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◇396 御鷹高校七不思議:音楽室の幽霊
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御鷹高校の一年生のとある教室。
弁当箱を片手間に明輝、烈火、それから由里乃と祭の四人は机を囲んでいた。
いつも通りの風景。そこに由里乃はストローを咥えていた口を離すと、不意に話題を投げた。
「ねえみんな。最近話題の七不思議って知ってる?」
「なに、突然?」
親友の祭が箸を片手に尋ねた。
すると話題に乗ってくれたと思ったのか、由里乃は話し始めた。
「最近になってうちの高校の七不思議の一つが最近話題になっているんだよ」
「話題になっているって?」
「うーん、音楽室の幽霊の話って知ってる?」
「「ん?」」
明輝と烈火は首を捻った。
まるで話が見えてこない上に、まさか御鷹高校に七不思議があるとは思わなかった。
オカルト研究会はあるにはあるが、うちの高校の話題はあまり上がっていなかった。
だからだろうか、少し気になる。
「由里乃。それってどんな話?」
烈火が尋ねた。明輝も隣でコクコク頷く。
すると由里乃は待ってましたとばかりに天井を見つめると、噂を口にし始めた。
「まずね、うちの高校って結構古いでしょ?」
「古いって言っても、たったの五十年」
「祭、それは言わないんだよ。それでね、音楽室があるでしょ? 第一じゃなくて第二の方」
「あっ、たまに通る廊下の方だね」
「うん。実は最近、放課後になると真っ暗な中でピアノの音が聴こえて来るんだって」
「ピアノ?」
あまりにも定番化されている噂話だった。
明輝と烈火は顔を互いに見合わせる。
「えっと、それって……」
「嘘だよね? 何処かから引っ張って来た奴だよねー」
「そんな訳ないよ。それに学校で聴いた人も実際に居るんだよ?」
「へぇー、誰?」
「二人は知らない先輩だよ。私も会ったことないから、人伝いに聞いただけだから」
噂が流れて来ただけな気がする。
完全に風の便りだと思ったの明輝たちだが、由里乃はより詳細を事細かに話してくれた。
「こほん。噂が広まったのは今からつい一週間くらい前なんだけど」
「結構最近なんだねー」
「うん。それなら誰かがピアノを弾いてただけかもしれないよ?」
元々第二音楽室は滅多に使わない。
そもそも普段から使われていない廊下の端にあるので、行く機会が少ないのだ。
けれど由里乃は否定した。なにか根拠があるのだろうか?
「第二音楽室は鍵が掛かっているんだよ?」
「「「あっ!」」」
御鷹高校は今では珍しい木造が中心になった校舎だが、規模感として大きいし丈夫だ。
教室の数も多く、普段から使われていない教室はたむろされないように鍵が掛かっている場合もある。
今時そんなことをする生徒は居ないが、昔からの風習だった。だからこそ、鍵が掛かっているはずの部屋でピアノの音が聴こえるのは無理がある。
(確かにおかしいね。それに分からないから、こうして噂になって……うーん)
そもそもの話、根拠が有ったら噂じゃない。
不思議だからこそ噂として伝染しているのだ。
頭の中で明輝は理解して意識を切り替えると、少し深く掘った話をした。
「ねえ由里乃。鍵を借りるには……」
「職員室で借りるしかないよ」
「そうだよね。複製とかって……」
「できる教室もあるかもしれないけど、私たちじゃ難しいよ」
「そうだよね。普通は無理だよね」
「うん、普通は無理だよねー」
普通じゃない同級生も居るので、明輝と烈火は互いに顔を見合わせた。
とは言え職員室で鍵を借りているのなら、直接聞きに行けばいい。
けれど「噂が気になるから誰が借りているか教えてください」なんて言っても聞いては貰えない。困り果てた四人は腕を組んで、弁当を食べる手が止まってしまった。
「あっ! 真っ暗だったんだよね?」
「うん。普通、放課後の真っ暗な中ピアノを練習したりする?」
「普通はしないけど、練習に集中しすぎたとか?」
「そんなことって……」
「うーん、練習に集中しすぎて周りが見えなくなることは……あるねー」
烈火はテニス部員。大抵は外で練習をするけれど、時々集中しすぎることもあるらしい。
そうなると周りが不意に見えなくなる。
見えなくなったら目の前のことに意識を駆られてしまい、電気を点けることすら忘れてしまうことだってあるかもしれないと、傍から考えて明輝は唱えた。
けれど祭は何か引っかかるのか。明輝に尋ねる。
「それなら如何して音楽室で遅くまでピアノを?」
「それは分からないけど、それだけ集中したい理由が有るんじゃないかな?」
「そうだとしても」
「一週間前って言うのも変だよね。うーん、難しいよね」
もはや人間の仕業と言うことになっていた。
しかし明輝たちはまだ引っかかっていた。
本当に人間なのだろうか? もしかしたら幽霊だったりしてとやや淡い期待感を抱く程だ。
「まあ、幽霊だとしても気概が無かったら全然いいんだけどね」
「それはそうだよねー。あー、幽霊っているのかなー?」
