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◇312 ついに全員顔合わせ
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「そう言えば明輝は雷斬に会ったんだっけったんだっけ?」
「うん。昨日ね」
「どんな感じだった?」
「うーん、向こうの姿とほとんど変わらないよ。というか同じかな?」
烈火から質問された明輝は昨日初めて顔を合わせた雷斬のことを思い出した。
今になって振り返ってみると、やっぱり向こうと大差ないなと思った。
「そもそもあのGAMEでは、過度なキャラメイクはできないようになっているんだぞ。現実での齟齬が発生して、トラブルにならないための予防線だ」
蒼伊はキャラメイクに付いて説明してくれた。
確かにGAMEと現実で見た目が全く異なっていたら実際に会った時に問題になるはずだ。
「そっかぁー。それじゃあベルはどんな感じかな?」
「うーん、ベルは……分かんない」
「そうだな。だが会えば判る」
蒼伊の言うことはもっともだった。
そうこうしていると電車が到着した。
ローカル線と呼ばれるもので、駅からはそこまでたくさんの人は降りてこなかった。
「ここで待ってよっか」
「下手に動くと見失うからな……アレか?」
蒼伊は言葉を途中で切った。駅のホームから少し背の高い同い年くらいの声が降りてきた。
ピンと背筋を伸ばし、頭の後ろの方で髪を結い、長いポニーテールを作っていた。
「アレは雷斬だよね? おーい、こっちこっち!」
烈火が軽くジャンプしながら手を振った。
すると斬禍はニコッと微笑むと、明輝達の下へとやって来た。
「皆さんおはようございます。フェルノさんとNightさんでしょうか?」
「そうだよ!」
「ああ」
烈火は元気よく答えた。まるで子供がカメラを向けられたみたいに手を振っていた。
一方の蒼伊はサラッと流した。冷静と言うのか、斬禍の不思議なものを見るような視線にちょっとだけイラっとしていた。
けれど斬禍本人には悪気などは一切なかった。
むしろ「すみません」と何も悪いことはしていないのに、蒼伊に先に謝っていた。
それから速やかに空気を換えた。
一呼吸間を置くと、正眼に構えて明輝たちの顔を見合わせた。
「それでは自己紹介をさせていただきますね。初めまして。私は雷斬禍と言います。今日はこのようにお会いできたこと、誠に感謝申し上げます」
「感謝なんて必要ないでしょ? 誘ってくれたのは斬禍何だから」
「そうでしょうか?」
「そうだよ。それと私達も自己紹介しないとね。私は昨日したけどもう一回……立花明輝、よろしくね。それで隣に居るのが……」
明輝は烈火と蒼伊を紹介した。
先に挨拶したのは元気いっぱいな烈火だった。
「今日は斬禍。私は加竜烈火。学校ではテニス部に入ってるんだ。会えて嬉しいよ!」
超ハイテンションな口調で明るかった。
街行く人達の視線を一瞬集めてしまうほどには目立っていた。
そんな状況の中、蒼伊は冷たくクールな口火を切った。
サラッと最小限に流してしまった。
「私は夜野蒼伊だ。以上」
「サラッと流し過ぎだよ蒼伊! もう少し盛り上げていこうよ!」
「私は烈火とは違う」
熱々と冷え冷えだった。
お互いに性格も空気も全く違うけど、妙に馴染んでいた。
その様子を面白いと思ったのか、クスクスと笑い声が聞こえた。もちろん斬禍ではなかった。
「ねえ、今誰か笑わなかったぁー?」
「うん、笑い声が聞こえたよね」
烈火と明輝は互いに頷きあった。
すると斬禍がにこやか見微笑んで、チラッと視線を後ろに向けた。
するとそこに居たのは別の少女だった。
「もしかしてベルか?」
「「えっ!?」」
明輝と烈火も顔を上げた。
確かに顔立ちからみても紛れもなくベルだった。
ちょっとだけGAMEの中よりも明るいように見えた。
明るいとは言っても髪色や目の色はアバターの方が強いのだが、雰囲気や格好が明かるめな色をしていた。だからだろうか、まるで別人のように感じたのだが、声を聴いて確信した。
「初めまして皆さん。蒼伊の言う通り、私はベルです。本名は風見鈴来と言います。今後ともよろしくお願いいたしますね」
「「「えっ!?」」」
明輝たち三人はベルこと鈴来の口ぶりに驚いてしまった。
その口調は最初で会った時、まだ明輝たちのことを信じ切っていなかった時に見せた装いの口調とそのままだった。
今では弓術フォームとして定着しているのだが、まさか現実でもこうだとは思わなかった。故に壁を感じつつも、たどたどしく話してしまった。
「よ、よろしくね鈴来?」
「う、うん、よろしく」
「ああ。……まさか現実でこうなのか」
蒼伊までもが渋い反応に困ってしまった。
それがおかしかったのか、鈴来はクスッと笑った。
「何てね」
明輝たちは目を見開いた。突然鈴来の口ぶりがいつも通りに戻ったからだ。
「あー、面白かった。如何? 私の演技力? 現実の方が磨きが掛かっているわよね?」
「「「……」」」
「何で黙っているのよ。そんなに驚いちゃった?」
鈴来は自分でやっておいて、黙られてしまったので口が鋭くなった。
しかし明輝たちは本気で驚いてしまったので、黙ってしまっていたのだ。
「いや、驚いちゃって」
「何が驚くのよ?」
「鈴来って冗談とか言うんだね。何だか意外だったから」
