VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

文字の大きさ
242 / 617

◇242 聖夜祭に向けて(一年目)

しおりを挟む
 翌日のことだった。
 アキラたちがログインし、何気なくスタットを散策していると、いつもよりも街の中に活気があった。

 普段は活気がないわけじゃない。
 だけどお祭りの前日、準備に明け暮れる人たちみたく何処か忙しない。

 もちろんもっとわかりやすく例えるなら、高校の文化祭準備のような生き生きとした空気が流れている。
 しかも街中にはたくさんの飾り付けがされていて、アキラたちはアレを予期した。

「コレってクリスマスの準備かな?」
「多分そうでしょー? それ以外にあんな露骨な装飾品見たことないよ」

 フェルノが指を指したお店の軒先にはトナカイの引くそりに乗るサンタさんが飾られていた。
 この露骨な装飾品は間違いないなと、アキラも納得した。

「もしかしてクリスマスツリーも出てるのかな?」
「行ってみよっかー。多分中央広場でしょ?」

 商店街の奥の方はより賑わっていた。
 中央広場には噴水があり、たくさんのプレイヤーやNPCが歩いている。

 ここにもたくさんの装飾品がされていて、街路樹にもたくさんの灯りが取り付けられている。
 ベンチもいつもは殺風景だけど、今日は銀色のモールが束になって掛けてあった。

「うわぁ、こっちも装飾品が凄いね。ちょっと座り難そうだけど」
「確かに痛そうだよねー。チクチクするもん」

 とは言いつつベンチに座る。
 噴水を目の前にしてアキラは首を捻った。
 ここまで来たけど、まだクリスマスツリーの影も形も見ていない。

 もしかしたらまだ準備していないのかな?
 アキラとフェルノはクリスマス感が半分なスタットの街を見て、クリスマス当日が楽しみのなった。


「ってことがあったんだけど、やっぱりクリスマスイベントってあるんだね」
「そうみたいですね。私とベルはモミジヤに行ってみましたが、クリスマス感はまるでありませんでしたよ」
「えっ、そうなの? やっぱり文化の違いとかあるのかな?」
「それはあるだろ。スタットはヨーロッパ系を一種のモチーフにしているが、モミジヤは完全に日本の京都や奈良。古風をイメージにしているのだからな」

 Nightはアキラたちに軽く説明した。
 先程からパンフレットらしきものを読み込み中で、全然目を合わせてくれない。

 いつもの文庫本じゃないので何かとは思ったが、中には文字しか書いていないので、遠目からでは何もわからなかった。

「でもさー、クリスマスツリーもないのにクリスマスイベント何てするの? いや、普通のソーシャルゲームならいいんだよ。でもここってさ、超が付くぐらい自由度の高いGAMEなのにさ、肝心のクリスマスツリーがないのに、クリスマス感出しましたよって言えるのかな?」
「それは少し思うけど……クリスマスツリーが無くてもみんな楽しむでしょ? 全員じゃないけど、私たちみたいに楽しみにしている人もいるんだから」
「そうよね。……って、1人如何でもいい顔しているけどね」

 ベルはNightに話を振った。
 パンフレットを読み込みながらも、話は聞いていたらしく、「そんなことはないぞ」と口にした。

「うちでは毎年クリスマスパーティーをしているからな」
「「「えっ!? そんなことしてるんだ」」」

 普通に驚いた。
 実際Nightの家にはまだ行けていない。そのうち行ってみないと思うけど、ちょっと遠いのだ。 
けれどNightの家は広くて有名だから何となく「Nightの家ならありそう」と思った。

「そんなことはさておき。クリスマスツリーがなかったのは本当だな?」
「うん。何処にもなかったよ。影も形もなくてびっくりしちゃったよー」
「そうか。やっぱりか……」

 Nightはわかっていたのか、パンフレットをテーブルに置いた。
 アキラは置かれたパンフレットを拾い上げ、文面だけの非常に読み難い箇条書きを読んだ。

「えーっと、なになに。クリスマス限定イベント集。報酬は以下の通り……へぇー、クリスマスイベント専用のパンフレット何だ」
「ギルドにたまたま行った際に貰って来た。読んでいたら絶句だったがな」
「絶句? でも、クリスマスイベントをGAME内でも予めわかるようになっているのは良いよね。それでどんなクエストがあるのかな? うわぁ!」
「如何したの、アキラ?」

 急にアキラは声を上げた。
 たまたま赤い線でNightが付けてくれたクエスト見て絶句したのだ。

「Night、コレって本当?」
「本当だ。そのクエストを達成しなければ、クリスマスイベントは始まらないぞ」
「「「はい?」」」

 フェルノたちは首を捻った。
 しかしアキラは箇条書きを読み、納得してしまっている。
 トボトボとフェルノたちに教えてあげた。

「えっとね、クリスマスツリーがなかったでしょ? あれって、実はクエストの一部なんだって」
「クエストの一部? そっか、だからクリスマスツリーがなかったんだ」
「うん。それでね、もみの木を持ってこないといけないんだけど……」
「待って待って、その時点でちょっとおかしいんだけどさー。もしかして、まだある的な?」
「ある的な」

 フェルノは目を見開いた。
 驚いているところ悪いけど、今回のクリスマスイベントもハードスケジュールだった。

「『もみの木を持ってきて、クリスマスツリーを完成させよ』。尚、このクエストの報酬は『クリスマスイベントの開催と報酬の増加』である。だってさ」

 アキラは自分で口に出してみて凄く不思議だった。
 まさかイベントを成立させるにはプレイヤーたちの尽力が必要らしい。
 新しすぎて、多分全プレイヤーが騒然だ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり
ファンタジー
【書籍化!】第17回ファンタジー小説大賞『癒し系ほっこり賞』受賞作です。 (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~』です) ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。 最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。 この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう! ……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは? *** ゲーム生活をのんびり楽しむ話。 バトルもありますが、基本はスローライフ。 主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。 カクヨム様でも公開しております。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

処理中です...