「居ても不思議じゃないと思うよ」
蒼伊だって、科学者的な所はあるが幽霊否定派じゃない。
GAME内では幽霊に出会ったんだから、明輝も多少は信じていた。
居ても居なくても悪さが無ければ怖くないからだと高を括った。
弁当箱を片手間に明輝、烈火、それから由里乃と祭の四人は机を囲んでいた。
いつも通りの風景。そこに由里乃はストローを咥えていた口を離すと、不意に話題を投げた。
「ねえみんな。最近話題の七不思議って知ってる?」
「なに、突然?」
親友の祭が箸を片手に尋ねた。
すると話題に乗ってくれたと思ったのか、由里乃は話し始めた。
「最近になってうちの高校の七不思議の一つが最近話題になっているんだよ」
「話題になっているって?」
「うーん、音楽室の幽霊の話って知ってる?」
「「ん?」」
明輝と烈火は首を捻った。
まるで話が見えてこない上に、まさか御鷹高校に七不思議があるとは思わなかった。
オカルト研究会はあるにはあるが、うちの高校の話題はあまり上がっていなかった。
だからだろうか、少し気になる。
「由里乃。それってどんな話?」
烈火が尋ねた。明輝も隣でコクコク頷く。
すると由里乃は待ってましたとばかりに天井を見つめると、噂を口にし始めた。
「まずね、うちの高校って結構古いでしょ?」
「古いって言っても、たったの五十年」
「祭、それは言わないんだよ。それでね、音楽室があるでしょ? 第一じゃなくて第二の方」
「あっ、たまに通る廊下の方だね」
「うん。実は最近、放課後になると真っ暗な中でピアノの音が聴こえて来るんだって」
「ピアノ?」
あまりにも定番化されている噂話だった。
明輝と烈火は顔を互いに見合わせる。
「えっと、それって……」
「嘘だよね? 何処かから引っ張って来た奴だよねー」
「そんな訳ないよ。それに学校で聴いた人も実際に居るんだよ?」
「へぇー、誰?」
「二人は知らない先輩だよ。私も会ったことないから、人伝いに聞いただけだから」
噂が流れて来ただけな気がする。
完全に風の便りだと思ったの明輝たちだが、由里乃はより詳細を事細かに話してくれた。
「こほん。噂が広まったのは今からつい一週間くらい前なんだけど」
「結構最近なんだねー」
「うん。それなら誰かがピアノを弾いてただけかもしれないよ?」
元々第二音楽室は滅多に使わない。
そもそも普段から使われていない廊下の端にあるので、行く機会が少ないのだ。
けれど由里乃は否定した。なにか根拠があるのだろうか?
「第二音楽室は鍵が掛かっているんだよ?」
「「「あっ!」」」
御鷹高校は今では珍しい木造が中心になった校舎だが、規模感として大きいし丈夫だ。
教室の数も多く、普段から使われていない教室はたむろされないように鍵が掛かっている場合もある。
今時そんなことをする生徒は居ないが、昔からの風習だった。だからこそ、鍵が掛かっているはずの部屋でピアノの音が聴こえるのは無理がある。
(確かにおかしいね。それに分からないから、こうして噂になって……うーん)
そもそもの話、根拠が有ったら噂じゃない。
不思議だからこそ噂として伝染しているのだ。
頭の中で明輝は理解して意識を切り替えると、少し深く掘った話をした。
「ねえ由里乃。鍵を借りるには……」
「職員室で借りるしかないよ」
「そうだよね。複製とかって……」
「できる教室もあるかもしれないけど、私たちじゃ難しいよ」
「そうだよね。普通は無理だよね」
「うん、普通は無理だよねー」
普通じゃない同級生も居るので、明輝と烈火は互いに顔を見合わせた。
とは言え職員室で鍵を借りているのなら、直接聞きに行けばいい。
けれど「噂が気になるから誰が借りているか教えてください」なんて言っても聞いては貰えない。困り果てた四人は腕を組んで、弁当を食べる手が止まってしまった。
「あっ! 真っ暗だったんだよね?」
「うん。普通、放課後の真っ暗な中ピアノを練習したりする?」
「普通はしないけど、練習に集中しすぎたとか?」
「そんなことって……」
「うーん、練習に集中しすぎて周りが見えなくなることは……あるねー」
烈火はテニス部員。大抵は外で練習をするけれど、時々集中しすぎることもあるらしい。
そうなると周りが不意に見えなくなる。
見えなくなったら目の前のことに意識を駆られてしまい、電気を点けることすら忘れてしまうことだってあるかもしれないと、傍から考えて明輝は唱えた。
けれど祭は何か引っかかるのか。明輝に尋ねる。
「それなら如何して音楽室で遅くまでピアノを?」
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「そうだとしても」
「一週間前って言うのも変だよね。うーん、難しいよね」
もはや人間の仕業と言うことになっていた。
しかし明輝たちはまだ引っかかっていた。
本当に人間なのだろうか? もしかしたら幽霊だったりしてとやや淡い期待感を抱く程だ。
「まあ、幽霊だとしても気概が無かったら全然いいんだけどね」
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