「冗談の1つも言えなくて如何するのよ!」
何故か怒られてしまった。だけど掴みとしてはもの凄く良かった。
鈴来の活躍もあってか、継ぎ接ぎのメンバーは笑える出会いを果たせたのだった。
「うん。昨日ね」
「どんな感じだった?」
「うーん、向こうの姿とほとんど変わらないよ。というか同じかな?」
烈火から質問された明輝は昨日初めて顔を合わせた雷斬のことを思い出した。
今になって振り返ってみると、やっぱり向こうと大差ないなと思った。
「そもそもあのGAMEでは、過度なキャラメイクはできないようになっているんだぞ。現実での齟齬が発生して、トラブルにならないための予防線だ」
蒼伊はキャラメイクに付いて説明してくれた。
確かにGAMEと現実で見た目が全く異なっていたら実際に会った時に問題になるはずだ。
「そっかぁー。それじゃあベルはどんな感じかな?」
「うーん、ベルは……分かんない」
「そうだな。だが会えば判る」
蒼伊の言うことはもっともだった。
そうこうしていると電車が到着した。
ローカル線と呼ばれるもので、駅からはそこまでたくさんの人は降りてこなかった。
「ここで待ってよっか」
「下手に動くと見失うからな……アレか?」
蒼伊は言葉を途中で切った。駅のホームから少し背の高い同い年くらいの声が降りてきた。
ピンと背筋を伸ばし、頭の後ろの方で髪を結い、長いポニーテールを作っていた。
「アレは雷斬だよね? おーい、こっちこっち!」
烈火が軽くジャンプしながら手を振った。
すると斬禍はニコッと微笑むと、明輝達の下へとやって来た。
「皆さんおはようございます。フェルノさんとNightさんでしょうか?」
「そうだよ!」
「ああ」
烈火は元気よく答えた。まるで子供がカメラを向けられたみたいに手を振っていた。
一方の蒼伊はサラッと流した。冷静と言うのか、斬禍の不思議なものを見るような視線にちょっとだけイラっとしていた。
けれど斬禍本人には悪気などは一切なかった。
むしろ「すみません」と何も悪いことはしていないのに、蒼伊に先に謝っていた。
それから速やかに空気を換えた。
一呼吸間を置くと、正眼に構えて明輝たちの顔を見合わせた。
「それでは自己紹介をさせていただきますね。初めまして。私は雷斬禍と言います。今日はこのようにお会いできたこと、誠に感謝申し上げます」
「感謝なんて必要ないでしょ? 誘ってくれたのは斬禍何だから」
「そうでしょうか?」
「そうだよ。それと私達も自己紹介しないとね。私は昨日したけどもう一回……立花明輝、よろしくね。それで隣に居るのが……」
明輝は烈火と蒼伊を紹介した。
先に挨拶したのは元気いっぱいな烈火だった。
「今日は斬禍。私は加竜烈火。学校ではテニス部に入ってるんだ。会えて嬉しいよ!」
超ハイテンションな口調で明るかった。
街行く人達の視線を一瞬集めてしまうほどには目立っていた。
そんな状況の中、蒼伊は冷たくクールな口火を切った。
サラッと最小限に流してしまった。
「私は夜野蒼伊だ。以上」
「サラッと流し過ぎだよ蒼伊! もう少し盛り上げていこうよ!」
「私は烈火とは違う」
熱々と冷え冷えだった。
お互いに性格も空気も全く違うけど、妙に馴染んでいた。
その様子を面白いと思ったのか、クスクスと笑い声が聞こえた。もちろん斬禍ではなかった。
「ねえ、今誰か笑わなかったぁー?」
「うん、笑い声が聞こえたよね」
烈火と明輝は互いに頷きあった。
すると斬禍がにこやか見微笑んで、チラッと視線を後ろに向けた。
するとそこに居たのは別の少女だった。
「もしかしてベルか?」
「「えっ!?」」
明輝と烈火も顔を上げた。
確かに顔立ちからみても紛れもなくベルだった。
ちょっとだけGAMEの中よりも明るいように見えた。
明るいとは言っても髪色や目の色はアバターの方が強いのだが、雰囲気や格好が明かるめな色をしていた。だからだろうか、まるで別人のように感じたのだが、声を聴いて確信した。
「初めまして皆さん。蒼伊の言う通り、私はベルです。本名は風見鈴来と言います。今後ともよろしくお願いいたしますね」
「「「えっ!?」」」
明輝たち三人はベルこと鈴来の口ぶりに驚いてしまった。
その口調は最初で会った時、まだ明輝たちのことを信じ切っていなかった時に見せた装いの口調とそのままだった。
今では弓術フォームとして定着しているのだが、まさか現実でもこうだとは思わなかった。故に壁を感じつつも、たどたどしく話してしまった。
「よ、よろしくね鈴来?」
「う、うん、よろしく」
「ああ。……まさか現実でこうなのか」
蒼伊までもが渋い反応に困ってしまった。
それがおかしかったのか、鈴来はクスッと笑った。
「何てね」
明輝たちは目を見開いた。突然鈴来の口ぶりがいつも通りに戻ったからだ。
「あー、面白かった。如何? 私の演技力? 現実の方が磨きが掛かっているわよね?」
「「「……」」」
「何で黙っているのよ。そんなに驚いちゃった?」
鈴来は自分でやっておいて、黙られてしまったので口が鋭くなった。
しかし明輝たちは本気で驚いてしまったので、黙ってしまっていたのだ。
「いや、驚いちゃって」
「何が驚くのよ?」
「鈴来って冗談とか言うんだね。何だか意外だったから」
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