VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

文字の大きさ
342 / 617

◇340 追い込み漁をやってみた

しおりを挟む
「居たね」
「そうだな。とりあえず警戒されていることは確かだ」

 アキラたちはアルミラージを見つけた。
 耳をピクピクさせて警戒している。これじゃあ中々近づけない。
 アキラたちは歯痒い思いをしたが、このまま見つめているだけじゃダメだ。
 そう思ってか、フェルノと雷斬が「この距離なら」とそれぞれスキルを使う用意をしつつ、敵意を剥き出しにした。すると——

 ダッ!

「あっ、逃げた!」

 アルミラージは颯爽と逃げ出した。
 一直線で飛び跳ねながら地面を蹴る。その脚で向かうのは鬱蒼とした森の中だった。

「逃がしません」
「そうだよー。逃げられる前に捕まえよー!」

 雷斬は【雷鳴】を呼び、フェルノも【吸炎竜化】を発動する。
 眩い光が閃光を生み、強烈な熱が包み込んだ。
 二人の速さは異常だ。けれど先に読んでいたアルミラージは二人の攻撃が触れる前に森の中に消えてしまう。

「しまった!」
「逃げられたな。これは骨が折れるぞ」

 アルミラージは森の中に姿を隠した。
 小柄な体系を活かして巧みにアキラたちを躱してしまう。
 何となくそこまでは読むことができたので、ただ闇雲に捜すのは止めた方が良さそうだった。

「如何しよう。せっかく見つけたのに……」
「諦めるのはまだ早いぞ。とにかく足跡を辿って追いかける方法がある」

 幸いにも足跡は残っていた。
 これを追いかければアルミラージに追いつくことはできるかもだけど、流石にここまで鬱蒼としている森の中だとフェルノの炎特化スキルは使えないし、雷斬のスピードも生かせない。
 ベルも風を読んだ所で意味が無いので、使えそうなのはアキラとNightのスキルだった。

「私が【月跳】で見つけるしかないかな?」
「お前、三角跳びが得意なのか? それともパルクールでもできるのか?」
「えっと……ごめんなさい」
「だろうな」

 Nightに先に一蹴されてしまった。
 アキラは小さくなってしまうものの、Nightも作って有効打になりそうなものがワイヤーくらいしかなかった。

「とりあえず今作れるのはこのくらいだな」

 Nightの手にはワイヤーが握られている。
 金属製のようで、足を引っ掻けたら確実に転ぶ。
 それを見たアキラはNightが何を言いたいのか何となく掴んだ。

「もしかしてそれを使ってアルミラージを捕まえるってこと?」
「それが手っ取り早いだろ。わざわざ私たちが捕まえる必要は無い」
「そ、そうかもだけど……如何やって?」
「アルミラージを誘導できれば早いんだがな」

 Nightは眉根を寄せた。流石にそれが出来たら苦労しない。
 だけどアルミラージには完全に警戒されてしまっていた。
 そう上手くいくとは思えないものの、アキラはやってみたいことを思い付く。

「ねえみんな、アルミラージを追い込んでみようよ!」
「追い込むってー?」
「追い込み猟か。なるほどな……とは言え如何やって追い込むんだ? 肝心の二人分、スキルが使えないんだぞ?」
「それは問題無いでしょ?」

 Nightは判り切っていることを口にして試してきた。
 アキラはにこやかにNightに返すと「まあな」と返される。
 別にスキルを使う必要なんて何処にもない。アキラはそれが言いたくて、アルミラージを捜して森の中に入る。全員に作戦は何となく伝えているが、後は各々の頑張りだった。

「えーっと、足跡はこの辺で……あっ、居た!」

 アキラは早速アルミラージを見つけた。
 警戒したままで見つけて声を出すとすぐに逃げてしまうので、急いで追いかける。
 だけどアルミラージは小さい上にすばしっこいので、人間が通れない所をスルリと通り抜けるのだった。
 

「ちょっと待ってよ! フェルノ、そっち行ったよ」
「オッケー」

 アキラは無駄に追うのを止めた。
 代わりにフェルノにスイッチして、今度は三角跳びを併用してフェルノが追いかける。
 するとアルミラージはまたしても方向を変えて、フェルノから掻い潜る。

「うわぁ、そっち行くんだ。それじゃあベル、頼んだよー」
「任せて」

 今度はベルが役目を果たす。
 【風読み】で風を呼び寄せると、アルミラージはそれを嫌う。耳がピクピクし始めると、方向転換して、その最中にはベルが弓矢を射ていた。
 逃げようとする方向を先に計算していたので、アルミラージもひやひやだ。

「ちょこまかと的が絞り難いわね。それっ!」

 ベルが矢を射るも、アルミラージはピョンピョン跳ね回って躱してしまう。
 が、ここまでは予定調和。アルミラージはベルの射る矢を躱したように思いこんでいるだけで、本当は自分が誘導されていた。

「みんなで囲うよ!」

 逃げ道を完全に塞ぐ。全員でアルミラージを追い詰めて、一方向だけ逃げ道を用意する。
 何かの兵法で有った気もするが、アルミラージは残された逃げ道を活用して逃げていくが、不意に脚が取られた。
 木の幹にくくり付けられた細いワイヤーに足を引っ掻けてしまい転ぶ。
 動きが鈍った瞬間、Nightが網を投げてアルミラージを生け捕りにした。

「ふぅ。上手く行ったな」
「追い込み猟、成功だね!」

 作戦が見事に通用した。ここまで綺麗に決まるととっても嬉しい。
 アキラはギュッと拳を握って成功の味を噛み締めると、ふと考えてしまった。

(もしかして、これなら行けるかも?)

 この作戦を転用できればあの赤いナマズも捕まえられる。
 アキラはそんな気がして、みんなにも相談してみることにした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...