の異名だった。
「満月山って変わっているわよね」
「変わっているってなんですか?」
「だって村の人達から聞いたでしょ? この山に社はないって」
「社?」
「小さな祠のことだ。神社のようなものだと思えば想像できるだろう」
Nightも確かにと納得していた。
あの後、情報をさらに集めこの山には昔から月進行を言うものがあるらしい。しかしどんな理屈なのか、この山には社がない。きっとそれが原因だと誰でもわかった。
ウサギの祟りはそこから来ている。
「そもそも社を立てたら変わるの?」
「それはわからない。ただ、昔からの信仰が途絶えたという言うことは例えるにいつも来ていた訪問販売を止めるようなものだ。唐突にそんなことをしてみろ、営業からしてみればとんでもないロスになる。今回の事案はそれに似ているな」
「じゃあ報復ってこと?」
「いわゆる中途解約料のようなものだな」
とてもリアルでわかりやすい例え方だった。
あまりに密接過ぎて一瞬戸惑ってしまったが、要するに今回のことは今の人のせいではなく昔の人が悪いことになる。
それが今になって降り注ぐのはただの呪いでしかない気がしたが、何も返せなかった。
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