VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇202 ギルドの繋がり

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「ふぅ、ええ湯やったなぁ」

 天狐は頭を拭きながら歩いている。全身からモクモクと白い湯気が出ていた。

「天狐さんって綺麗な髪質してますよね」
「そうかいな?」
「はい。確か髪質は変わらないんだよね?」
「そうだな。色や髪形は変えることができるが、髪質までは変えられない」

 Nightはようやく乾いた服を手に入れ、いつものマントを羽織っていた。
 Nightの髪質も綺麗で艶もある。ついつい見入ってしまう。

「そう言えば天狐は刀を使うのー?」
「そやなぁ」
「やっぱりー。よかったね、雷斬。天狐も剣士みたいだよ」
「そうですね。私も刀を使う人とは出会ったことがないので、嬉しいです」
「こっちでは普通やけど?」
「そうなんですか! それは、初耳です」

 雷斬も楽しそうだった。
 何はともあれ、温泉に入れたので良しとしよう。

「あら? 継ぎ接ぎの皆さん。それから、天狐?」
「あっ、クロユリさん。温泉ありがとうございました。いい湯加減でした」
「それは良かったわ。でも、どうして天狐がこんなところにいるに?」
「ええやん、好きな時に入って」
「もう、毎回勝手なんだから」

 クロユリは呆れてしまっていた。
 するも天狐は「まぁまぁ、いつものことやん」と言いながら、適当に話をスルーする。

「何だろう。結構大変そうだね」
「予想通りだな。クロユリも疲れるだろ」
「そうかな? クロユリの表情見てよ」
「いつもの事のようだな。全く、慣れは困る」

 Nightはクロユリの表情を見て、同情してしまった。
 しかしすぐさまいつものNightに戻ると、クロユリの側に寄る。

「クロユリ。服、乾かしておいてありがとう」
「構いませんよ。それより、Nightさんのマントは凄いですね。かなりレア度の高いものではありませんか?」
「やらんぞ」
「いえ、私には必要ありませんよ。乾きが良かったもので、つい聞いてしまったんです」
「そういうことか」

 雷斬とNightが珍しく他のギルドの人と話し込んでいる。
 アキラとフェルノは蚊帳の外なので、妖帖ようじょうみやびのギルドホームを見せてもらうことにした。

「凄いね。こんなに豪華絢爛なんて」
「お金かかっているよね。流石温泉旅館だよ」

 妖帖ようじょうみやびのギルドホームは継ぎ接パッチワークぎの絆・フレンズやDeep Skyの人たちのギルドホームとも違う。ここは、和が基調になってるけど、天井まで装飾が施されているよ」
「何より広いよね」

 そう、一番そこが違う。
 敷地面積もそうだけど、これだけ広くて温泉まで付いているのに、さらに2階建てとは想わなかった。

「だけどよくこの短期間で作ったよね」
「何話してんねん?」
「天狐さん!」

 隣には天狐がいた。
 ぬるっといつの間にかやって来ていて、まるで気が付かなかった。

「いつからそこにいたんですか!」
「今々、ちょうど今来たとこやで」
「そう、だったんですか? 全然気づきませんでした」

 天狐のあまりのステルス性にアキラは只者ではないと思った。
 しかし雷斬は置いておいてもいいのかな?
 ふと悪い気がしたけど、天狐は特に気にしていない。

「2人気になったさかい、追いかけてきた」
「そうなんですか? でもそれって……」
「雷斬にはちゃんと言うて来てるさかい、問題なし」

 本当に自由な人だと思った。
 流石にフェルノ以上だと思うけど、天狐はアキラの耳元に顔を近づけた。

「うちやクロユリのことどう思う? ちょい気になるんやけんど、聞いてもええかいな?」
「楽しいですよ。それに面白人たちって思ってます……あっ!」

 マズい。本人を前にして変なことを言ってしまった。
 だけど天狐は特に気にする様子もなく、すんなり受け入れてしまっている。

「ほら、ギルド同士の繋がりは大事にしたいやん」
「ギルドの繋がりですか?」
「それにうちらは君らのファンなんや」
「ファン?」
「向こうでそこそこ強いプレイヤーを瞬殺したって聞いたさかい、ほんまかと思うてな」
「あっ、それって……」
「アキラのことだね!」

 フェルノが余計なことを言ってしまった。
 すると天狐は不思議そうな顔をしながら、アキラの顔を覗き込む。
 何だか恥ずかしかったけど、顔に何かついているのかとアキラは思った。
 しかし天狐は「試してみよか」と何かを確信したような笑みを浮かべた。

「あの天狐さん! なんで笑って」
「ええや、なんでもあらへんでっ!」
「おっと、何するんですかいきなり!」

 アキラは天狐の手刀を感覚的に受け止めた。
 右手で繰り出された手刀は鋭く、的確にアキラの脇腹を狙っていた。
 しかし左手ですんなり受け止め、力強く握られると、天狐も何かを悟ったのか、「ギブギブ。降参やぁ」とすぐに手を引っ込めた。

「急に危ないですよ、天狐さん」
「本気やったけど。まさか受け止められるなんて」
「本気!? またまた、冗談ですよね」
「流石あないな子たちを束ねているだけあるなぁ」
「束ねてるって、そんなことないですよ。私たちは繋がりを大事にしているんです。ねっ、フェルノ」
「そうだね。私達はみんなバラバラの個性を持っているからねー。一種の繋がりなのは間違いないよー」

 アキラとフェルノはお互いに意見があった。
 すると天狐はクスッと笑って「やっぱしおもしろいなぁ」と満足そうだった。
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